きっちり酔える! ストロング系缶チューハイ4種を定番レモン味で徹底比較!
1本ですぐ酔える、ストロング系缶入りチューハイが人気だ。今回は代表的なブランド4つ『氷結』『ビターズ』『-196℃ ストロングゼロ』『もぎたて』を、定番のレモン味で飲み比べてみた。アルコール度数はおなじ9%でも、味わいには大きな差があった!
すぐ酔えてコスパが良い! アルコール分9%前後のストロング系缶チューハイが魅力的な理由
蓋を開けたらすぐ飲めるRTD(Ready To Drink/レディ・トゥ・ドリンク)飲料の代表といえば缶チューハイ。とりわけ近年はアルコール度数7~9%のストロング系が人気だ。350ml缶の価格が税抜100円からせいぜい140円くらいで、これはアルコール度数の低いものと変わらない。つまりすぐ酔える分、コスパ良好。今回は主要3メーカーの人気ブランド4種を比較する。
ちなみにチューハイおよびサワーの定義について。本来は「サワー」がシロップなどで甘くなっているタイプを指し、「チューハイ」は焼酎を炭酸で割ったものなので糖分を含まず悪酔いしにくいのが特徴。※チューハイの「チュー」は焼酎の「酎」を意味する ただ最近のチューハイは甘味をあえて加えているものや、焼酎の代わりにウオッカ(ウォッカ/ウォツカ)や醸造用アルコールなどを使用しているものが増えており、すっかりあてにはならない状態。実際に今回紹介する4ブランド、全てがウオッカベースとなっていた。
比較に用いるのは、定番のレモン味。それでは実際に飲んで確かめていってみよう。
キリンビール『キリン 氷結ストロング シチリア産レモン』
(350ml・実勢価格 税込132円・2017年4月リニューアル発売)
アルコール分:9%/糖類ゼロ
原材料:レモン果汁・ウオッカ・酸味料・香料・甘味料(アセスルファムK)
2001年発売。濃縮果汁還元タイプが自然と主流だった中、果実から果汁を絞りストレート果汁のまま凍結させ、熱を加えずに解凍するという独自製法で果実の美味しさや香りを再現することに成功して大人気となったのがキリンの「氷結」シリーズだ。
1990年代まではチューハイもジュースも果汁を使うものは、輸送コストを削減するなどの理由で水分を飛ばして濃縮した果汁を後で水を加えて戻す、濃縮果汁還元タイプが主流だったのだ。それが2000年代に入ると、香りだちの良さや果汁本来の美味しさを味わえるストレート果汁タイプ、つまり絞った果汁をそのまま使用する商品が増えた。その先駆けが「氷結」だった。
元々は「氷結果汁」というネーミングで2001年に誕生したが、清涼飲料水との誤認を回避するため2002年からは「氷結」に変更。そんな「氷結」は元SMAP・中居正広出演のCMでも話題になったブランドリニューアルを2017年4月にシリーズ全体で遂げたばかり。
「氷結」全体に言えることだが、その最大の特徴はベースにウオッカを使用していること。そもそもはキリンビールの工場が焼酎製造の免許を持っていなかったことからの苦肉の策だったが、これが当たった。焼酎よりもクセのないウオッカの採用は、かえって果実味を際立たせることになり、大人気の一因となる。それまでは焼酎ベースが主流だった缶チューハイの、ベースは何でもありという歴史を作り上げた張本人が「氷結」なのだ。
また缶のルックスも独特で、NASA技術を使用したという凹凸のあるダイヤカット缶は、開けた時の音でも差をつける。飲んでいる時の指触りも楽しい。ただし複数本飲んでゴミ袋に入れておくと、ゴミ出し時にはかなり賑やかに……。
実際にプルトップを押し込んでみると、まず香りの飛びが良い。居酒屋なら向かいの席の人間の鼻に届くほどのすっ飛び具合。キレのある炭酸とともに喉に流し込むと、強烈な酸味とともに表情がシチリアン・マフィアのような渋い顔になるくらいの苦味が襲いかかる。
特有のカラカラ音のする缶を傾け飲んでいくと、不思議と舌の奥に甘みが残るのは気になる。原材料トップにレモン果汁が来るほど、果実を最大限にぶち込んだその姿勢には恐れいるが、果実以外の苦味もかすかに感じてしまう。氷を入れて飲めば気にならないのかもしれないが、缶のままいくと気になるかも。
酸っぱいという感覚の向こう側でアルコール感に火がついて、クラっと来るタイプ。これは酔っ払う。
キリン 氷結ストロング シチリア産レモン 缶 350ml×24本
サントリー『サントリーチューハイ -196℃ ストロングゼロ ダブルレモン』
(350ml・実勢価格 税込109円・2016年12月リニューアル発売)
アルコール分:9%/糖類ゼロ・プリン体ゼロ
原材料:レモン、ウオツカ、酸味料、香料、ビタミンC、甘味料(アセスルファムK、スクラロース)、炭酸ガス含有
CMの”ストロングーッド”連呼でおなじみの、ストロング系缶チューハイの代表格として君臨するサントリー『-196℃ ストロングゼロ』シリーズ。登場当初は”缶類最強チューハイ誕生”の呼び声が高く、ストロング系缶チューハイの原点的製品だ。糖類ゼロというヘルシー志向に食い込む形でも人気を博した。
昨年12月に全面リニューアル。ただ中身の配合率の変化とパッケージイラストを立体化したもので、製法等に大きな変化はない。
『ストロングゼロ』最大の特徴は、液体窒素でマイナス196℃に瞬間凍結させて香りを逃さないようにして、一気にパウダー状になるように粉砕、その果実の粉を丸ごと漬け込んだ浸漬酒と、ポストハーベスト処理(防カビ剤などの使用)をしない上質果汁のダブル使用で生み出す果実感。
甘くないから食事に合うというのが言い分なのだが、シリーズの中には結構甘いものもあったような…。さて、この『ダブルレモン』はどうか。
プルトップを押し込むと、わかりにくいレモンの香り。むしろビタミンCやクエン酸などの香りに近いかもしれない。すっきりして飲みやすく、『キリン 氷結』より苦味は控えめだが、酸っぱさは勝つ。酸っぱいものが苦手な人はなるべく避けること。
ただ飲み進めていても、やはり気になるのはその香り。マルチビタミン剤のような香りになってしまっているのは、何事か。『ストロングゼロ』は人口甘味料の中でも甘みの強いスクラロースを採用しているせいか、甘みは自然。そもそも甘み自体が必要かというのは別の問題。
記者としては普段飲みつけているせいか、ウオッカの苦味が好みに感じた。
サントリー チューハイ-196℃ストロングゼロ 350ml×24缶
少し酔いが回ってきたが、まだまだやっと半分だ。
キリンビール『キリンチューハイ ビターズ 皮ごと搾り レモン』
(350ml・実勢価格 税込137円・発売中)
アルコール分:9%/糖類ゼロ・プリン体ゼロ
原材料:ウオッカ・リキュール(レモンピール・ハーブ・スパイス)・レモン果汁・酸味料・香料・甘味料(アセスルファムK)
キリンから別ブランドでもう1本。キリンのチューハイというと「氷結」のイメージがあるが、2014年6月から全国発売されている『ビターズ』はまさにストロング系缶入りチューハイのブームに応える形で生み出されたブランド。2017年2月からは石田ゆり子出演CMとともにそのリラックス感、大人向けのイメージで人気を高めている
『ビターズ』の特徴は何と言っても、皮ごと絞ったからこそ生まれるほろ苦さを含んだ果実味。それはただの果実感ではなくて、厳選した果皮に加えてハーブも混ぜ込んで72時間かけて抽出したビターリキュールを配合しているのが特徴。単なる果実味だけでは物足りない大人層にアピールする。
クセのないウオッカと、クセをわざわざ封じ込めたビターリキュールの味わいがどう出るかがポイントだろう。
ということで飲んでみると、同じレモンでもこれだけ差があるかと感じるまた違う香り。アロマやハーブ、コスメ路線のレモン風味。これはリキュールに仕込まれたハーブのせいか、複雑さでは一歩抜きん出る。ただレモンの風味をストレートに味わいたい人には不思議だろう。
記者的には好きなタイプの香りだち。酸味も強すぎず、甘み控えめで苦味がキリッとくるタイプ。マーマレードは果皮がうまいと感じる人、チョコレートの中にレモンやオレンジピールが入っているとうれしいと感じる人にオススメ。一番「カクテル」としての完成度が高い。
キリンチューハイ ビターズ 初摘みレモン 350ml×24本
アサヒビール『アサヒもぎたてまるごと搾り レモン』
(350ml・実勢価格 税込122円・2017年4月リニューアル発売)
アルコール分:9%/糖類ゼロ 果汁3%
原材料:ウオッカ、レモン果汁、オリーブ果実エキス、マルトデキストリン、酸味料、香料、ビタミンC、甘味料(アセスルファムK、スクラロース)
最後にアサヒの製品『もぎたて』を飲んでみる。
2017年4月にリニューアル。収穫後24時間以内搾汁という基本ルールはそのままに、中味成分のバランスとガス圧を高めることでリニューアル。新たに導入された「新<もぎたて>キープ製法」は、超低温殺菌で果実本来の持ち味を失わないまま仕上げることを可能にしたという。本当か。
実際に飲んでみると、もはや香りが完全に「カクテル」。マティーニかよッと突っ込みたくなること確実のオリーブの香りが相まって、なかなかに不思議な香り。薬品と感じる人も多いだろう。
ただウイスキーでもクレゾール(いわゆる正露丸)臭を楽しむアイラモルトなどもあることを考えれば、そのままBADとは言い難い。
甘さは一番強く感じた。より女性的で、CMにも出演している菜々緒っぽい味わい。
ただCMには大泉洋も吉田剛太郎もコブクロも出ているのだけれど、そちらの味のイメージは感じられなかった。アルコールが強いとは気づかずについつい飲みすぎてしまうサイレントキラータイプと言えるだろう。
なぜにどれも甘いのか、という疑問を抱かずにはいられない。これではサワーではないのか!?
4ブランドのレモン味を飲み比べて感じたのは、どれも甘いということ。本来サワーは甘いがチューハイは甘くないというのが原則だというのに、この仕上がりは何なのか。ベースがそもそも焼酎でないからチューハイの”チュー”が意味ないことは仕方ないとしても甘み付けの基準が気になる。それだけ現代人は、チューハイにさえ甘みを求めているということのなのだろうか。
また糖類ゼロを実現するために、人工甘味料を使うことによって、多少のえぐみが出てしまっていることも、4ブランドに共通。
王道のレモン味チューハイがどれかといえば、やはり『キリン 氷結ストロング』だろうか。甘みを差し引けば、確かに完成度は高いと思う。ただウオッカベースのカクテルとして割り切って考えると、『キリン ビターズ』は高品質。このままカクテルグラスに入れられても文句は言えない仕上がりは見事。ハーブの隠し味が効いていると思う。
クセの強さを求めるのなら最後発の『アサヒ もぎたてまるごと搾り』も捨て難い。もはやチューハイなのかどうか怪しくなってくるが、レモンテイストにオリーブを合わせた独自の味わいは真骨頂。そして万人向けで無難なのは『サントリー -196℃ ストロングゼロ』なのではないか。
『ストロングゼロ』の食事に合うという特質は嘘ではない。主張のなさがまた主張ということで、スッキリと料理の引き立て役に徹してくれる味わいなのである。これがレモン系チューハイの最も効果的な役割なのではないかと改めて感じてしまった。
おまけに4ブランドの期間限定味も飲んでみた!
以上でストロング系缶入りチューハイ4ブランド『氷結』『ストロングゼロ』『ビターズ』『もぎたて』の比較を終わりにするが、各ブランドの期間限定味もおまけに飲んでみたので、ご興味のある方は次ページもご覧頂きたい!
人気のニューフェイス変わり味も追加検証!
基本的なレモン味の缶入りチューハイの比較を終えたところで、それぞれのシリーズで人気を集めているニューフェイス系も紹介していこう。
■アサヒビール『キリン 氷結ストロング ブラッドオレンジ』
(350ml・実勢価格 税込132円・2017年5月16日発売)
アルコール分:9%/糖類ゼロ プリン体ゼロ
原材料:ブラッドオレンジ果汁・ウオッカ・酸味料・香料・甘味料(アセスルファムK・スクラロース)
イタリアンな持ち味で苦味と酸味と目に嬉しいオレンジ感が魅力のブラッドオレンジを缶チューハイに仕立て上げた『キリン 氷結ストロング ブラッドオレンジ』。ただグラスの注ぐと透明なのが実に意外。オレンジ感満点の味わいなのに透明だと混乱する。なので缶のまま、オレンジ色のイラストを眺めながら飲むのがおすすめだ。
キリン 氷結ストロング ブラッドオレンジ 350ml×24本
■サントリー『サントリーチューハイ -196℃ ストロングゼロ〈まるごとアセロラ〉』
(350ml・希望小売価格 税抜141円・2017年5月16日発売※期間限定)
アルコール分:9%/糖類ゼロ プリン体ゼロ
原材料:アセロラ、ウオツカ、酸味料、香料、ビタミンC、甘味料(アセスルファムK、スクラロース)、野菜色素、炭酸ガス含有
その点この『サントリーチューハイ -196℃ ストロングゼロ〈まるごとアセロラ〉』は、ほんのりとした薄いピンク色に仕上げているのが気が利いている。そうだ、アセロラはこんな香りだった、と再認識する良い香り。チェリーにも似たその香りだちは、本来のアセロラの容赦ない酸っぱさを押さえ込んで、飲みやすく仕上げている。
永遠に嗅いでいたくなる良い香りで、絶妙な酸味と甘みがアルコール感を低めているけどしっかり酔っ払うので要注意。
サントリー チューハイ -196℃ ストロングゼロ まるごとアセロラ 350ml×24本
■キリンビール『キリンチューハイ ビターズ 初摘みレモン<期間限定>』
(350ml・実勢価格 税込150円・2017年5月23日発売※期間限定)
アルコール分:9%/糖類ゼロ プリン体ゼロ
原材料:ウオッカ・リキュール(レモンピール・ハーブ・スパイス)・レモン果汁・酸味料・香料・甘味料(アセスルファムK)
イタリアを中心に“プリモフィオーレ”という呼び名で愛されている初摘みレモンを使用ということだが、通常のレモンと初摘みレモンの区別がつくのかとほんのり不安を抱きながら飲んでみる。
なるほど、これはレモンの中でもフレッシュでアロマ感もキープしつつ、ピールの香りがたまらなく素敵。甘さもグンと控えめでキリッと引き締まったレモン味で、これは美味しい。炭酸の強さとともにピールの苦味が程よく控えめになり、絶妙のバランスをとる。お見事。
キリンチューハイ ビターズ 初摘みレモン 350ml×24本
■アサヒビール『アサヒもぎたて期間限定手摘み青梅』
(350ml・希望小売価格 税抜141円・2017年4月4日発売)
アルコール分:9%/糖類ゼロ プリン体ゼロ
原材料:ウオッカ、うめ果汁、ブドウ種子エキス、酸味料、香料、甘味料(アセスルファムK、スクラロース)
ひとつひとつ丁寧に手摘みした青梅を24時間以内に搾汁した果汁を使用し、まろやかな口当たりと程よい青梅の甘酸っぱい味わいの缶チューハイとのこと。
正直青梅と言われても…、という感じだが梅の良い香りはきちんとする。ほのかな優しい梅の香りがウオッカの苦味を中和して、まろやかな味わいに結びつける。これは文句なしに美味しい。
レモンが定番とはいうけれど、記者的にはやはりチューハイは梅が一番好きだ。というのも単純に酸っぱさに弱いということがあるのだけれど。酸味が抑えられて、アルコール感は梅の甘みと相まって、上質な梅酒のテイストに。これなら永遠に飲める気がしてしまうが、しっかり酔っ払う。
アサヒ もぎたて 手摘み青梅350mlケース(24本入り) ≪期間限定≫
改めて飲み比べてみると、チューハイの可能性とは無限なのだなと感じた。ただそれはウオッカベースのカクテルとしての可能性。本来なら焼酎のクセとのハーモニーを試すことがメインになるかと思いきや、世の中はいつの間にかクセのないウオッカを活用して、果実味を増やすという戦略に傾いているということがよくわかった。焼酎自体にこだわりがなければ、それもまた良いことなのだろう。気軽な缶入りアルコールとして、こだわりなく味わってみてもらいたい。
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