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国歌斉唱について(口元チェック報道で注目される中原徹校長のブログより)

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中原徹校長のブログより

中原徹校長ブログより2回目の記事転載です。国歌の不斉唱問題に絡んで斉唱の「口元チェック」をおこなったと報道されている中原徹校長のブログより本人の許諾を得てエントリーを転載させていただきます。

前回転載させていただいた記事はこちらです

「読売新聞の記事について」
http://getnews.jp/archives/175085

大阪府立和泉高校の卒業式での国歌「不斉唱」問題。そのチェック方法をめぐってマスコミ報道が加熱していますが、実際はどのように「口元チェック」はおこなわれたのでしょうか。以下、中原校長のブログより転載いたします。

国歌斉唱について

昨日から国歌斉唱につき、色々な報道がなされ、このブログでも賛否両論いただいております。
お電話も頂戴しました。公務がありましたが、お名前とお電話番号を事務所に残していただいた方々にはできるだけお掛け直し致しました。賛成のご意見はともかくとして、反対のご意見のうち、趣旨が類似したご意見に対し、私なりの考えをお話致します(かえって火に油を注いでしまうかも知れませんが、私なりの誠意としてお読みください)。

1.「斉唱を教育現場で教員に強制するのはおかしい!【以下、ある方からのコメントの抜粋です】私はアジアの多くの国・地域での過去の日本軍(日本人)が犯した非人間的な行為や国際法を無視した無茶苦茶な行為を許すことはできません。彼らはときには日本の君が代を歌うよう強制しました。私は君が代が日本国国歌に相応しい歌だとは思えません。法律で決まっていても歌いたくありません。もっと別の『さくらさくら』など日本を象徴する日本的な歌にすべきだと思っています。」

 こうしたご意見を日本人が持ち、自由に表現することは最大限保障されるべきであると思います。普段、公立高校で仕事をされている先生が、私的な場所で国歌観を述べられることは勿論保障されるべきです。しかし、一旦法(条例)で決まり、しかも職務命令が出されたら守らなければならないと思います。他面、「君が代」には解釈やとらえ方において根深い相違があり、君が代を斉唱することに大きな抵抗をお持ちの方々がおられる事実も身をもって勉強させていただきました。こうしたご意見をしっかりと聞き、いつの日か日本で「国歌」に関する論争がなくなるよう、(奇麗事ではなく)自分なりに勉強を続けさせていただきます。
 仮に、「斉唱」まで条例化することはおかしい!という府民全体での議論が高まり、府民の皆さんのご意向が「斉唱はやめよう!」ということでなれば、府議会で「斉唱」を外せばよい話なのだと思います。私は、府民の皆さんのために働いています。君が代についてはいつも大きな議論が巻き起こりますが、これを機会に、府民の皆さんで話し合って欲しいと思っています。その結果、「斉唱」を残すなら公務員は斉唱すべきで、「斉唱」を撤廃するなら公務員が歌わないことも当然認められます。

2.「口元チェックはやり過ぎではないか!」

 どういう状況でチェックがなされたかが、メディアの報道からは明確になっていません。昨日の記事(http://ameblo.jp/nakahara-toru/entry-11191251489.html )とあわせてお読みください。大阪府教育委員会(府教委)が出した職務命令には「斉唱」が含まれていました。この斉唱を実際に式の中で確認するのは困難です。私自身、人が歌っているのをジーっと疑惑の目で監視するようなことを生徒の晴れの門出の舞台ですることには反対です。だからこそ、府教委に確認をしました。その結果、「じっと凝視したり、近づいたりすることなく、遠目で確認してください」との回答をもらいました。
 実際には、私(校長)は先頭で歌っているので後ろは見えませんでした。教頭と首席教諭が斉唱の際に、約60人の教職員を一瞥し、起立と斉唱の有無を確認しました(距離にして10~30mほど離れています)。その間、時間にして約5秒です(教頭からの報告です)。要は、さっと眺めて起立していない人、あるいは起立しているけれどもずっとうつむくなど、目立つ人を確認する作業でした。教頭からの報告では、今回歌っていなかった先生は、うつむいて歌っていなかったことが5秒の間に分かるような状態だったわけです。ですから、学校に、いかにも教職員らを凝視して監視し、一人でも多く不斉唱を探し出してやろうという姿勢があったわけではありません。
 泥仕合になるのでメディアを批判することは好みませんが、昨日の報道ステーションの報道は酷いものでした。古館さんは昔から尊敬する大好きなアナウンサーなのですが、その横にいたアナウンサーが「口元より生徒を見て」というようなコメントをしたときは怒りを覚えました。大阪の条例・職務命令に基づき、教頭が数秒間は起立・斉唱を確認しなければならないのです。これは絶対に行わねばなりません。しかも校長は最前列で歌っていますので、生徒の顔は見れません。その代わりに、卒業生353人の名前が読み上げられる際に、ひとりひとりの顔を壇上から見て、別れを惜しみました。その後、式辞において伝えたいことを精一杯、約15分間、生徒に伝えました。
 この2年間、私は平日の早朝や土曜日に英語を教えたりしましたので、卒業生にも英語を教えた生徒もたくさんいました。クラブの試合や練習を見に行って話をした生徒もいました。懲戒処分を下したけれど、その分愛着を覚えた生徒もいました。私のしてきたことが卒業生すべてに歓迎されているとは思いませんが、その思い出の一部はこのブログでも綴られています。あの無責任なアナウンサーはこのブログぐらい見ることは出来たはずですし、電話1本よこしてくれれば当然取材に応じました。テレビ朝日からはあのアナウンサーのみならず、いかなる記者からの取材もありません。卒業式の実態の調査もせずに、無責任な報道をする報道ステーションには大いに改善の余地があります。

3.「抜き打ち検査のようなことをするな!」

今回、起立・斉唱が職務命令となり、その確認もなされることは、事前に文書および口頭で複数回、教職員に知らせています。

4.「校長は歌っていないのか!生徒のことを考えろ!」

上述のとおり、私は最前列で歌っていました。当然、生徒が無事に卒業できることへの感謝、それを支えてくれた府や国への感謝の気持ちも込めています。また、卒業式の予行でも、国歌を歌うときには国に、校歌を歌うときには学校に、仰げば尊しを歌うときにはお世話になった方々に、それぞれ感謝の気持ちを込めてしっかり歌おうと生徒には指導しました。

5.「なぜ上司である松井府知事にメールせずに、橋下市長にメールしたのか!」

報道されているメールは、実は松井知事とその顧問宛てのメールで、そこに橋下市長も追加されていました。報道ではこのことは書かれていませんが、メールは松井知事宛てです。松井知事からは、教育施策を考える際のデータとして、教育の現場からの声を聞かせて欲しいと言われ、併せて府市統合本部に参加している橋下市長も含めてくれと言われていました。

6.「橋下の犬め!」

 私は一個人に仕えるために、わざわざ米国から人生をリセットして大阪に来ません。橋下市長の考えであれ、誰の考えであろうが、現場から見て機能しないと思われる考えに対しては異論を唱えています。例えば、橋下市長が保護者による不適格教員の申立て制度を提案したときには、朝日新聞を通して異論を述べています。

kyoikunoashita.sakura.ne.jp/naigai73_20120224.pdf [リンク]

7.「なぜ教育委員長や教育委員の言うことと違うことをするのだ!」

 報道によれば、今回の私の行動に否定的なコメントを教育委員長や教育委員(いずれも非常勤です)が出されている一方、教育委員会事務局の幹部(常勤職員です)は、昨日の段階でも私の行動は間違っていないと言っています。つまり、教育委員会においても、「斉唱」という職務命令について深く考え切れておらず、統一的な見解が出されていないのです。
 我々校長は常勤の教育委員会事務局員と日々話をします。教育委員とは滅多にお話できません。事務局が明確に「斉唱を遠目から確認してください」と指示を出し、いまでも「中原のやったことは間違っていない」と言いながら、教育委員が正反対のことを仰るのは支離滅裂です。私自身、妙な言い訳や責任転嫁をする気はありませんが、今回の件を通じ、6人の教育委員のうち、非常勤が5名もいて常勤の事務局との連絡すら取れていない教育委員会制度の限界を痛烈に感じざるを得ません・・・
 もうすぐ入学式です。それまでに教育委員会として「斉唱」の取り扱いについて明確な判断を示すべきです。

8.「生徒からのコメント」

 このブログにも、卒業生から1件、在校生(と思われる人も含め)3件、残念であるとの趣旨のコメントをいただきました(保護者の方々かも数件コメントをいただいております)。これらのコメントについては、本当に申し訳なく思っています。また、コメントをわざわざ送ってくださらない保護者の方々の中にも、気分を害された人もおられるかと思います。この場をお借りして深くお詫び申し上げます。
 本当に申し訳ございませんでした。
 今日も、午後1時から2時間ほど2年生に英語を教えました。いつもと変わらぬように私の講習を聞いてくれる生徒を見て、改めて学校が学びの場所であり、大人達の争いの場所であるべきではないと感じました。4月から新しい生徒の皆さんが入学されます。ご心配をおかけして本当に申し訳ございません。
 私は、先日の卒業式は円満に終わっていると考えています。斉唱しなかった先生も次回から歌うと話しており、校内的には何も問題の残っていない状態が昨日まででした。一斉にメディアによって報道され、何か政治的な展開になっているのは本当に残念ですが、それだけ根が深い問題(「斉唱」をどのように理解すべきか、そして条例や職務命令から「斉唱」を外すべきか・残すべきかという問題)であることも事実で、府民全体でしっかり向き合うべき問題であると考えます。
 私個人は、しばらくはこの論点にかかわっていかねばならないのかも知れませんが、学校の運営には一切支障を来たさないようにします。新入生(受験生)の皆さん、在校生の皆さん、是非安心して学校生活を送ってください。在校生の皆さんは明日の終業式でお会いしましょう。

※この記事は中原徹さんのブログから本人の承諾をいただいて転載させていただきました

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