’14 LAND ROVER DEFENDER 110【EDGE/名車への道】

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1948年から製造され、軍用車などハードな使用に耐えられる車として開発されたランドローバーシリーズ。1983年にシリーズ3へと進化し、名前を90/100に。その後1990年からディフェンダー90/100へと名前を変える。デザインは初代から継承していたが中身は徐々に進化を続け、最終型にはTd5と呼ばれる直5 2.5Lの高性能ディーゼルエンジンが用意された。残念ながら生産は2016年をもって終了となった。

▲1948年から製造され、軍用車などハードな使用に耐えられる車として開発されたランドローバーシリーズ。1983年にシリーズ3へと進化し、名前を90/100に。その後1990年からディフェンダー90/100へと名前を変える。デザインは初代から継承していたが中身は徐々に進化を続け、最終型にはTd5と呼ばれる直5 2.5Lの高性能ディーゼルエンジンが用意された。残念ながら生産は2016年をもって終了となった。

クラシックカーになる直前の80、90年代の車たちにもこれから価値が上がる車、クラシックカー予備軍は多数存在する。そんな車たちの登場背景、歴史的価値、製法や素材の素晴らしさを探ってみたい

こういう車がのちのち名車になっていくんだよ

EDGE:さて今回は、今後名車になって行くであろうSUVを見に行きたいと思います。

松本:SUVか。始祖という意味ではワゴニアとかもいいね。

EDGE:いや、今回はディフェンダーにしようと思います。見た目は古いけど実は昨年まで製造されていたので、名車予備軍としてはピッタリじゃないかなと。

松本:クラシックな雰囲気を持っていて最新、いいんじゃない。外観と基本的な構造が変わらないのは凄いことだから。

EDGE:あ、このお店です。そのグリーンのやつがそうですね。

松本:やっぱり雰囲気はいいね。塗装は最近のメタリックを使った深い緑だけどアインツリーグリーンっというそうなんだよね。正規で入ったショートボディのディフェンダー90にもあった色かな。僕が乗ったことがあるのは1980年式の109ってやつで、ディフェンダーに移行する前のモデルだったんだ。フロントウインドウの下に手動のベンチレーションが備わっていて、開けると風がビュンビュン入ってきて気持ちよかったなぁ。ついでに雨まで入ってきちゃったけどね。

EDGE:外観のデザインもさほど変わってないんですね。

松本:本当? そうだね。サイドとリアのボディパネルの造形はシリーズⅡの1958年から最終型の2015年のディフェンダーまで極端に変わってないよね。ランドローバーだったら、個人的にはシリーズⅠが好きだね。最近ランドローバー社でもレストアされたモデルが販売されたけど、本当に欲しいと思ったよ。完璧なレストレーションだからね。しかしイギリスが凄いのはジャガーだってランドローバーだってクラシックモデルがメーカーの保証で作れるんだ。日本ではちょっと考えられないよね。そういう部分に懐の深さを感じるよ。

EDGE:ランドローバーのディフェンダーって新車でも横から見るとボディがボコボコしていますよね。あれでいいんですか? 商品としてどうなんだろうって思いますよ。

松本:あれがいいって言う人もいるんだよ。僕も好きだなぁ。スキがある車っていま、ないじゃない? 1948年から2015年までのランドローバーってアルミとスチールのハイブリッドボディなんだよ。ボディの内側と外側のパネルを接合する方式はブラインドリベットというイギリスで発明された接合方式なんだ。溶接に比べて素材の素性を変えることなく接合できるからね。F1やグループCカーはカーボンコンポジットが出てくるまでずっと、ブラインドリベットだったんだよ。

EDGE:でも昔のランドローバーの窓枠は銀色の鉄のようなモノに見えましたけど、アルミじゃないんですか?

松本:これは有名な話だからランドローバー好きの人には釈迦に説法なんだけど、戦後のイギリスは自由に鉄を使うことが難しかったんだ。もっとも航空機産業が盛んだったこともあって飛行機の外観に採用しているアルミ合金の加工はお手の物だった。その接合方法こそリベットだったんだ。それとルーフを見た? FRPなんだよ。航空機っぽいでしょ。

EDGE:航空機技術を自動車に導入したってことですか?

松本:その部分においては、だけどね。話は戻るけど窓枠の銀色の素材は間違いなく鉄なんだよ。錆びにくいように表面処理を施しているんだ。ブリキの缶のような表面になってるでしょ? 溶融亜鉛メッキという方式で、なかなかアクセントになるんだよ。基本的な骨格は強靭な梯子フレームなんだ。トラックだってあったし装甲車のようなミリタリー仕様もある。様々なところで活躍した本物の中の本物だよ。

EDGE:へぇー。どことなくゲレンデにも似てますよね。

松本:そりゃ似るよね。これだけ同じようなコンセプトで機能的に研究し尽くしたモデルなんだから。ボクの持っている資料に1973年頃に造られた次期ランドローバーのクレイモデルの写真があるんだけど、ゲレンデワーゲンにそっくりなんだ。ゲレンデワーゲンは1979年からだからね。興味深いね。

EDGE:なるほど。おもしろいもんですね。

松本:でもこのモデルを見るとベンチレーションの跡はあるけど、開かないみたいね。

EDGE:確かに。雨が入ってきそうか、見たかったのに……。

松本:しかしいま見ても最低地上高の高さといい、アプローチとデパーチャーアングルを考えたデザインはしびれるね。走破性を突き詰めて造られたデザインはカッコイイよ。60年以上作られた機能美。さすがに内装は新しいけど反射を抑えた素材なんかは手抜きがないね。さすがだよ。こういう車がのちのち名車になっていくんだよね。

ディフェンダーリア ディフェンダーインパネ ディフェンダーエンジン ディフェンダーシート ディフェンダーイメージ

【関連リンク】

UK Classic Factorytext/松本英雄

photo/岡村昌宏

※カーセンサーEDGE 2017年2月号(2016年12月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています

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