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【調査部レポート:SNS 第2回】急成長するニッチSNS

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第1回「本当?日本ユーザのSNS離れ」では、今年発表されたSNSに関するネガティブなデータから、本当にユーザーのSNS離れが起きているのかどうかをレポートした。

たしかに、日本のSNSではユーザーがマンネリを感じ始めていたり、海外の大規模なSNSで起きている過剰なフレンドリクエストがユーザーを居心地悪くさせていたりと、ユーザーの満足度の低下による停滞が起きていることは否めないようだ。

しかし、『MySpace』や『Facebook』など、億単位のユーザーを抱える巨大なSNSが停滞を経験する一方で、コミュニティの目的を絞り込んだ「ニッチSNS」に注目が集まっている。第2回は、次世代のSNSとして注目される「ニッチSNS」についてレポートする。

■ニッチSNSが新規ユーザーを開拓する
ユーザーを限定しないMySpaceや『mixi』のような「コンシューマSNS」の伸び悩みを示すデータが提出される一方で、属性や目的を絞り込んでユーザーを集める「ニッチSNS」がトレンドになりつつある。友人・知人や家族と連絡を取り合う「おつきあい」的な性格が強いコンシューマSNS。一方、ニッチSNSではユーザーが欲しい情報を共有することを主な目的としてSNSを利用するのが特徴だ。

HitwiseUKがイギリスで行った調査結果を見てみよう。2006年から2007年にかけて、若年層のユーザー数が下降しつつあるのに対し、高年齢層のユーザー数が増えているのがわかる。

HitwiseUK The Impact of Social Networking in the UK

HitwiseUK The Impact of Social Networking in the UK

これには、2007年10 月にオープンした50歳以上を対象としたニッチSNS『Sagazone』に参加する高年齢層ユーザーが増えたことが影響している。Sagazoneは、高年齢層顧客をターゲットにした保険・旅行代理店『Saga』が運営するサービス。イギリスを中心にユーザー層を拡大し、2008年7月には4万4000ユーザーを擁するまでに成長している。ニッチSNSが新たなユーザ層を開拓しつつある好例だ。

■急成長するニッチSNS
下記の表は、2008年4月にNielsenが発表した「世界のSNSトップ10」にランクインしたSNSの年間成長率を表にしたものだ。世界で最もユーザ数の多いMyspaceの年間成長率が3%にとどまったにもかかわらず、「ビジネスSNS」の『LinkedIn』は361%と著しい成長を遂げた。

Nielson/NetRatings

Nielson/NetRatings

さらに2008年9月に発表された「成長の早いSNSトップ10」を見てみよう。「ミニブログ」と呼ばれる『Twitter』、「スパムSNS」と悪名高い『Tagged』のほかは、ニッチSNSがずらりと並ぶ結果になっている。

Nielsen/Netratings

Nielsen/Netratings

3位にランクインした『Ning』は、SNS作成アプリケーション、あるいは無数のネットワークが集まるSNSポータルのような、新しいタイプのサービスだ。Ning上で作成されたSNSに参加することはもちろん、デザインや機能をカスタマイズして、自分のSNSを立ち上げることもできる。SNS作成にかかる時間はほんの数分と手軽なのが魅力だ。現在50万以上のネットワークがNing上で作成され、総ユーザー数も300万人に近づいている。

世界最大のビジネスSNS LinkedInは、4月時点の前年比成長率(361%)には及ばないものの、まだまだ好調に成長を続けている。LinkedInは自らを「ソーシャルネットワーク」ではなく「ビジネスネットワーク」と呼び、現実世界の人間関係をネット上に移し変えるだけのSNSとは一線を画している。

「友人とのコミュニケーションを目的にするSNSなんかやってるヒマはないよ」というビジネスパーソンが、「ビジネスを効率的にするために」参加する100%ビジネス目的のSNSなのだ。シリコンバレーのベンチャーキャピタルの98%はLinkedInのメンバーだという。個人間のネットワークはもちろん、会社としてのプロフィール登録、求人情報の掲載、会社設立のメンバー集めまで可能。実際にLinkedInから起業する例があったり、新サービスが巣立っている。

LinkedInでは、登録やプロフィール作成、知人とのコネクション作成は無料だが、自らのコネクションにないメンバーへのコンタクトやネットワークの検索には、1ヶ月19ドル~の登録料を支払う。LinkedInの収益の柱は、登録料と企業からの求人情報の掲載費がメインで、広告からの収入はごくわずかだという。LikedInの持つネットワークが、ユーザーにとってどれだけ魅力を感じさせているかがよくわかる。

2007年9月、『価格コム』や『Twitter』日本語版を運営するデジタルガレージが、LinkedInの日本展開を支援すると発表したが、今のところ日本語版リリースの予定は発表されていない。

このほか、音楽を中心としたSNS 『Last.fm』や同窓会SNS 『MyYearbook』、古い友人や親戚との再会をテーマにするSNS『 Reunion.com』なども、順調に成長しているニッチSNSだ。

■ネットからリアルへ還元される関係性へ
コンシューマSNSは、友人や知人、家族など、現実世界での関係性を再確認し合い、連絡を取り合うことをサポートするツールとしてユーザーに認識されてきた。いわば、現実世界にすでにあるコミュニティをネット上に持ち込んだわけだ。ニッチSNSは、個々のユーザーの趣味嗜好や目的にあわせ、ネット上に新たなネットワークを作り出すことに一役買うことになった。

巨大なコンシューマSNSがニッチSNSへと分岐し、さらにコミュニティが作られていくことによって、ユーザーはより求心力のあるグループへと枝分かれしていく。より効率的で、確率の高い方法で、欲しい情報や目的を共有する相手を見つけられる可能性が高くなっていくだろう。

今はまだ、「現実世界の関係のほうが大切」だと考えるユーザーが多いが、共通の目的や利益を共有するニッチSNSが充実するにつれて、ネット上に作られた「リアルな関係を」現実へと還元する大きな流れを作り出していくかもしれない。

11月27日に発表された『mixi connect』、そして12月15日に発表されたTwitterの『Google Friend Connect』への参加など、近ごろSNSのオープン化の動きが活発だ。最終回は、SNSのオープン化の動きを追いかけてレポートしたい。

■参考資料
The Impact of Social Networking in the UK(要登録)
Ofcom A quantitative and qualitative research report into attitudes, behaviours and use

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記者:

京都在住の編集・ライター。ガジェット通信では、GoogleとSNS、新製品などを担当していましたが、今は「書店・ブックカフェが選ぶ一冊」京都編を取材執筆中。

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