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【メガマソ】 『MEGAMASSO Summer tour2017 “天使崩壊サマーデイズ~きみはただしいんだよ~”』 2017年8月20日 at 渋谷WWW X

 “今日、みなさんに伝えなければいけないことがあります。2017年11月23日、北とぴあ さくらホールのワンマンライヴで、メガマソは解散します”
 (okmusic UP's)

 ダブルアンコールに登場するなり涼平(Gu)が涙声でそう告げると、場内は水を打ったように静まり返った。こういった受け入れ難い告知がライヴでなされた場合、ファンの悲鳴と嗚咽が場内を満たすのが常だが、彼らの場合そういった声は驚くほどわずかで、大多数が続く言葉を聞き漏らすまいとじっと耳を傾けていた。それはメガマソの生み出す世界にどれだけファンが心酔し、どれだけ愛してきたかの証だったかもしれない。

 取材時に“よりメガマソの深い部分が表現できた”と語っていた最新アルバム『天使崩壊』を引っ提げての全国ツアー最終日。「シスタン」に「天使崩壊」とアルバムと同じメニューで幕開けたステージは、頭からハードなナンバー続きで実に攻撃的なものだった。“思い切り楽しい夏にしようぜ!”と限界知らずのハイトーンヴォーカルを伸びやかに贈るインザーギ、思い切りよくコーラスを入れながらニコニコと笑顔でギターを掻き鳴らす涼平、対して黙々とベースを弾きながら重厚なオーラを放つGou。アルバムの豊かな緩急はメガマソのひと筋縄ではいかない個性をあらわにし、インザーギと涼平がやわらかく歌を掛け合う「フラワリングピッツィカート」、神秘的な氷の音が鳴る「ICY MILK LAKE」では深遠な世界観に拍手が沸く。そんな中でメンバーが夏派と冬派に分かれて闘ったりと、アットホームなMCを随所に挟みながらも後半戦はノンストップ。アッパーな楽曲群でフロアーに拳と声をあげさせ、「The Requiem」では合唱するオーディエンスに向かって“お前たちが好き!”とインザーギが歌い替える。続く「LIPS」ではセンターに集まった3人が、キャッチーなメロディーに大きく手を振るフロアーを揃って見つめる場面も。その一方、デジタリックなビートとアコースティックなサウンドが融合した「ichigoサマーデイズ楽しみさい。」で、本編の最後に深海の底のような静謐さを醸す手腕は、さすがバンド10年の賜物である。

 アンコールでは“夏らしいことは、とことん熱くなること!”と、激情噴き出すナンバーを畳みかけてヘッドバンギングの嵐を巻き起こし、そして再度登場すると冒頭のシーンへ…。“メンバー間の音楽に対する向き合い方が違ってきてしまった”“それでもメンバーはこれからも家族だし、友人”と語った涼平は、“最後のライヴに僕たちの11年間をぶつけて最高のライヴにしたいと思います”と宣言した。続いて、Gouが“メガマソの世界は幕を閉じます。のんびりとでも続けられないかと思ったけど…こういう結果になりました。10年間この3人だから続けられました。11月23日まで駆け抜けるんで、どうぞ3人を見守ってください”と、言葉少ないながらも真摯に伝える。そして、最後にインザーギが思いの丈を振り絞った。

 “最後の最後までメガマソがなくならないように道を探して、守りたかったんですけど…こういう結果になってしまって、すごく悔しくて残念です。僕が生まれた場所で、僕が初めてインザーギとして育った場所です。愛してるし、大好きだし、その気持ちにひとつの曇りもありませんでした。11年間こうして作り上げたメガマソの世界は本当に最高だし、僕たちと君たちで作り上げた最高の世界です。存続させたかった、続けていきたかったって今でも思ってしまうけど…11月23日でメガマソの世界を終えることとなりました。この素晴らしい世界を噛み締めながら、11月23日まで駆け抜けたいと思います。最後に、聴いてください”。そうして贈られた「ブラインドイノセンス」の歌詞は今の状況と悲しいほどに符合して、ついにオーディエンスの涙の堰を決壊させるが、最後には拳を振り上げる彼らの姿はバンドの下した決断を必死に受け止め、応えようとしているかのように観えた。それもまた間違いなくひとつの愛のかたちだろう。

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