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「自分の人生が袋小路にハマったように感じている人に読んで欲しい」人間椅子・和嶋慎治さんによる自伝『屈折くん』

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春、新生活のはじまりに期待と共に不安を抱えている人は多いでしょう。将来が見えない、これから自分はどうなるんだろう? そんな悩める人々にオススメしたい一冊が、ロックバンド「人間椅子」和嶋慎治さんによる自伝本『屈折くん』です。

家族に溺愛された幼少期から、ギターを猛練習した中学時代、バンド結成、そしてようやく食えるようになった現在まで、赤裸々に綴った本作は、人間椅子の事を全く知らなくても十分楽しめる驚きに満ちています。

人生は辛くも意味のあることばかり。人間椅子・和嶋さんに本についてや、悩める人へのメッセージなど、色々とお話を伺いました。

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―『屈折くん』大変楽しく読ませていただきました! まず驚いたのが、和嶋さんが幼少期の事まですごく詳しく覚えてらっしゃるという事なのですが。

和嶋:そうなんですよね、自分でもよく覚えているなあと思います。実は当初、この本は、インタビューをしてもらったものを文章の体にリライトする“聞き書き”というスタイルにしようと思っていたんです。それで1日6時間のロングインタビューを6日間くらいやって、話しているうちにどんどん思い出してきて。結果的には、「和嶋が本を出す」と聞いたファンの方が期待しているのは、やはり僕が執筆する事だろうと考え直し、あらためて自分で書く事にしたのですが、このインタビューはすごく大事な要素となりました。

―これまでも数々のミュージシャンの方が自伝を出されてきましたが、おそらく聞き書きというスタイルを選んだ方が多いと思います。そういった点でも、この自伝はかなり面白い試みですね。

和嶋:自分で書くのはかなり大変でしたけど、文章っていうのは、やっぱりそれを書いた人のものになるんだなあと。自分で執筆することにより新たに思い出したこともありましたし、きちんと僕の文体になりました。水木しげるや古今亭志ん生の貧乏ばなし、ああいう風になればなあと(笑)。

―書いていて特に感情が高まった部分はどこですか?

和嶋:全部とても大事な時期で、結構多くの部分で泣きながら書いていましたね。10日間くらい集中して執筆していたので、ものすごく入り込んでいるわけですが、「あの時、何てひどいことをしてしまったのだろう」とか、「自分は何てどうしようもない人間なのだろう」とわんわん泣いて。でもその後は晴れやかというか、清々しい気持ちになって。これって、「精神療法」に近いのかなという気もしましたね、自分の過去と向き合う事によって自分自身が浄化されるというか。

どん底の時期があって、それをどう乗り越えて今の自分があるのか、ということを説得力を持って書くためには、どん底の部分もちゃんと克明に書く必要があり、思い出す事はもちろん辛くてたくさん泣きましたが、この“追体験”によってまた多くの事を得られたなと思っています。

―『屈折くん』というタイトルも素敵ですよね。よくある自伝って「〜僕の音楽人生○○年」とか「〜再ブレイクで考えたこと〜」とかサブタイトルが入っているイメージで。

和嶋:そうそう、タイトルはかなり悩みました。そもそもアーティストの自伝って、例えば東京ドーム公演を経験するくらいのビッグアーティストだと思っていたので、「自分でいいのか?」というプレッシャーがまずありました(笑)。そして偉業を成し遂げている方々の自伝だったら「〜○○への道」とか「軌跡」というタイトルでもいいでしょうが、自分の場合は違うだろう、と。そうではない、自分らしいタイトルって何だろうってずっと考えていた時に、ふとひらめいたのが『屈折くん』だったんです。そうしたら、どんどん表紙のデザインも出来上がっていって。

―「人間椅子」を知らない方でも『屈折くん』というタイトルに何かピンときたらぜひ読んで欲しいと思いました。人間椅子を知らなくても楽しめる本だと。

和嶋:まさにそこを目指していたりするので、そう言っていただけると安心します。本の中でも書いていますが、バンドを結成してすぐに上手くいってしまった所があり、でもその後活動が低迷して。辛い時期が長かった。でも、ここ数年はまた環境が上向きになっていたりして、自分自身も今すごく良い状態で。デビューから30年近くも続けているということは何よりも誇れる事ですし、自分の活動を振り返る事で、今悩みを抱えている人たちに、自分の経験を通して言えることがあるんじゃないかと思ったんです。

―「50歳にしてようやく食えるようになった喜び」という言葉って、和嶋さんがおっしゃるとすごく説得力があって。現代ってすぐ落ち込みがちな若者も若者じゃない人も(笑)、多いと思うので、この本を読めば元気が出ると思うんです。

和嶋:自分の人生が袋小路にハマったように感じている人、煮詰まってしまったと思っている人に読んでもらえたら嬉しいですね。そういう人たちも、ちゃんと自分の中に「答え」があるということを、僕は体験しているわけですから。大丈夫なんですよ、って。

―その言葉に救われる人って多いと思います。今日は貴重なお話をどうもありがとうございました!

人間椅子オフィシャルサイト
http://ningen-isu.com

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記者:

映画・アニメ・美容に興味津々な女ライター。猫と男性声優が好きです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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