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スカイマーク撤退でANA、JAL両社が3倍値上げ!?沖縄をつつむ航空業界の闇

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2月20日、『2ちゃんねる』『Twitter』などインターネット上で「那覇-宮古便 スカイマーク運休でANA・JALが3倍超値上げ」という見出しが踊った。問題は同航空便に乗り入れているスカイマークが4月から3ヵ月間の運休を発表したことに端を発する。これまで同便に乗り入れていた航空会社はスカイマーク、ANA、JALの3社。格安路線で展開してきたスカイマークに対し、ANA、JAL両社が対抗措置をとったこともあり、利用者の多くは前日予約などの割引を使えば約4000円から8000円までの運賃で同便を利用できていた。ところが前述の運休が発表されたことを受け、ANA、JAL両社は割引の基準を厳化。よほどの早期から予約しないと通常料金の17500円を基準に、運賃が従来の3倍ほどに跳ね上がってしまうというのだ。飛行機以外に交通手段のない宮古島市民や関係者の負担は大きい。

この件についてANAに問い合わせたところ

そもそも弊社で設けている正規運賃、17500円という額にはいっさい変更がありません。ただ、“特割”など割引の基準を競合他社との兼ね合いで変更しているだけです。しかも、料金はお客様が購入される前に明示しています。また宮古島市や関係団体からの(料金に関する)要請なども今のところありません。

という回答を得た。対応にあたった担当者は受け答えも丁重で、社会人として高いスキルを感じたものの、担当者の口を通じて発せられる会社のメッセージは「お客は先に料金を知った上なんだから、利用するもしないもお客次第ですよ。」と言っているように感じられた。利用者に対する配慮についても聞こうとしたが、運賃の二重構造を巧妙に使い分け「値上げではない」「責任はない」とするりとかわされた印象だ。

しかし筆者が実際に各社の運賃を検索したところ、また別の視点から問題の真髄に触れることができた。

2月22日(検索日は2月21日)に運行する便のうち、各社の最低運賃(障害割引など除く)はそれぞれスカイマークの6800円(フリー1、通常は7800円)、ANAが5800円(特割、通常は17500円)、JALが5800円(特便割引、通常は17500円)。なんと現状では格安イメージの強いスカイマークよりもANA、JALのほうが安い運賃を打ち出しているのだ。また過去にスカイマークが運営難から運賃の値上げに至った際にもANA、JAL両社はそれにあわせ”最低運賃”を値上げしている。二重構造にもほどがあるのではないか。競合他社の動向を見極め、世間体を気にせず運賃をコロコロ変更するというのは単なる経営戦術としては巧みなのかもしれない。しかし、いやしくも国民の足として航空業界を寡占する大企業がそれをおこなうのはいかがなものだろう。

インターネットラジオ『BS@もてもてラジ袋』(http://www.moteradi.com/)の主宰者で日本の交通事情、市民生活にくわしい戸田健太郎さんにお話をうかがった。

筆者:今回の件について調べる中で、航空会社間であまりに競争意識が強い印象を受け、びっくりしています。

戸田:その通りですよ。要はANAとJALを中心とした航空業界が、後から参入してきたスカイマークをつぶしにかかってるんですよ。スカイマークには「時間が遅れやすい」とかマイナスイメージがあるけど、それも実際は各空港での手続き、段取りで両社にくらべて不利な扱いを受けてるから。コネのある無しが影響しますからね。

筆者:これまで国家から保護されてきた航空業界の閉鎖性が影響するわけですね。

戸田:うん、それにスカイマークはANA、JALと違って国からの補助金をもらってないから。まともに対抗されたら体力的にもたないですよ。最近、格安航空会社として注目されてる『ピーチ』も出資したのはANA。露骨ですよね。

筆者:宮古島のインフラ環境はどんな状態なのでしょうか?

戸田:以前には宮古島と沖縄本島を結ぶフェリーがあったんですが、ANA、JALが進出する過程で経営が悪化し、廃止に追い込まれています。その結果店宮古島に住む人にとっては飛行機しか交通手段がなくなってしまったのに、今回のような料金値上げを平気でするっていうのは配慮の無い証拠ですよ。つまりANAもJALも、インフラに関わる公の企業としての自覚が無いんです。

問題の根本に、長く国家の保護をうけてきた業界で起こりがちな”閉鎖性”と”怠慢”があることがよくわかった。しかし保護をいいことに新参者を受け入れることができない業界が繁栄し続けた試しは無い。先年のANAの業績不振などよい例ではないか。

取材を進めていたさ中の2月20日、宮古島市の下地敏彦市長による要請が功を奏し、スカイマークは6月1日から那覇-宮古便を再開することを明らかにした。とは言え周囲の厳しい環境が変わったわけではなく、自治体、地元経済界は一体となってスカイマークへの協力を市民に呼びかけている。

現地での航空各社に対する意識、スカイマークとの交渉についてなど、現地でしかわからない情報を提供してくださった宮古島市役所観光課のみなさんに感謝いたします。

 

※画像は『宮古島市役所』ホームページ、『スカイマーク』ホームページ、『ANA』ホームページ、『JAL』ホームページから引用しました。

※この記事はガジェ通ウェブライターの「中将タカノリ」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?

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