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サムゲタンにもちゃんとした演出意図があるという話

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サムゲタンにもちゃんとした演出意図があるという話

今回はろくさんさんのブログ『WebLab.ota』からご寄稿いただきました。
※すべての画像が表示されない場合は、http://getnews.jp/archives/274582をごらんください。

サムゲタンにもちゃんとした演出意図があるという話

いろんなところで話題になっている「さくら荘のペットな彼女」第6話。

本エントリでは、アニメ演出的な意図を考えてみる。

結論

問1:何故おかゆでなくサムゲタンにしたのか?

答:あのシーンで本当におかゆが出てきたら、ド直球すぎて恥ずかしさが増すので捻っておかゆ以外のもの(サムゲタン)にしている。

問2:では、何故ド直球でなく、捻ったのか?

答1:メガネ野郎の性格が直球じゃないから

答2:シリーズ構成が岡田麿里だから

「直球」から「変化球」へ

例えば、問題のサムゲタンシーン。

もし素直におかゆを三鷹仁(メガネ)が準備していたらどうだっただろうか?

サムゲタンにもちゃんとした演出意図があるという話

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上段左:おかゆ……作って置いたから持っていってやれよ。

上段中:抱き枕と喋っているところを目撃される。

上段右:おかゆを食べさせる

下段左:一晩中手を握ってくれてたんだね。

下段中:椎名に言われなかったら止めてたよ(キリっ)

下段右:才能に追いつくにはどうしたらいいんだろうね

何この恥ずかしシーンの連続!!恥ずかしすぎるだろう……

では、サムゲタンにするとどうだろうか?

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上段左:サムゲタン作ったから持って行ってやれよ……「いやなんでサムゲタンなんだよ」

上段中:抱き枕と喋っているところを目撃される.

上段右:サムゲタンを食べさせる……「サムゲタンか……結構普通に受け入れるんだね。絵になってるのか何なのか…」

下段左:一晩中手を握ってくれてたんだね。

下段中:椎名に言われなかったら止めてたよ(キリっ)

下段右:才能に追いつくにはどうしたらいいんだろうね……「サムゲタンにツッコまずによく恥ずかしいシーンを……」

ほら、ストレートばっかりじゃなくて変化球を混ぜることで、恥ずかしさを緩和してるし

主人公や関西弁の娘の恥ずかしさが際立ってると思いませんか?

直球ばっかりだと引っかかりがない。緩急がない。

だから、変化球を使うのです。

三鷹仁というキャラクター

三鷹仁、このメガネ野郎は、キャラクター・性格的にストレートとは言いがたい。

本命の女がいるくせに、素直になれず、他の女と寝たりする。

本命の女の才能に嫉妬しているくせに、その才能を開花・成功させるために自分の進路を決める。

そんなコマッチャくれた精神構造をしているキャラクターが三鷹仁という男である。

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そんな彼がそんなに簡単に直球どストレートを投げていいのか?

病気の女の子が寝込んだら、おかゆを作る……そんな安易な、ひねりの無い行動をしていいのか?

いや、よくない。

彼がどストレートに恥ずかしいことをするのは、もっと肝心な、もっと恥ずかしさがMAXなシュチュエーションであるべきなのだ。

こんなところでストレートを投げていい男ではない。

岡田麿里:「恥ずかしさ」には種類がある

岡田麿里は、「恥ずかしさ」に拘っている作家である。

青春の恥ずかしさ、恋愛の恥ずかしさ、悩むことの恥ずかしさ、自分に素直に生きるということを考えることの恥ずかしさ、素直になることの恥ずかしさ

様々な「恥ずかしさ」を今まで書いてきている。

特にド直球・どストレートに恥ずかしいことをすることが恥ずかしくなっているような、そんなコマッチャくれたキャラクターを常に作り続けてきている。

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岡田麿里的に、恥ずかしさを最も典型的に「ド直球の恥ずかしさ」と「ド直球の恥ずかしさが恥ずかしくなったやつの恥ずかしさ」に分けて描いているのは「あの夏で待ってる」(監督:長井龍雪,脚本:黒田洋介)である。

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この作品では、ド直球に恥ずかしいことをやる主人公・ヒロイン・負けヒロインが居て

その上に、「直球が、恥ずかしいことを自覚している」そして「それでも直球を投げなければいけないシーンがあることを自覚している」キャラがいる(図右の二人)。

主人公・ヒロイン・負けヒロインが常に恥ずかしい行動・セリフを言いまくり

それをクールな視点で見ているキャラがいる……という構造になっている。

そして、最後の最後でクールだった奴らもどストレートに恥ずかしいことをしだす(主人公・ヒロイン・負けヒロインに感化されてしまう)。

そういった作品を作りたがっているのが岡田麿里である。

その岡田麿里という視点から、「さくら荘のペットな彼女」を見るとどうだろうか?

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恥ずかしいセリフ・行動を平気でとりまくる主人公・ヒロイン×2

それに対して

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常にふざけようとする二人。(主人公たちは至って真面目だが、この二人は笑ってる。三鷹仁に至ってはおっぱいもんでる)

もう分かるだろう。

岡田麿里は、この二人が最高に恥ずかしくなるシーンを用意している。

それまでは、できるだけクールに、どこかふざけた感じに描き続けるだろう。

おかゆなんか出しちゃ恥ずかしい奴になってしまうじゃん!という思考をするだろう。

そーゆー作家なのである。

「さくら荘のペットな彼女がサムゲタンを出した意味は確定的に明らか」 2012年11月13日 『藤四郎のひつまぶし』
http://d.hatena.ne.jp/alphabate/20121113/1352794411

一話のましろを迎える鍋、四話の改めて空太を迎える鍋、そして六話の七海を精神的に迎える鍋(に見たてたサムゲタン)、とさくら荘のペットな彼女では、誰かを迎え入れる時には必ず鍋を出すと統一してる。

おかゆは普通鍋とは言わない(言わないよね?)。

という見方も演出的にはできるけどね

執筆: この記事はろくさんさんのブログ『WebLab.ota』からご寄稿いただきました。

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