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知の集積としての大学・・・長野大学

知の集積としての大学・・・長野大学

今回は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。
※記事のすべての画像が表示されない場合は、http://getnews.jp/archives/257288をごらんください。

知の集積としての大学・・・長野大学

若い頃、会社の技術者だった私は比較的、会社が自由に活動させてくれたのですが、それでもいろいろな制約があり、特に「知的な活動」をしたい、「専門の違う人と学問の話をしたい」という思いが強く、それもあって40歳代の終わりに大学へ移りました。

でも、その期待は半分も実現せず、大学で利権や「役に立つ研究」などにもまれ、不満が残る大学生活でした。

でも、先日、長野県上田市の長野大学で講演をした後、教員の方との意見交換の場を作っていただき、本当に久しぶり・・・10年ぶりぐらいでしょうか、レベルの高い知的な議論をさせていただき、とても快適な日を過ごしました。

知の集積としての大学・・・長野大学

長野大学は地域の人がお金を出し合って作った伝統のある私学ですが、経営は途中で変わっているようです。今でも地元とのつながりは深く、講演会にも多くの市民の方が来られ、質疑応答も盛んでとても良い雰囲気でした。

大学の使命として「知の創造(研究)、知の伝達(教育)、知の発信(社会)」がありますが、まさに学究的雰囲気の中で知の発信と知の創造がある程度、できたような気がします。大学の雰囲気や教職員の方のレベルの高さもありますが、それに加えて上田市という場所が醸し出す文化的雰囲気が寄与しているのでしょう。

・・・・・・・・・

もっとも印象的だったのが経済学をご専門とされる学長から、

1) 科学の意義として「鍋釜」と「闇を照らす」という二つがあること、

2) 学問的議論と価値観の区別、

について教えていただいた事です。もし、今の日本に長野大学の学長が言われたことが少しでも浸透していたら、地震の被害、原発事故、そしてその後の被曝も緩和されていたと思いました。

科学はまず「鍋釜」を作ります.現代風に言えば「自動車」でしょう。かつては急に熱を出した子供を負ぶってお母さんが必死に吹雪の中を病院に走らなければならなかったのですが、今では暖房の効いた車で子供を連れて行けるようになりました。これが「鍋釜」です。

もう一つ、かつて災害が起こると一人の魔女の責任にして、そこら辺のおばさんを連れてきて火あぶりにするというのが普通に行われていました。迷信、生け贄などがなくなったのは、科学が「人間の心の闇」に光をともしたからです。

また、議論の中には「学問的論理的側面」と「価値観」があり、人間から価値観をとることはできないこと、しかし議論の時には価値観を後退させて、学問的論理的な議論に終始すべき事も教えていただきました。赤面の思いでした。

長野大学でのディスカッションを終え、先生方と楽しくお酒を酌み交わしてホテルに入ると、私はそれまでの「専門家の系統図」にあるヒントをいただいた事が分かったのです。

知の集積としての大学・・・長野大学

(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://px1img.getnews.jp/img/archives/bandicam_20120930_211618430.jpg

今まで私が使っていた系統図がこれです。一番上が学問(科学)の真なる目的で、私はこれを「命令者」と言っていました。そして、法学には「正義」が、医学には「命」が命令者として存在するのに、科学技術には明白な命令者がないことに苦しんでいたのです。

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