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45年前のアメリカで“異人種間結婚”の壁を打ち砕いた夫婦の話

国際写真センターは、ピューリッツア賞を受賞しベトナムで取材中に殉死した伝説の報道カメラマン“ロバート・キャパ”を称え、弟の同じく報道カメラマンのコーネル・キャパが設立したセンターである。

そのセンターで『The Loving Story』という写真展が行われている。タイトルだけ見ているとラブストーリーのような気もするが、この“Loving”はラストネームで、リチャード・ラビングとミルドレッド・ラビングのラビング家の物語を意味していた。私自身も展示会場に足を運ぶまで『The Loving Story』は何か愛らしいものの物語だと思っていた。

写真の2人がラビング夫妻で夫は白人、妻は黒人である。今から45年前のアメリカは16の州で異人種間の結婚が認められていなかった。バージニア州もその16州のうちのひとつであった。1958年2人は首都ワシントンDCで結婚し、バージニア州に戻って生活を始めたが5週間後の深夜2時に警察により逮捕された。

2人の出会いはリチャードが17歳の時、ミルドレッドは11歳だった。2人は友情を育み、それが愛情に変わっていった。結婚は新婦18歳、新郎24歳、1958年6月2日に新婦の父親と兄弟のうちの1人が証人となりとりおこなわれた。

同人種間なら何も問題もない結婚生活が、当時は白人、黒人のカップルというだけで、この若夫婦の人生を複雑なものにした。しかし、2人は異人種間の結婚禁止の法律に立ち向かい、1967年に最高裁でこの法律を違憲とすることを勝ち取ったのである。

異人種間の結婚を英語で“interracial marriage”と言う。実のところ“international marrige”だとずっと思っていた。いや、私などはこの時代の黒人差別の背景を詳しく知らなかったし、今やこの国では異人種間結婚の“interracial marriage”より、国際結婚の“international marrige”の方がしっくりくる。逆に異人種間結婚の“interracial marriage”の響きのほうが差別的な気がする。

今年の2月14日、バレンタインデーにアメリカの映画専門テレビのHBOがこの2人のドキュメンタリーを放送したとある。HBOはホームページで「このドキュメンタリーは1958年に異人種間で結婚し、法律に立ち向かったミルドレッドとリチャードの心温まる物語である」と紹介している。

夫リチャードは1975年にバージニア州で酔っ払い運転の車に当てられて41歳で死亡した。同乗していた妻ミルドレッドは一命はとりとめたが右目をこの事故により失明した。未亡人となったミルドレッドは2008年5月2日、バージニア州にて肺炎で他界。

国際写真センター(International Center of Photography)は、知らない出来事を写真によって知ることができ、改めてこの世の中は知らないことが多いことを知らされる場所である。

国際写真センター(International Center of Photography)にて『The Loving Story』は2012年1月20日から5月6日まで開催中
http://www.icp.org/museum/exhibitions/loving-story-photographs-grey-villet
1133 Avenue of the Americas at 43rd Street, New York, NY 10036

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