20代の自殺率はどの世代より高く就活自殺と学生自殺は最多-先進国で日本だけ若者の死因トップが自殺
この記事はすくらむさんのブログ『すくらむ』からご寄稿いただきました。
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20代の自殺率はどの世代より高く就活自殺と学生自殺は最多-先進国で日本だけ若者の死因トップが自殺
政府が6月8日、2012年版「自殺対策白書」を閣議決定*1しました。藤村官房長官が「若者の自殺が深刻化するという事態に至っており、対策を強化すべき」と関係閣僚に指示したと報道されています。この「自殺対策白書」(以下「白書」)からいくつかのグラフを紹介しながら若者の自殺の実態を見てみましょう。
*1:「平成24年版自殺対策白書 全文(PDF形式)」『内閣府』http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2012/pdf/index.html
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http://ameblo.jp/kokkoippan/image-11274653356-12022142953.html
上のグラフは「白書」に掲載されている「年齢階級別の自殺死亡率の推移」に、私の方で20代の増加の矢印を書き加えてより分かりやすくしたものです。
このグラフを見て分かるように、どの年代より20代の自殺死亡率が高くなっています。そして2番目に高いのが30代で、3番目に高いのが19歳以下になっています。若年層の「生きづらさ」がいかにいま深刻なものであるかが分かるグラフです。
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http://ameblo.jp/kokkoippan/image-11274653356-12022144628.html
上のグラフは「白書」に掲載されている「学生・生徒の自殺者数の推移」です。2011年に始めて1,000人を超えるという深刻な事態を迎えているわけですが、このグラフは「自殺者数の推移」になっていますが、おそらく少子化で学生・生徒の人数は減少しているでしょうから、これを「自殺率の推移」のグラフにすると、もっと深刻な状況であることが明らかになるのではないでしょうか。
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上の表は「白書」に掲載されている年齢ごとに死因順位別を見たものです。
この表を見ると、15~39歳の各年代の死因トップが自殺で、男性は20~44歳の死因トップが自殺となっていて、女性は15~34歳のさらに若い世代で死因トップが自殺となっています。
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上の表は「白書」に掲載されている先進7カ国の15~34歳の死因の上位3位までを見たものです。
若年層で死因トップが自殺となっているのは先進7カ国で日本のみで、その死亡率も他国に比べて高いものになっています。その自殺死亡率を私がグラフにしたのが以下です。
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http://ameblo.jp/kokkoippan/image-11274653356-12023880385.html
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上のグラフは「白書」に掲載されている若年失業率と20~29歳の自殺死亡率の推移です。
「白書」ではこのグラフを示しながら「若年層の自殺」という項を立てて以下のように解説しています。
「経済状況の相対的な改善とともに、中年男性の自殺死亡率が低下しつつある一方で、近年、20代以下の若年層の自殺死亡率の上昇が見られる点が注目される。若年層においては中年層に比較して、『勤務問題』の占める割合が高いことが特徴であり、若年層の自殺死亡率が上昇していることと関係している可能性が考えられるだろう。若年失業率と20~29歳の自殺死亡率の推移を比較すると、両者は近い動きを示すことがわかる(図18)。こうしたことから、若年層における自殺死亡率の上昇は、経済状況の相対的な改善にもかかわらず、派遣社員、契約社員、パート、アルバイト等の非正規雇用の割合の増加など、若年層の雇用情勢が悪化していることも影響している可能性があるものと思われる。なお、特に20歳代以下の若者の『就職失敗』による自殺者数が平成21年を境に急増していることにも注意が必要である。」
上記で「白書」が指摘している「20歳代以下の若者の『就職失敗』による自殺」の問題は、「白書」には具体的な数字やグラフは掲載されていません。この「就活自殺」の問題は、私がグラフ化してこのすくらむブログで何度か紹介していますので *2、下のそのグラフを紹介しておきます。
*2:「就活自殺3倍増・学生自殺初の千人超・仕事に殺される人2割増・政府自ら若者の雇用閉ざす新採抑制」2012年3月10日『すくらむ』
http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-11188534231.html
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http://ameblo.jp/kokkoippan/image-11274653356-11843134429.html
一昨日、東京の日野市で開催された立命館大学教授・唐鎌直義さんの講演を聴きました。唐鎌さんが自殺について語った講演の一部要旨を最後に以下紹介します。
◆年間3万人の自殺は1%による99%への階級的攻撃によるもの
(立命館大学教授・唐鎌直義さんの講演から一部要旨)
社会保障の改悪や消費税大増税が狙われるなど、日本社会では99%から1%へと富が移転する構造がますます加速させられようとしています。それは働く仲間がつくりだした富が、働くものには配分されず、一部の大企業と富裕層にだけ配分される社会へと、この間の構造改革がつくりかえてきた流れを一層加速させるものです。
1%とは一部の大企業と富裕層のことであり、大企業は正規から非正規労働者への置き換えとすべての労働者の賃下げとクビ切りで不況でも莫大な利潤を上げる「腐朽体質」をつくりあげました。これは「開発競争しなくてもリストラで利益が上がる」という日本企業の今日的な「腐朽体質」「規律低下」をもたらし、「痛みをともなう政治」に対する国民の我慢が、大企業にリストラという安易な収益確保の道を選ばせ、国際競争力の低下を招いているのです。
日本の富裕層もアメリカに次ぐ世界第2位の規模に膨れ上がり、たとえば大王製紙の社長がラスベガスとマカオのカジノ賭博で106億円を浪費し、じゃんけん1回100万円という遊びをやっていたというようなところに、大企業と富裕層の「腐朽体質」を見て取ることができます。
私たち働くものが我慢すればするほど、富は1%へと配分され、私たち働くものの99%の側の生活は苦しくなるばかりです。
1%が99%に対して自殺に追い込むという階級的な攻撃が、強きを助け弱きをくじく新自由主義改革、構造改革として行われていると認識すべきなのです。
99%の仲間の命を奪った1%に対して、本当なら怒りの連帯を広げ、大きな社会運動を繰り広げる必要があるのです。
「弱い人間が自殺するのは仕方ない」、「自殺は弱い者の自己責任だから仕方ない」などとする認識は、99%の国民にだけ痛みを強制し、多くの国民の犠牲の上に1%が安住する「腐朽的な資本主義」を一層深刻なものにし、日本経済の没落とともに日本社会をも劣化させていくことにほかならないのです。
執筆: この記事はすくらむさんのブログ『すくらむ』からご寄稿いただきました。
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