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【「本屋大賞2018」候補作紹介】『星の子』――「信じる」の意味を見つめなおす物語

【「本屋大賞2018」候補作紹介】『星の子』――「信じる」の意味を見つめなおす物語

 BOOKSTANDがお届けする「本屋大賞2018」ノミネート全10作の紹介。今回、取り上げるのは今村夏子著『星の子』です。

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 昨年7月に発表された第157回芥川賞の候補作でもあった本書。両親が新興宗教にのめりこみ、変化していく家庭の様子を子どもの視点から描いた純文学作品です。

 主人公・林ちひろは中学生。小さいころは病弱で、とりわけ湿疹がひどく、専門医にすすめられた薬を塗っても、ありとあらゆる民間療法を試しても回復しませんでした。

 父親が困っていると、会社の同僚の落合さんに、「水が悪い」と宇宙のエネルギーを宿した水「金星のめぐみ」を勧められます。実際、水を替えると次第に快方に向かい完治してしまったのです。このエピソードをきっかけに両親は宗教にのめりこんでいくことになります。

 「金星のめぐみ」には、免疫力向上、右脳活性化など様々な効果あるというのです。両親は落合さんから”水を浸したタオルを頭にのせる”とより効果が得られると聞きます。何でも「宇宙に一番近い部位」である頭に働きかけることによって、「血液中のリンパ球がより一層刺激される」とのこと。両親はこれを受け入れ洗脳はますます進んでいきます。

 母親の弟である雄三おじさんは、「だまされてる」「頼むから目を覚ましてくれ」と何度も家を訪れて、宗教から離れるように説得を続けます。しかし、その願いもむなしく父親は会社を辞めて教団関連の仕事に就き、家庭は困窮。雄三おじさんにちひろの修学旅行の費用を援助してもらう状態でした。

 小学生時代のちひろは、宗教のこともあり、いじめられるほどではないけれど友達がなかなかできませんでしが、宗教のイベントによく参加していたことで、幸いそこには友達がたくさんおり、月2回の集会にもきちんと出ていました。そんなちひろとは対照的に、高校1年生の姉のまさみは家を出ていってしまいます。 

 ちひろにとって転機となったのは中学生3年。かねてからファンだった映画「ターミネーター2」の子役エドワード・ファーロングの”東洋版”というほどイケメンな南隼人先生が赴任してきます。ちひろは恋心を抱きますが……。同時期に雄三おじさんから、”ある提案”をされることになります。ちひろが下した決断とは?

 思春期の繊細な心を通して、宗教を軸に家庭と学校での出来事が綴られる本書。日常と非日常を行き来しながらも、自分の存在を見失わず生きる少女の姿に、とりわけ”人を信じるとは何か”という問いかけを強く感じずにはいられくなることでしょう。

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