ガジェット通信 GetNews

見たことのないものを見に行こう

大阪人にとって「551蓬莱の豚まん」はいったい何なのか【ナニワ定番研究】

DATE:
  • ガジェット通信 GetNewsを≫
大阪人にとって「551蓬莱の豚まん」はいったい何なのか【ナニワ定番研究】 f:id:Meshi2_IB:20170713161401j:plain

大阪に引っ越してきて4年近くなるのだが、ようやく大阪にとって「551蓬莱の豚まん」がどういう存在なのか分かってきた気がする。

たとえば、一日出歩いて少し疲れた帰り道。

「疲れた。もう今日の夕飯は簡単なもので済まそう」という気分の時に駅前にちょうどよく「551蓬莱」のお店があった時、「よし! 夕飯は551の豚まんにしよう!」と思うことによってテンションが一気に上がる感じ。

あるいは、家に友達が遊びに来た時に、「551買って来たよー」と言われた時の、友達に対して感じる「こいつ分かってるわー! 最高の友達!」という気持ち。

ぜいたくなグルメというような存在ではなくて、あくまで日常の中にありつつグッと幸福感をもたらしてくれるもの。身近なごちそう。それが「551蓬莱の豚まん」ではないだろうか。どうでしょうか。

「551蓬莱」には有名なCMシリーズがあって、お笑い芸人のなるみちゃんと、株式会社蓬莱の取締役常務である田中一昭さんという方が主に出演しているものなのだが、「551蓬莱の豚まん」がある時は最高で、ない時はものすごい辛い、という気持ちをストイックなまでにシンプルに表現した内容になっている。

いかにも大阪と言う感じでちょっと大げさな表現のだが、「551がある時」、テンションが上がるというのは間違いではないのだ。

今さらだが、知らない人のために簡単に説明しておくと「551蓬莱」は大阪を中心にチェーン展開する中華料理店で、名物は「豚まん」

いろんな中華料理メニューを食べられるレストランやイートインを備えた店舗もあるが、駅構内などに設置されたテイクアウトのみの店舗も多い。梅田やなんば、新大阪など大阪の主要駅付近には複数の店舗がある。

謎の数字「551」は、創業当時の店の電話番号からとったもので、今もいくつかの店舗の電話番号末尾には「551」が使われている。

名物「豚まん」かく生まれり

f:id:Meshi2_IB:20170706153533j:plain

今回はそんな大阪の身近なごちそう「551蓬莱の豚まん」について改めて考えるべく、大阪は難波にある「551蓬莱 戎橋本店」を訪ねることにした。

株式会社蓬莱・営業部の西本茂基さん、総務部の八田実紀さんに立ち会っていただき、まずは厨房で豚まんを作っているところを見せてもらう。

f:id:Meshi2_IB:20170706153555j:plain

キャップとマスクを着用し、衛生面に細心の注意を払ったほかは「どこでもお好きなように撮影してください!」とのこと。

f:id:Meshi2_IB:20170706153608j:plain

こちらが豚まんひとつ分の分量に合わせて切り分けられた生地である。

f:id:Meshi2_IB:20170706153626j:plain

そして青いバットに入っているのが具材だ。

f:id:Meshi2_IB:20170706153637j:plain

具材をすくい取り、伸ばした生地の上に乗せて包んでいく。この動きがものすごい速さ。

f:id:Meshi2_IB:20170706153648j:plain

1分間におよそ4個というスピードで作っているとのこと。一瞬にして美しい豚まんが出来上がる。

f:id:Meshi2_IB:20170706153700j:plain

その日の注文数にもよるが、ここ「551蓬莱 戎橋本店」では、多い時は一日に約1万個の豚まんを作るという。具材を包み終え、セイロに並べていく。

f:id:Meshi2_IB:20170706153710j:plain

美しい光景。

f:id:Meshi2_IB:20170706153719j:plain

一定の量ができあがったところで同じ厨房内にある蒸し器で蒸す。

f:id:Meshi2_IB:20170706153730j:plain

ほっかほかの豚まんの出来上がり。まばゆい。

f:id:Meshi2_IB:20170706153746j:plain

厨房の外はすぐ販売カウンター、お客さんの注文を受けて蒸したての豚まんが箱詰めされ、どんどん売れていく(2個入 340円、4個入 680円、6個入 1,020円、10個入 1,700円)。

こうしてみると、その場で作った豚まんを出来たて状態ですぐに販売しているというのが分かる。なんだか当たり前のことを言ってしまった気がするが、効率的ではあるけど、予想以上に素朴に手作りなんだなと驚かされたのだ。

豚まんの中にも美人がいる!?

厨房の様子に「ほほぉー」と圧倒された後、場所を移して営業部の西本さん、総務部の八田さんにお話をうかがうことにした。

── 厨房を見せていただいて、スピード感に圧倒されました。ああやってその場で作るということに、やはりこだわりがあるんでしょうか?

「鮮度を大事にしています。『551蓬莱の豚まん』の具材は玉ねぎと豚肉だけでとてもシンプルなんですが、毎朝、玉ねぎを切るところから始まります。豚肉も同じで、その日に販売するものをその日の朝に調理します。そこまでは浪速区桜川にあるセントラルキッチンで行って、そこからコンテナで各店に運び、先ほど見ていただいたようにお店で包んで蒸していくんです」(西本さん、以下敬称略)

f:id:Meshi2_IB:20170706161020j:plain

── 鮮度をキープするためには、遠いエリアにお店が出せないということになりますね。

「関西圏以外に店舗を出していない理由としてもそれが大きいですね。お客様に新鮮なものを届けられる範囲でやろうとするとそうなってしまいます。豚まんの生地もその日にセントラルキッチンで練って、オープンに間に合うように届けておりまして、どうしても遠いところには持って行けません。毎日、朝4時~5時に生地や具材などの本格製造が始まって、7時~8時に各店舗に向かう最初の便が出るような感じです。それで各店のオープンに間に合わせています」(八田さん、以下敬称略)

── 生地と具材まではセントラルキッチンで作っているから同じだとしても、ああやって1個ずつ手で包んでいくと、お店によって違う形になったりすることもありますか?

「はい。実は全然違うんですよ(笑)」(西本)

「私たちは豚まんの形のことを“顔”って言うんですけど、お店によって顔が違います。同じお店でもスタッフによって変わってきますし。顔がきれいな豚まんは美人豚まんと呼んでいます(笑)」(八田)

「例えば具材が少し真ん中からずれて偏って入ってしまうと、食べていただいた時に一口目の食感がいつもと違ったりするわけです。形一つとってもそのあたりが左右されてきますので、かなりスキルが求められる仕事ですね」(西本)

── ということは、551蓬莱マニアの方にとっては「やっぱりこの店舗の豚まんが一番なんだよなー」と、お気に入りの店舗が存在するというようなこともあるわけですか?

「それはあるかもしれないですね。生地の発酵具合なんかもスタッフの目によって見極めておりますので、どの状態で蒸すのが一番おいしいかとか、ノウハウを蓄積されていて、スタッフの長年の経験などによって変わってくる部分もあったりしますし。『551蓬莱の豚まん』って生き物感が強いんですよ(笑)。生命が宿ってると言いますか」(八田)

── おいしくなるように大事に扱っているわけですね。例えば店頭で豚まんを買って、持ち帰ってある程度時間が経ってから食べるという時にはどうやって扱ってあげるのがいいんですか?

「まず、長い時間が経ってしまって相当冷めたものを除いては、そのまま食べてもおいしいですよとお伝えさせていただいています。冷蔵庫に入れておいて、翌日に食べるというような場合は、とにかく水分を与えてあげて欲しいです。生き物ですから(笑)。できれば蒸し直して召し上がっていただくのが一番ですね。最近では100均ショップなどでも電子レンジ用の蒸し器が手に入りますので」(八田)

「でもまあ、ラップをかけてとりあえずレンジでチンっていう気持ちも分かりますけどね。私もたまにやってしまいます。それでも十分おいしいですが、ひと手間加えるとかなり違いますよ」(西本)

「蒸すと色からして全然違うのでぜひ試してみて欲しいです。 わぁー! ってなりますよ」(八田)

カラシはやっぱり必須中の必須

── 「551蓬莱の豚まん」というと、必ずカラシがついてきますよね。私は関東出身なんですが、そもそも豚まんにカラシをつけて食べること自体が新鮮でした。今ではもうカラシなしでは食べられないですけど!

「ありがとうございます。東京では驚かれる方も多いようですね。実はカラシも自社製なんですよ。豚まんに合うカラシを追求した結果、自社で製造することになりました。うちのカラシは余計な添加物を入れていないシンプルなものなので、基本は豚まんと同じくできるだけ早めに食べていただいたきたいんです。2、3日してくると色が変わってきて、エグみが出てきてしまうので、できれば早く食べていただきたい。でも、冷蔵庫の卵ポケットのところにカピカピになって残っているっていうのが、関西のご家庭のあるあるなんですよね(笑)」(西本)

「保存料が一切入ってないんです。市販のものと比べていただくと色がかなり違うんです。豚まんを作るということは、カラシも作るということで、豚まんと同じようにその日に使う分をその日に作っています。カラシは焼売にもつけるので個数的には豚まんより作っているぐらいです」(八田)

f:id:Meshi2_IB:20170706153807j:plain

── なるほど! あれって豚まん1個に対していくつ使うのを推奨されているんですか?

「一応、豚まん1個に対してカラシ1個なんですけど『たくさん入れてください!』という方にはできる限りお応えしています」(八田)

── カラシ以外に、夏には限定でポン酢がついてくるんですよね?

「そうなんです。夏のポン酢は2012年から始めました。豚まんは温かい食べ物ですので、どうしても夏になると売り上げが少し落ちるんです。そこで、夏でもさっぱり豚まんを召し上がっていただきたいと」(西本)

「カラシと同じで、ポン酢もいろいろと試行錯誤しました。豚まんの味を殺さず、お互いに引き立て合うポン酢というのがなかなか難しくて。市販のものだとちょっとゆずの味が強過ぎてしまうんです。いろいろ試した末に、高知県で栽培されている『直七』という柑橘類の果汁が酸味も強すぎずまろやかだと知って、そちらを使用したものを自社工場で作るようになりました。ポン酢の味が濃すぎず、すっきりした後味になるようなものにしています。毎年1カ月間限定で、2017年は6月16日から7月15日の1カ月、ポン酢をつけて提供させていただきます」(八田)

── 短い期間ですからレアですね! 通年ではダメなんですか?

「『ずっとつけて欲しい』という声もあるのですが、夏限定の味ということで(笑)。期間外はご家庭のポン酢をつけて一番良く合うものを探してみていただくのが良いかもしれません」(西本)

「ちなみに、カラシやポン酢以外にもみなさんいろいろな食べ方をされているんですよ。例えばウスターソースをつけるというのはかなり人気の食べ方です」(八田)

── ウスターソースですか! 私はやったことがないです。

「実は結構メジャーな食べ方で、それが一番という方がたくさんいらっしゃるようです。他には餃子のタレや、酢醤油で食べるという方もいらっしゃいますね」(八田)

豚まんのライバル、焼売

── 「551蓬莱の豚まん」は、お土産にも人気ですよね。新幹線で持ち帰る人がいると「あっ551蓬莱だな」って、匂いでわかります(笑)。

「お土産にされる場合は、チルドのものを買っていただくのがおすすめです。その方が匂いが少ないんです。ただ、実はチルドにするのは心苦しくて、温かい状態が一番おいしいものを一度冷蔵しなきゃいけないというのが、とても辛いところです(笑)。チルド用の豚まんも同じように毎日手作りしていて、蒸した後に冷蔵する工程が加わっているだけなんですよ。ですのでチルド豚まんの“顔”も一つずつ違います」(西本)

── チルドのものを買って、二重に袋に入れたりすれば新幹線でも匂いを気にせず持ち帰れそうですね。

「通信販売も行っていますので、そちらもぜひ利用していただきたいです。ちなみに豚まんにはニンニクは一切使ってないんですよ。よく間違われるんですけど」(八田)

── え! じゃああの香りって玉ねぎのものなんですね。てっきりニンニクだとばかり……。「551蓬莱」といえば豚まんというイメージがあるのですが、アイスキャンデーや餃子など他にも人気メニューがありますよね。

「アイスキャンデーは、夏場に豚まんの売り上げが落ち込むのをなんとかできないかと販売し始めたものだと聞いております。とにかくシンプルに素朴に、ミルク! あずき! みたいなそのままの味なんですが。その素朴さが好きだと言ってくださる方が多いんです」(八田)

「焼売も人気です。入っている具材は豚まんとほとんど変わらなくて、比率や調味料の割合がほんの少し違うだけなんですが、焼売の方がダイレクトにお肉の味を味わえるということで、豚まんに負けないぐらいの人気商品です」(西本)

「どちらかというと、お酒を飲む方は焼売派が多いようです。『新幹線に乗る時は必ずビールと551蓬莱の焼売』とおっしゃる方もいます。また、『551蓬莱』には『煮込み麺』という冬の定番商品があるんですが、そこに焼売を入れて食べるとおいしいんですよ」(八田)

── この「551蓬莱 戎橋本店」もそうですが、「551蓬莱」にはレストランやイートインのある店舗もありますね。メニューも結構多彩で。

「戦後間もない頃に、この場所でカレー出す食堂を開いたのが『551蓬莱』の始まりなんです。それからしばらくして、台湾出身の創業者が、自分の生まれた土地の饅頭(まんとう)を日本のみなさんに食べてもらいたいということで作った豚まんが評判になり、今のような形になっていきました。つまり、もともとはレストランが本来の『551蓬莱』の姿なんです」(八田)

f:id:Meshi2_IB:20170706153821j:plain

「レストランでは、特に『海鮮焼そば』『海鮮揚げそば』が一押しメニューです。実は麺から手作りなんですよ。そういう地味なことをコツコツやっています(笑)。次は米も自社で作るんちゃうか、みたいな(笑)。ここで食事していただければ、アツアツの豚まんも食べられますし。ぜひお越しいただきたいですね」(西本)

── 「海鮮焼そば」が名物とは知りませんでした! 自分はまだまだ「551蓬莱」について知らなかったんだなと痛感しました。今日はありがとうございました!

ウスターソースにつけてみた

豚まんを買って帰り、しげしげと眺める。

f:id:Meshi2_IB:20170706153837j:plain

確かに一つずつ顔が違う。これは美人。

f:id:Meshi2_IB:20170706153848j:plain

八田さんがおっしゃっていた“ウスターソースがけ”を試してみた。

f:id:Meshi2_IB:20170706153905j:plain

これが衝撃的においしい。肉の甘味がぐっと引き立つ。今まで試してこなかったのが悔しくなるほどだ。

私は豚まんをパカッと割ってソースをかけたのだが、皿にソースを注ぎ、豚まんをその上に置くことによって生地に吸い込ませてから食べるという方も多いという。

実は今まで食べたことのなかった焼売も買って帰ってきた。たっぷりのカラシをつけていただく。

f:id:Meshi2_IB:20170706153915j:plain

ぐぐ……なんと肉々しくておいしいんだろう。

今度、大阪から東京に新幹線で移動する時は絶対にこれとビールにしよう! と心に決めた。

取材協力:551蓬莱

店舗情報

551蓬莱 戎橋本店

住所:大阪府大阪市中央区難波3-6-3

電話番号:06-6641-0551

営業時間:売店10:00~22:00、レストラン11:00~22:00(LO 21:30)

定休日:第3火曜日(祝日、12月を除く)

www.hotpepper.jp

※この記事は2017年6月の情報です。

※金額はすべて税込みです。

書いた人:スズキナオ

スズキナオ

1979年生まれ、東京育ち大阪在住のフリーライター。安い居酒屋とラーメンが大好きです。exciteやサイゾーなどのWEBサイトや週刊誌でB級グルメや街歩きのコラムを書いています。人力テクノラップバンド「チミドロ」のリーダーでもあり、大阪中津にあるミニコミショップ「シカク」の店番もしており、パリッコさんとの酒ユニット「酒の穴」のメンバーでもあります。色々もがいています。 Twitter:@chimidoro

過去記事も読む

関連記事リンク(外部サイト)

生牡蠣 216円~、寿司2貫 108円~、コスパが良すぎる「牡蠣とワイン立喰い すしまる」【大阪】
新世界へ来てここに寄らないなんて!「肉のさかもと」のヘレカツサンドとビールが最高【大阪】
チョコもミントもマヨネーズ化!?独自路線をひた走るマヨ専門店【大阪】

カテゴリー : グルメ タグ :
メシ通の記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。