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王力雄「炎の遺言――なぜチベット人は焼身するのか?」 後半

王力雄「炎の遺言――なぜチベット人は焼身するのか?」 後半

今回は中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム『KINBRICKS NOW』からご寄稿いただきました。
※すべての画像が表示されない場合は、http://getnews.jp/archives/282813をごらんください。

王力雄「炎の遺言――なぜチベット人は焼身するのか?」 後半

本記事は「王力雄「炎の遺言――なぜチベット人は焼身するのか?」(前編)の後編です。

「王力雄「炎の遺言――なぜチベット人は焼身するのか?」 前半」 2013年01月12日 『ガジェット通信』
http://getnews.jp/archives/282804

王力雄「炎の遺言――なぜチベット人は焼身するのか?」 後半

*写真はダライ・ラマ法王と王力雄さん。
(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://px1img.getnews.jp/img/archives/c31.jpg

ダライ・ラマの成功と失敗

長い間、チベット問題は進展が得られていない。希望をずっと外部世界に託してきたことをチベット自身が反省している。チベット本土は国外のチベット社会に希望を託した。国外のチベット社会はまず国際社会に託し、後になって中国政府に託した。国際社会の圧力を利用し、中国政府に譲歩を迫るのが一貫した基本路線だった。

国際社会でダライ・ラマは大きな成功を勝ち取った。欧米の市民はほぼ一辺倒にチベットに同情し、ダライ・ラマは誰もが知る世界的なスターになった。しかし、中国政府に圧力を加えるという点では、国際社会はもう限界に来ており、これ以上あてにするのは難しい。中国は差し迫って西側の援助を必要としていた1980年代であっても、チベット問題について少しの譲歩も見せたことはない。既に台頭を始めた今日、世界が中国の譲歩を引き出せるなどと期待しても、ますます見通しは立たないのではないだろうか。

中国政府は2002年から2008年にかけ、ダライ・ラマの特使との会談を進めた。それは初めから北京五輪のために設けられた宣伝活動だったが、亡命政府にとってはようやく訪れた機会であり、実質的な進展が切実に望まれた。当時、本土のチベット人はずっと楽観的で、我慢強く待ち続けていた。北京五輪が近づいてきた2008年3月10日、ダライ・ラマは蜂起記念日の恒例のスピーチでこう明らかにした。

「私の代表は2002年以降、特定の問題について、中国の関係部門と前後6回の会談を開いた。(中略)だが残念なことに、基本的な問題では実質的な成果は何も得られなかったし、この数年、本土のチベット人に対する残酷な鎮圧はますますひどくなっている」

このタイミングでダライ・ラマが公表したのは、五輪前に中国への国際的な圧力を強める最後のチャンスになると期待したからだろう。しかし、共産党を真に理解しているのなら、たとえ北京五輪を開かないことになったとしても、彼らがチベット問題で譲歩することはないと分かるはずだ。予想通り、国際社会のその後の動きは全く効果がなく、ボイコット運動は消え、最も強硬的な態度を見せていたフランスも最終的には負けを認めた。これらの事実が容赦なく証明しているのは、国際社会を通じて中国に譲歩を迫るという亡命政府の長年の路線が完全に無効だったということだ。

ダライ・ラマの言葉が目覚めさせたチベット人

一方、ダライ・ラマのスピーチは本土のチベット人を目覚めさせた。彼らはいつまでも待ち続けるうちに、我慢の限界に近づいていた。この間、パンチェン・ラマは捕われ、カルマパはチベット本土を離れ、ダライ・ラマは攻撃され続けていた。そして最後に待ち受けていたのは、「実質的な成果は何も得られなかった」という結末だ。

ダライ・ラマのスピーチを知ったラサ、セラ僧院の僧侶は「私たちが立ち上がらなければいけない」と考えた。ラサの街頭に駆け出して雪山獅子旗を掲げ、スローガンを叫んだ。それは2008年にチベット全土に及んだ抗議運動の最初の叫びだった。3月10日午後、デプン僧院の数百人の僧侶が山を降りて抗議し、中国の言う「3・14事件」がまたたく間に広がっていった。

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