「イン・マイ・ブラッド」&「ロスト・イン・ジャパン」ショーン・メンデス(Song Review)
ショーン・メンデスの2018年は、シングル2曲リリースからスタートとなった。
1曲目の「イン・マイ・ブラッド」は、代表曲「トリ―ト・ユー・ベター」や、ザ・チェインスモーカーズの「ドント・レット・ミー・ダウンfeat.デイヤ」を手掛けたスコット・ハリス、ショーンの他にもワン・ダイレクションやマルーン5等の人気アーティストに楽曲を提供したテディ・ガイガー、そしてカナダの音楽プロデューサー=ジェフ・ウォーバートンの3人が制作陣にクレジットされている。彼らは、これまでリリースしたショーンの作品にも楽曲を提供してきた重要人物。
静かなアコースティック・ギター弾き語りから、テンポアップして壮大なサビに繋げるスタンダードなポップ・ソングで、エド・シーランの大ヒット曲「キャッスル・オン・ザ・ヒル」を自己流にアレンジしたような印象を受ける。2曲同時リリースというのも、エド・シーランの『÷(ディバイド)』に影響を受けての戦略か(?)。突き抜けるような高音と、甘く語り口調のような低音の高低差あるボーカル・ワークが素晴らしく、楽曲センス含めその才能には驚かされるばかり。
不安に襲われることもあるが、諦めるようなことは(自分の血の中)にはないという、病んでいるようで前向きな歌詞もショーン・メンデスらしい。これは、自身の体験談から書かれたものだそう。米テネシー州を代表するロックバンド=キングス・オブ・レオンを意識したというこの曲、評論家からも「以前の楽曲と比較しても成熟した一面を見受けられる」という称賛コメントを送られている。
もう1曲の「ロスト・イン・ジャパン」は、タイトルからもお分かりの通り日本について触れた曲。「日本から数百マイル離れた場所にいるけど、今夜君のいるホテルへ飛んで行けたら……」というフレーズが飛び出す、切ない恋心を綴ったナンバーで、取りようによっては日本人女性に片思いをしている、ようにも思える。
この曲にも、前述のスコット・ハリスとテディ・ガイガー、そしてカミラ・カベロの「ハヴァナ」やカイゴ&セレーナ・ゴメスの「イット・エイント・ミー」等を大ヒットさせたルイス・ベルがプロデューサーとして参加している。本人も認めているように、ジャスティン・ティンバーレイク本人かと錯覚するほどそっくりなファンク・ポップで、特にファルセットのコーラスとハモり具合は、意識したレベルではなく、ほぼ完コピ。賛否はあるかもしれないが、彼の成長が伺える、キャリアの中でも重要な1曲になったことは間違いない。
ショーン・メンデスは、2015年にリリースした1stアルバム『ハンドリトゥン』、翌2016年の2ndアルバム『イルミネイト』が2作連続で全米アルバム・チャート(Billboard200)1位を獲得しているが、ブレイク曲「スティッチーズ」(全米4位)や「ホールディン・ミー・バック」(全米6位)がTOP10入りしたものの、未だシングル曲でのNo.1獲得は果たしていない。今回同時リリースされた2曲のどちらか、もしくはどちらも、自身初の首位を獲得するかにも注目したい。
ただ、ジョン・レジェンドの『ラブ・イン・ザ・フューチャー』をそのまま写したようなジャケ写は、どうにもいただけなかった。せっかくの色男なんだから、背伸びせずビジュアルを全面に出せば良いのに……。
Text:本家一成
◎リリース情報
「イン・マイ・ブラッド」
ショーン・メンデス
2018/3/22 RELEASE
「ロスト・イン・ジャパン」
ショーン・メンデス
2018/3/23 RELEASE
関連記事リンク(外部サイト)
ショーン・メンデス、新曲「イン・マイ・ブラッド」を公開
ショーン・メンデス、上半身裸ショットとともに新作のリリースを示唆
「2019年にはさらにビッグなツアーを」― ショーン・メンデス 来日インタビュー
国内唯一の総合シングルチャート“JAPAN HOT100”を発表。国内外のオリジナルエンタメニュースやアーティストインタビューをお届け中!
ウェブサイト: http://www.billboard-japan.com/
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。