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モバマス経済学~たとえ日銀が許しても、バンナムはデフレを許さない

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モバマス経済学~たとえ日銀が許しても、バンナムはデフレを許さない

今回はrikzenさんのブログ『当たり判定ゼロ』からご寄稿いただきました。

モバマス経済学~たとえ日銀が許しても、バンナムはデフレを許さない

(編集部注:モバマスとは、モバゲーのソーシャルゲーム『アイドルマスターシンデレラガールズ』を意味する言葉です)

こんにちは、皆さんはトレードしてますか? え? トレード? 知らない?
やだなープロデューサーさん。トレードといえば日夜を問わずモバゲー版『アイドルマスター(以下アイマス)』内で行われている、年端も行かぬ少女たちの人身売買行為に決まってるじゃないですかー。アイマスはアイドルを育成するゲームかと思い込んでいましたが、まさかアイドルを仲介するゲームがその本質だとは思いもよりませんでした。恐ろしいことですね。朝日新聞に人権意識の低さについて糾弾されると良いと思います。

さて、プロデューサーの皆さんはご存知のとおり、ゲーム内におけるトレードの通貨としてはスタミナドリンク(通称:スタドリ)が使われています。交換の際には

【出】楊菲菲(1)、小早川紗枝(2)
【求】カッコ内のスタドリ

のような表記方法が一般的ですね。ゲーム内にはマニーというゲーム内通貨が存在しますが、それがトレードに使われることはほとんどありません。スタドリこそモゲマス基軸通貨、これ絶対。マニー、それからエナジードリンク(通称:エナドリ)の位置づけとしては、しばしば交換通貨として使われることがあるものの、スタドリとのレート変動があることから考えると、補助通貨というよりは外貨と捉えたほうが良いでしょう。

現実世界でいうと、例えばジュースを買うとき一般的に我々は円(スタドリ)で支払いますが、たまにドル(エナドリ)やユーロ(マニー)で取引に応じてくれる相手がいるようなものです。

現時点では“スタドリ1=エナドリ2=5万マニー”程度が標準的なレートと言えると思いますが、現実のドルがFRB(連邦準備制度理事会)の大量供給によって価値暴落し現在の超円高につながったように、モバマス経済圏における交換レートも需給に応じて変動することが考えられます。
また池袋晶葉や小早川紗枝のように次第にスタドリとの交換レートが下落傾向にあるものもみられます。

なぜレアカードの価格は下落するのか? 逆に価格が上昇する要因というのは存在しないのか? イベントが価格相場に与える影響はないのか? 今回はそんなスタドリを基軸通貨とするモバマス経済について考えてみます。

まず運営の介入がない自由市場を前提として通貨の供給量について見てみます。通貨発行を担う中央銀行が存在しないモバマス経済圏においては、新規プレイヤーの増加とゲームの進行に伴うボーナス、それからプレイヤーの課金によるスタドリ取得が通貨供給量を増加させる手段となります。すべてのプレイヤーは、ある程度のスタドリを手元に保持し続けるものと考えられるため、プレイヤー数の総量増加が通貨供給量を増加させると考えられます。

一般的な観念から考えた場合、通貨供給量が増加すると貨幣の価値は減少する一方で、財(カード)の価格は上昇しインフレがもたらされます。昨日まで世界に1万円しかなかったのに、日銀が輪転機回してもう1万円を流通させて世界に2万円がある状態になれば、モノの値段が2倍になるのは当然ですね。

ゲーム序盤から考えるとプロデューサーの皆さんも増加してきているようですし、「タバコ買いに行ってくる」と言い残してウェブマネーを買ってきた皆さんの心意気(課金)もそこそこ蓄積されてきたように感じます。過疎ってきているゲームならまだしも、現時点ではわりと盛況さのあるモバマスにおいてはゲーム開始時から通貨供給量は増加し続けていると見るのが妥当と思われます。

ですが、通貨供給量が増加しているにも関わらず、レアカードの価格は下落傾向にあります。この理由としては3点あると考えられます。

1点は、レアカードの流通量の問題。モバマス経済圏においては、スタドリだけでなくレアカードの流通量も増加し続けますが、ゲームデザインの問題からレアカードの減少量が著しく少なく、いずれ飽和してしまうという点があります。精々技能持ちレアが生贄(いけにえ)にささげられて血と肉になるくらいでしょうか。ぐちゃりぐちゃり。そのためレアカードは流通量の増加のためその価値を自然と下落させ、通貨高をもたらします。

2点めは、レアカードの限界効用の問題があげられます。レアカードは2枚あれば十分なため、3枚目以上の投資に対しては著しく支払意欲が減退してしまいます。限界効用逓減の法則ってやつですね。3枚目以上のカードはレッスンの素材として使う以外の用途がないため、その便益は2枚目までのそれと比べて著しく劣ります。

最後に、モバマスにおいては通貨そのものがアイテムとして便益をうみだすことができるので、一定以上通貨の価値が下落しない点が挙げられます。その気になれば本来の用途である財(消費アイテム)に転換できるので、いわば最低限の通貨価値が保証されているようなものです。この点、金との交換を保証することで通貨価値の維持を図った金本位制と似たようなもんですね。スタドリはたとえ交換に使えなくとも、アイテムとして使えるので価値が担保されているのです。

余談ですが、一般的な経済では貨幣は中央銀行が発行し、その価値を保証します。一方、モバマスには中央銀行は存在しませんし本来であれば公式な貨幣さえ存在しません。いわばスタドリというのは中央銀行を必要とせず、市場自身が産み出した通貨といえます。一応ゲーム内の通貨であるマニーを差し置いてスタドリがトレード市場における基軸通貨となったのは、スタドリの持つ、財へのだ換性が評価されたためではないですかね。

ともあれこれらのことから、モゲマス経済圏は自由市場であるかぎり、通貨(スタドリ)が高くなり、財(レアカード)が安くなる、言ってみれば基本的にデフレ傾向となる根幹構造を抱えています。明日のやよいは今日のやよいより安いのです。早く! 早くやよいをマーケットに出品しないと!!

とまぁ、みんながモバマス経済圏をデフレと理解していると、デフレ期待みたいなのも醸造されるわけで、ますますカードの出物が増えてますますデフレが促進されます。これがデフレスパイラル……ってどっかで見たような気がしますが、現実なんて知ったこっちゃないので知りません。

そのため投機的利益を狙ってレアカードに投資するのは中長期的には損失に収束します。短期的には投機による利益確保も可能ですが、その利益の源泉はいわゆる裁定取引からうみ出されているものなので、ディスプレイの前にピタリと貼りつけるプロのモバマストレーダーの方以外にはオススメできません。

モバマス自由主義はこうしてデフレスパイラルの前に経済縮小の道を歩むのであった……。

【終わり】

……終わりません。市場は間違いを犯すので、政府の役割に期待したいところですね。ここからはモゲマス経済圏における政府ともいえる運営サイドの介入について考えます。

基本的に運営はスタドリ買ってもらうより、ガチャ回してもらうほうが利益がでるのだから、通貨安、すなわちインフレが経済の理想型であるはずなのです。ガチャモデルとインフレモデルはセットなのです。

日銀はデフレを発見すると注意深く観察するドモホルンリンクルのような業務を日々行なっていますが、バンダイナムコゲームスは具体的な対デフレ策を打ち出してくるものと思われます。万が一、100円のスタドリでSレアなんて買われようもんなら商売上がったりでファックなわけですよ。

そして経済の基調がデフレである以上、政府介入がデフレからの脱出がうまくいくかどうかを左右するのです。インフレ狂想曲ヒャッハー! 高額のカードを狙ってガチャを回せ! 市場は欲望のダンスホール! 音楽が鳴り続ける限り踊り続けろ! ってやつです。

では、デフレスパイラルから抜けだすにはどうすればいいか。
現実の経済と同様に需要の創出により投資対象をつくりだし、カネの向かう先をつくってあげるという点が重要になりますが、先述したとおりレアカードは自然と飽和していく仕組みになっているので、既存のレアカードは次第に投資価値を失っていきます。

これを解決するためには、新しい投資対象としての市場をうみだす必要があります。ただ、代替する新しい市場(新規産業)をうみだす方法というのは、常にうみだし続ける必要があるのが欠点です。自転車はこぎ続けないと止まってしまいます。

このとき登場する新規市場は、既存の市場より性能の良いものが出品される必要があります。でなければ、アルバムの穴埋めをやって遊ぶ層に一時的に弄ばれて、すぐに捨てられてしまうことでしょう。強力なカードを狙う層からの投資も期待できません。

投資対象の市場を作るためには、必ず既存の性能を上回る市場である必要があります。そのため、カード性能のドラゴンボールのようなインフレ化は避けられません。
基本的にはカード性能のインフレ化によってデフレスパイラルを回避する方向で進めるのだろうなぁと思うのですが、それがいき過ぎて初心者の入り口との差が開きすぎたときにピークアウトして、モバマス経済圏は規模を縮小に転じるのでしょうね。あぁ諸行無常。止まることを恐れて自転車をこいだら見知らぬ土地にいた、ここはどこ、みたいな何か。

通貨当局としての日銀を参考にすると、買いオペ(日銀が有価証券を買いとり、市場に通貨を供給するオペレーション)のような介入も考えられます。たとえば奉納イベントのようなものを開催し、レアカードを奉納する代わりに景品としてトレーナーやスタドリを配ります。これでレアカードの供給を減らして万人に貴重なレアがいき渡ることを防ぎ、一方スタドリを供給してカード価格を上昇させ市場の過熱感をあおるとともに、スタドリを使う人には使っていただき、ゲームに滞在する時間を増やしてもらう。ぶっちゃけスタドリなんてナンボ配ってもいいはずなんですよ。円だってナンボ刷ってもいいはずなんですよ。
『ウルティマ オンライン』(通称:UO)にも似たようなイベントがあって余剰なアイテムが回収されていたように思いますし、もしかしたらこれはそのうち実現するかもしれません。

まぁ長期的に見ればみんな死ぬんで、とりあえず現状を楽しめる方法を考えてみると、もういっそのことデリバティブを導入したらどうですかね。たとえば今だったら、[艶娘大作戦]桃井あずきあたりが先物市場では相当安値になると思われますが、それに引きずられて現物取引が下落するなど、デリバティブの導入により一気にマーケットが複雑化。資本家が大量の先物売りを仕掛けて市場価格が暴落し、投売りが始まったのを見計らって買い戻して市場のレアを一手に席捲(せっけん)し、価格を引き上げるなど、現実の金融市場さながらの面白みが味わえます。カードの価格上下動は今よりはるかに激しくなることでしょう。価格下落におびえる小心なあなたにはオプション取引をどうぞ。

そうして金融市場の発達とともに、次第にゲームそのものより金融市場で稼いでいたほうがもうかるという事態に陥り、一部の資本家層がレアカードを独占し、価格をコントロール。次第に高まる労働者層と資本家層の対立ムード。「遊んでも遊んでも金持ちに勝てない」「レアカードが手に入らない」などの鬱屈した不満が人々の間にまん延します。「金持ちは殺せ!!」人々の欲望のもと、荒れに荒れたモバマス経済を崩壊に導いたのは、誰かが発したそんな一言だったのです……。

みたいな革命カードゲームが遊びたいのですが、誰か作りませんかね。
モバコインでガチャを回してゲバラカード(Sレア)をゲットしよう! みたいな。

ところで、何度か言ったことありますけど、課金ってすごくお得なんですよ。たった3千円かそこらで、競馬のレースを楽しんでいるかのようなギャンブル感、そしてまた回したくなる中毒性、更に強力なカードが手に入っ満足感、未取得のカードを埋める穴埋め感、それから対戦で他人を撃破する優越感が楽しめるのですから、麻薬なんかよりよっぽどお得ですよ!

しかもあと3千円払うとまた同じことが楽しめるんですよ!! 誰ですか! ガチャを麻薬に例えているのは。まったく失礼なことですね! プンプン。

執筆: この記事はrikzenさんのブログ『当たり判定ゼロ』からご寄稿いただきました。

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