豊田真由子議員ネタを入れなかったことを後悔?!『DCスーパーヒーローズvs鷹の爪団』FROGMANインタビュー

FROGMAN

世界的ヒーロー、ジャスティス・リーグを題材にしていることで話題の『DCスーパーヒーローズvs鷹の爪団』が現在話題騒然公開中! 9本目となる劇場版鷹の爪は、ついに世界へと羽ばたき、バットマンやスーパーマンらとともに東京の平和を守ります。

本作で監督・脚本・声優を務めているのは、もちろん「鷹の爪」を生み出し、これまで全ての作品を手がけてきたFROGMANさん。本作では、スーパーヒーロ達のカッコ良いアクション、3DCGの豪華アニメーションという、これまでに無い表現に挑みながら、鷹の爪らしいゆるい笑いはファンを裏切りません。

今回はFROGMANさんに映画について、今後の展望など色々お話をうかがってきました。

DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団

――今日は色々とお話伺わせていただきます。FROGMANさんは元々DCヒーロー達はお好きだったんですか?

FROGMAN:僕は昭和46年生まれなんですが、その世代って高校時代に、バットマンが大人気で。マイケル・キートンがバットマン役で、ジャック・ニコルソンがジョーカー役で、ティム・バートンが監督やっていたりして。その頃青春時代をむかえて、30代になった時に『ダークナイト』3部作という重厚長大な哲学をすごく重んじるバットマンがやってきて。自分の成長に合わせて、常にバットマンを観てきたので、好きというよりも身近に感じていた所があります。僕も映画業界にいたことがあるので、バットマンの様なエンターテイメント性と社会性を両方持った世界観というのは憧れでもありました。

――では今回のお話があった時は興奮されましたか?

FROGMAN:お話がきた、というよりも僕らからいろんな会社さんに鷹の爪で大きな映画作りませんか? と打診していたんですね。ことごとく全部ダメだったんですけど、ワーナーさんから「ちょっとお話を聞かせて欲しい」って言われて、おやおや!と。そこから、2016年の春頃に7分くらいのパイロット版を作って。7分というと短く感じるかもしれないけど、アニメーションスタジオ「GONZO」さん、にキャラクターデザインをおこしてもらって、アクションシーンもしっかり作って、割とお金かけて作ったんですよ。これがダメだったらどうしようって思ったんですけど、ちゃんとウケて。GOをもらったのが去年です。

――『ジャスティス・リーグ』の公開も控えていますし、今後DCヒーローズが盛り上がっていく中で、皮きりの作品となりました。

FROGMAN:そうなんですよ。『ワンダーウーマン』の後、『ジャスティス・リーグ』の前という真ん中なので絶対良い作品を作らなければという気持ちでした。鷹の爪の映画って、単なるアクションとか単なるコメディじゃなくて、どんな映画にも似てない作品にしないけないって思ってて。鷹の爪のイメージって何っていったら、お金がない、毒舌、シュールで、そのくせ最後ちょっとほっこりしたりして。そこにどうやってDCヒーローズを巻き込んでいこう? というのが一番の課題でした。

DCヒーローズは鷹の爪と同じ属性でやっちゃいけないし、彼らは彼らで特別な存在で人間を超越した孤高のヒーローでなきゃいけないし、そこどう結びつけるかというのは、大分神経使いました。

――二つの世界観をどこで、一緒にするかみたいな。

FROGMAN:映画『天才バカヴォン ~蘇るフランダースの犬~』の時も、『天才バカボン』をいかに鷹の爪テイストにして、そこにフランダースの犬もいれるかというのが課題で。そういうことは結構やってきてるんですけど、本作は今までつくってきた映画の中で1,2を争うほど大変でしたね。だけど1,2を争うほど楽しかったですね。

――大変ですけど楽しかった、と。素晴らしいです。ワーナー側の細かいチェックもあったんですか?

FROGMAN:ありましたけど、思ったほどなかったです。というのは、日本のワーナーさんがものすごく、がんばってくれてるんですよね。むこう(米国のワーナー)が100言ってきたことを、日本のワーナーさんでせき止めてくれて、僕たちに1,2しかこないみたいな。日本のワーナーさんがリスペクトしてくれて、味方になってくれたのは僕らの幸運でしたね。もしそれが「DCの方が圧倒的で、鷹の爪なんてゴミみたいなアニメじゃん」という感覚で、海外から送られてくるメールを、僕らにスールーパスするような人たちだったらとても完成してなかったと思います。

DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団

――おなじみの吉田くんがDCヒーローズになった「吉田ジャスティス・リーグ」もめちゃくちゃ可愛いですよね。

FROGMAN:あれ、すごく評判良いんですよね。映画の中では、ちょこっとしかでてこないのですが、今後できれば彼らのスピンオフでテレビシリーズやWEBシリーズができたら、いいなって思っています。

――DCヒーローズってバットマン、スーパーマン、ワンダーウーマン以外は知名度が高くなくて、それが吉田くんとコラボすることで、広い世代に認知されていきそうですよね。

FROGMAN:今回組ませていただいたのには、その役目も実はあったりするんだろうなと思います。『ダークナイト』3部作も世界的にすごく評価高いし、映画ファンの評価も高いのですけど、女性だったりとか、子供たちの認知というと、そこまでじゃないんですよね。作品としては完成度も高いし、僕も大好きなんですけどそこは、DCヒーローズの悩みなんだと思います。DCはマーベルと比べると重い、デート映画で見る感じじゃないよなって。そこで鷹の爪の様なコメディ映画と、なんかこううまい事コラボできるといいんじゃないかなって思われた様です。『ワンピース』とか『ドラゴンボール』とか、他にもいいのがあったんじゃないかと気はしなくはないんですけど(笑)。

――鷹の爪の笑いってシニカルなので、子供には分からないかな? と思いつつ、全然そんなことないですもんね。子供ってシニカルで毒のあるもの大好きで。

FROGMAN:そうそう、「子供だからこれでいいでしょ」じゃなくて、子供って毎日毎日大人になってるんですよね。だから大人の文化ってのは、すごく興味あるし。大人になると、「俺はこれが好きだから、こういうの嫌い」って自分で決めちゃうんですけど、子供には関係ないもんね。

おかげさまで、鷹の爪もNHKのEテレで4年間放送していたので、子供たちの認知度も広がって。なにより僕の子供が、幼稚園時代に「誰も鷹の爪なんて知らないよ」ってぼやいてたのが、NHKで放送するようになってから「鷹の爪みんな知ってるよ!」って。鷹の爪はちょっと変わったアニメだけど、触れたら受けれ入れてくれるんだって、僕らも発見でした。

DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団

――本作でも政治ネタ・時事ネタとかシニカルな笑い満載なので、大人も子供も楽しめると。

FROGMAN:結局どんなコメディよりも政治の世界っていうか、この世の中が、一番バカげてるって思いますもんね。覚えてないとか記憶にないとか、くだらないことばっかり言ってる政治家ってたくさんいるじゃないですか。子供だって言わないような言い訳というか、もし子供が先生に問い詰められて「記憶にないです」なんて言ったらすごく怒られるのに。そんなこと平気で言っちゃって、それですまされちゃう方が、滑稽だなって思いますね。

本当は豊田真由子議員のネタなんかもやりたかったんですけど、制作している時はメディアにかなりバッシングされていたので追い詰めたらいけないと思いいれなかったんですね。でも、会見で「国会議員やめません」ですから。あ、この映画でもいじっておけば良かったって思いました。

――鷹の爪ファンって、何かあると「鷹の爪にいじってほしい」って思いますもんね。

FROGMAN:批判ばかりするよりも「なんかおかしいよね」っていうことを描きたいですね。「ストレンジ」な部分と「ファニー」な部分って、日本語だと、同じ「おかしい」になっちゃいますけど、それを一緒くたにして笑えるってことってコメディ作品の一番いいところだと思うんですよ。かつて日本の映画のコメディ作品もそうだったのだけど、いつの間にかコメディ作品ってそういうものじゃなくなってきちゃってて。もっと社会風刺とか世の中おかしいなってことを笑いに転換して、みんなで笑い飛ばすってことってもっとやってもいいなって思います。

――これからもたのしみにしております。どうもありがとうございました!

img_7759 DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団

【ストーリー】
ジョーカー率いるヴィラン達が日本を急襲!その狙いは、鷹の爪団の秘密兵器を奪い、悪用すること。いち早く危機を察知したジャスティス・リーグは東京に集結し、鷹の爪団と合流するが、その中にバットマンの姿はない。なんと彼は、ジャスティス・リーグを脱退していた! しかし、鷹の爪映画の最大の弱点は予算。莫大なキャラクター使用料とハイクオリティなアニメーション作画を要するジャスティス・リーグは、大富豪であるバットマンの資金援助なしでは満足にアクションを披露できず、ザコすら倒せない! 果たして鷹の爪団とジャスティス・リーグは、自宅に引きこもっているバットマンを呼び戻せるのか? そして、ジョーカーの野望を打ち砕くことはできるのか!?

DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団 DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団 DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団

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藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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