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日本は原発に賭けた。そして負けた。

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今回はmasa_cblさんのブログ『生物物理計算化学者の雛』からご寄稿いただきました。
※すべての画像が表示されない場合は、http://getnews.jp/archives/299409をごらんください。

日本は原発に賭けた。そして負けた。

福島原発事故以来、現在・今後の電気供給における原発の立ち位置について賛否両論が繰り広げられています。

「電気屋が語る「電気は足りていません」の呟き」 『togetter』
http://togetter.com/li/466577

「物理屋が語る『電気屋が語る「電気は足りてません」の呟き』は足りてません」 2013年03月08日 『シートン俗物記』
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20130308/1362745879

オイルショックを機に原発に賭けた

福島事故以前の日本は国を挙げて原子力発電を推進してきました。
原発推進の大きなきっかけとなったイベントとしてオイルショックが挙げられます。

当時、国内の九つの電力会社は年間約5500万キロリットルの燃料を消費していた。これは原油の総輸入量の2割を占め、備蓄も25日程度しかなかった。禁輸は発電用燃料の”欠乏”を意味したのだ。

「田中角栄と原発~1973年オイルショックが引き金となり原発計画が急増週刊朝日201202/03号」 2012年01月25日 『大友涼介です。』
http://ameblo.jp/heiwabokenosanbutsu/entry-11145922018.html

オイルショックで原油の輸入が止まれば、1カ月足らずで火力発電用燃料が枯渇する状況にあったわけです。
これを機に、原油備蓄の増強と並び原発推進が加速されます。

原発推進に賭けた結果:二重に負けた日本

自前の資源に乏しい日本は原発推進に賭けたわけです。

この賭けは

・ エネルギー資源供給リスクを原発により低下させる
・ その代償として原発事故のリスクを受け入れる(地震・津波のリスクが高い日本であっても破局的な事故のリスクは低いと想定)

ものであったと解釈することができます。

そしてその結果(少なくとも現時点では)日本の賭けは二重の意味で負けに終わりました。

第一に、原油供給の深刻な危機は生じず、原油価格が極めて安い時期が長く続いた点です。
これはコスト面で原子力発電が火力発電よりも割高になるという結果をもたらしました。

第二に、福島事故という最悪といってよい大事故を引き起こしてしまった点です。

あり得た現在:第三次オイルショックが起きていたら?

現実は原発推進は結果的に負けに終わったわけですが、逆に原発推進の賭けが勝ちに終わった可能性もあったわけです。
あり得た可能性の一つとして、極めて深刻な形での第三次オイルショックが考えられます。

仮に化石燃料(石油・石炭・LNG)の輸入量がオイルショックにより半減すると想定します。

2010年の発電量の比率は原子力が約30%、化石燃料が60%、その他(水力・新エネルギー)が約10%となっています。

「原子力発電電力量の割合、水力、火力 – エネルギー白書(2010年)」 2011年04月23日 『MEMORVA』
http://memorva.jp/ranking/japan/enecho_energy_power_share_2010.php

また原発を一切導入しなかった場合を、化石燃料が90%、その他10%という比率と想定します。


(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://px1img.getnews.jp/img/archives/2165.jpg

<原発を導入している場合>

この化石燃料が半減という想定は30%の発電量を失うことに相当し、ちょうど原子力発電をほぼ全て停止している現状と同じになります。
現在原発が停止していても(いろいろな面でコストがかかってはいるものの)なんとか産業・経済活動が回っていることを考えると、このオイルショックは原発を導入していたおかげでなんとか乗り切ることができると想定できます。

これは原発推進に賭けた場合に想定される勝ちの1ケースです。

<原発を一切導入していなかった場合>

原発が一切なく、90%を化石燃料火力で賄っていたとすると、オイルショックで火力発電が半減すると45%の電力を失うことになります。
この失われる電力量は現在の原発が止まっている状況に15%の上乗せとなり、どれほどに凄まじい産業・経済活動への影響が生じるか予想できません。

一切原発に手をださなかった場合、このオイルショックのリスクが極めて危険なレベルになっていたであろうことが推定できます。

長期的なリスクの見積もりが重要だが・・・

この「原発事故のリスク」と「オイルショックのリスク」は結局のところどちらが高いのかというのは難しい問です。
破局的な原発事故を起こしてしまった後なのでどうしても原発事故リスクを大きく見てしまい、脱原発に心理的に偏ってしまうのはわかります。
しかし遠くない将来にオイルショックに匹敵する化石燃料供給の危機が起こらないとは限りません。
そうなれば原発無しで乗り切ることは至難の業であり、どうしても原発に頼らざるをえない時がくるかもしれないのです。

執筆: この記事はmasa_cblさんのブログ『生物物理計算化学者の雛』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年03月15日時点のものです。

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記者:

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