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差別はネットの娯楽なのか(5)――「在日コリアンだけどなんか質問ある?」前篇(解説:金明秀教授)

金明秀教授

今回は、今までこの連載に届いた質問のいくつかについて答えてみようと思う。しかし、私だけではちゃんと答えきれないことも多いので、今回は特別に関西学院大学社会学部の金明秀教授に解説をお願いしてみた。

質問1)
朝鮮学校は何立ですか?朝鮮学校とナショナルスクールの違いを簡潔に教えてください

朝鮮学校は、各都道府県の学校法人が運営している各種学校で私立です。朝鮮学校の生徒は、現在は韓国籍の者が大半であり、朝鮮籍や日本国籍、その他の国の国籍を持つ生徒もいます。授業では朝鮮語を使用しています。

朝鮮学校の教育課程は日本の制度に合わせたものとなっています。

詳しくは SYNODOS JOURNAL 朝鮮学校「無償化」除外問題Q&A 金明秀
http://synodos.livedoor.biz/archives/1929030.html をどうぞ。

★金教授

ナショナルスクール(外国人学校)というのは、出身国の学校教育に準じた教育を実施することを主たる目的として出身国外に設置された教育施設です。言い換えると、児童や生徒が帰国した時に困らないようにするための教育施設です。

「出身国の学校教育に準じた教育」というのは、国によって違うけど、海外にある日本人学校を例にとると、(1)文部科学大臣から国内の小学校、中学校、若しくは高等学校と同等の教育課程を有するという認定を受けている、(2)教育課程は、原則的に国内の学習指導要領に基づき、教科書も国内で使用されているものが用いられている、(3)日本人学校中学部卒業者は、国内の高等学校の入学資格を、高等部卒業者は、国内の大学の入学資格をそれぞれ有する、ということです。

それに対して、朝鮮学校などの民族学校は、居住国の学校教育の枠内で、出身民族の言語と文化の習得を主たる目的として設置された教育施設です。言い換えると、その国で生まれ育った民族的マイノリティの児童や生徒が、民族文化をきちんと修得することで劣等感にさいなまれずに健全に育成するための教育施設です。

朝鮮学校は50年代に入ってから北朝鮮風の教育を実施してはいるけど、学習指導要領は日本のものに基づいているんだよね。教科書も日本で作っているし。教育制度も北朝鮮のそれではなく日本と一緒だし。だから、外国人学校ではなく、典型的な民族学校です。

面白いのは東京韓国学校のケースですね。出発は在日韓国人のための民族学校でした。しかし、しだいに韓国からの駐在員や留学生の子どもが増え
て、現在はほぼ完全に韓国の外国人学校になっています。(カリキュラムは韓国準拠、校長先生も韓国の文科省から派遣されてきている)

質問2)
本文中にある権利のなかには選挙権ならびに被選挙権も含まれると思います。権利があるということはその対価としての義務があると思います。ここで質問です筆者の方は選挙権ならびに被選挙権をえるための義務はなんだとお考えですか?(以上2つ、ハンドルネーム:山南佳祐さんから)

権利には「先天的に備わっているもの」と「そうでないもの」があると思います。他者の存在とは無関係な、絶対的な権利というものが、それが人権だと考えています。人権は、誰かが認めるからこそ存在するものではありません。選挙権もそれと同じです
それに対して、責任や義務は後天的なものであり、選挙権などの権利に対してはこれが成り立たない事柄だと考えます。

すなわち、選挙権に対して国民が負う義務はないということです。

★金教授

天賦人権説(自然権としての人権)ですね。日本の保守派には人気がない思想なので、そこが気になるところではあります。

まあでも、天賦人権説をとるかどうかはともかく、日本も(憲法で国の権力行使を制限して、国民の自由の保障を図る)立憲主義を採用している以上、権利と義務をバーターで考えること自体がおかしいと主張することは大切だと思います。

おそらく質問者としては、天賦人権説も立憲主義も(たとえ知っていたとしても)どうでもいいんだよね。もっと直感的な次元から発している質問だから。「社会の一員として義務と権利があるという直感」が先にあって、その直感を揺るがす存在である在日はどうなってるんだ、という質問だよね。

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