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「ほめて育てる」はどんな部下にも通用するか

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「ほめて育てる」はどんな部下にも通用するか

「定時で帰りたいからあまり仕事を振られるのは困る」

「起業するから3年で辞める」

など、働き方への価値観が多様化している今、様々な考えを持つ部下をまとめる上司は必然的に難しい役割になる。

信頼関係を築くための接し方や言葉がけは相手によって異なることは今も昔も変わりないが、その振れ幅や、振れ幅に対応して必要とされるキメ細かさを考えると、たとえば30年前よりもマネジメントの難易度は上がっているはずだ。

そんな中で、上司に必要な考え方や資質はどのようなものになるのか。今回は『部下のやる気を引き出すワンフレーズの言葉がけ』(日本実業出版社刊)の著者、占部正尚さん(以下、敬称略)にお話をうかがった。

■簡単そうで難しい「ほめて育てる」のワンポイントアドバイス

――『部下のやる気を引き出すワンフレーズの言葉がけ』では、アメリカのスポーツ界で生まれた「ペップトーク」を職場での言葉がけに応用しています。まずはこのペップトークがどんなものか教えていただけますか。

占部:ペップトークの「ペップ」っていうのは、「ペプシ・コーラ」の「ペプシ」に通じていて、爽やかなイメージの言葉です。通常「pep up」という熟語として使われて、場を盛り上げて活発にするとか、よりよくするという意味です。かなり日常的に使われている言葉ですね。

なので、ペップトークにしてもアメリカではもうおなじみですし、アメリカ人はこれが大好きなんです。インターネットを見ると「私の好きなペップトーク ベスト10」みたいな記事が出ていたりして。

――具体的にどんな場面で行われるものなのでしょうか?

占部:スポーツでいえば、大事な試合の前に監督やコーチがダッグアウトやロッカールームで「さあ、行ってこい!お前たちなら勝てる!」といって選手達を勇気づけたり、気持ちを奮い立たせる言葉をかけるのが代表的です。

具体的な例としては、1980年のレークプラシッド冬季オリンピックでのアイスホッケーのアメリカ代表の活躍を描いた『ミラクル』という映画がわかりやすいと思います。

当時は冷戦中でしたから、スポーツの試合であってもアメリカとソ連が対決するとなると、代理戦争の様相でした。その頃のアイスホッケーのソ連代表といえば世界最強です。アメリカもむざむざ負けるわけにはいかないので、トップ選手たちを送り込むのですが、トップといっても学生ですから、実力ではソ連に太刀打ちできないんですよ。

それは本人達もわかっていて、ソ連との試合の前はみんながガチガチに緊張してしまうわけです。そこに監督がやってきてペップトークをするんですね。「10回戦ったら9回はソ連が勝つだろう。ただ、今夜この1試合は違う。お前たちが勝つ」といって。

すると、みんな顔色が変わって血が騒いでくる。「よし、この1戦に賭ける」といった雰囲気が出てくるんです。そして最後に監督が「ソ連の時代は終わった。お前たちの時代だ(This is your time)」と言って送り出すんです。

結果、アメリカは本当にソ連を破って金メダルを獲得するのですが、この出来事は「氷上の奇跡」といっていまだに語り継がれています。これが代表的なペップトークですね。

――ペップトークというものは、そのままビジネスにも転用できるのでしょうか。

占部:そのまま転用できると私は考えています。たとえば、営業などはスポーツと似たところがありますよね。コンペなどで競合同士プレゼンをして、その内容で受注が決まるのであれば、それはもう戦いじゃないですか。

そういう場面なら「おまえが練ってきたその企画をきちん説明したら、俺たち絶対勝てるからな」という言葉がペップトークとして有効なわけですが、ペップトークというのはただの激励ではなくて、本質はモチベーションのキープにあります。

だから、人事や総務など、わかりやすい戦いをしない人には、そういった人に向けたペップトークがある。たとえば「いつも、ひとつひとつの仕事をきっちり間違いなくこなしているのを見ているよ」とか「いつも正確な決算書つくってくれるよね。ありがとう」といった言葉がけです。

バックオフィスの人は、正しくミスなくやって当たり前と見られます。だからこそ、その正確さに光を当てて敬意を表すことで救われたり、やる気が出る人は多いはずです。

――本書では「ほめ方」についても多くのページを割いて解説されていましたね。今は「ほめて育てる」が主流になっていますが、これがなかなか難しい…

占部:ほめるところが見つからないなら、お礼を言えばいいだけのことなんですよ。

一所懸命企画書を作って出してきたら、内容を見る前に「これから中身を見るけど、ひとまずありがとうね」とお礼を言えば、部下の方も苦労を認められたと考えて、報われた気持ちになるでしょう。

それに、何十年も生きてきている以上、何の価値もない人間なんていませんよ。もしそんな人が職場にいるなら、それはどちらかというと雇った側に問題がありますよね。

――本にも書かれていましたが、近年は働くことへの価値観が多様化しています。今の会社で出世したい人と、起業したいから3年で辞めると決めている人、定時で帰りたいからあまり仕事を振らないで欲しいという人では、それぞれにやる気が出るポイントは異なるはずですが、そのポイントをどのように見極めればいいのでしょうか。

占部:これはもう、普段のコミュニケーションでしょうね。どんな時にやる気が出るかについて本人と話しておけばいいわけですが、ほとんどの上司は部下とそういった話をしていません。

なぜかというと、多くの管理職の方は「きちんと仕事をこなしていることを会社から認められたい、そのために部下をどう動かしてやろうか」という観点しか持っていないからです。上司と部下の関係に限らず、親子でも教師と生徒でも同じですが、自分の利益のために相手を教育しようとしても反発されるだけでしょう。

だから、自分の利益のためではなく、「相手にとって何が一番いい状態なのか」と相手の立場になって考えることが、上司と部下の関係においてもスタートなんです。となると、いかに日頃からコミュニケーションをとって相手のことを知るかが大切になるわけで、その一環として「どんな時にやる気が出るか」についても話されるべきだと思っています。

――本書では部下のやる気を引き出すワンフレーズが紹介されていますが、それも普段のコミュニケーションがあってはじめて機能すると。

占部:普段話していない相手をワンフレーズで変えることができるなら苦労しませんが、そううまくはいきませんよね(笑)。普段の会話があってはじめてワンフレーズが機能すると考えていただきたいです。

(後編につづく)

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