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健康と酵素(エンザイム)のこと

有機化学美術館・分館

今回は佐藤健太郎さんのブログ『有機化学美術館・分館』からご寄稿いただきました。

健康と酵素(エンザイム)のこと

いろいろなものが次々に流行し、移り変わりの激しい健康業界ですが、最近のキーワードはどうやら“酵素”であるようです。酵素がらみの商品は、食品・ドリンク・化粧品・風呂などに至るまで広がっており、胃腸機能・神経痛・筋肉痛・冷え性・肩こりの改善、デトックス・ダイエットなど様々な効能がうたわれています(まあ何にでも効くと主張するものというのは、実際にはたいてい何にも効かないとしたものですが)。

しかし、この健康業界でいう“酵素”という言葉は、どうも本来の意味からだいぶはずれ、妙な使い方をされるようになっています。まあ不正確というだけならさほどのことでもありませんが、それがトンデモ商法に結びついているとあらば少々問題にすべきでしょう。そしてこの“酵素”は困ったことに、一部の医師などにも信奉者を獲得し、着々と勢力を広げているようです。

本来、酵素という言葉は“生体における反応を触媒するタンパク質”を指します(タンパク質でない酵素 *1 というものも存在しますが、ここでは考えなくてよいでしょう)。生物が生きていくために必要な化合物をつくったり、いらなくなったものを壊したりするタンパク質のことです。タンパク質というと一般には肉や大豆などに含まれる栄養素というイメージが強いと思いますが、実際には生体運営機能の大半を担う、大変重要な化合物群なのです。そのうち化学反応を行う機能をもったものを、特に“酵素”と呼んでいるわけです。

*1:参考……リボザイム
『フリー百科事典Wikipedia』より
http://ja.wikipedia.org/wiki/リボザイム

酵素には様々な種類があります。消化酵素は、タンパク質や炭水化物、脂肪など食品成分を消化分解し、体に吸収しやすいかたちにする役割をもちます(例えば洗剤に配合されている“酵素”は、汚れの成分であるタンパク質を分解する働きをもつものです)。DNAや脂質をつくりだす酵素もありますし、活性酸素など有害成分を消去してくれる酵素もあります。酵素は一つの役目だけに特化したスペシャリストであり、たとえばタンパク質を分解する酵素には、糖や脂肪の分解はできません。また体内でコレステロールをつくりだす過程は、自動車を流れ作業でつくるようなもので、実に30種以上もの酵素がかかわります。

健康と酵素(エンザイム)のこと

画像:HMG-CoA
コレステロールの合成に関わる酵素のひとつ、HMG-CoA還元酵素
アミノ酸別に彩色してある
(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://px1img.getnews.jp/img/archives/278.jpg

というわけで、酵素は生体にとって重要ではあるものの、ひとつひとつの機能は限定されたものであり、どれかがたくさんあればより健康になれるというものではありません。時計の部品である歯車やネジをたくさん集めたところで、時間をより正確に計れるようになるわけではないのと同じことです。

一方、健康業界における“酵素”という概念は、これと全く違ったものになっています。酵素健康法的な考え方は昔からありますが、近年これを有名にしたのは『病気にならない生き方』などの100万部以上の大ベストセラーで知られる、医師の新谷弘実氏のようです。著書にあるプロフィールによれば、新谷氏はアルバート・アインシュタイン医科大学の教授で、内視鏡手術の世界的権威であるそうです。

氏の著書では、酵素のことをなぜか英語名である“エンザイム”と呼んでいます。『病気にならない7つのルール』から少し引用しますと、

エンザイムというのは生物の細胞内で作られるタンパク質性のもので、動物も植物も、もちろん私たち人間も、生きるために行うあらゆることにエンザイムを消費しています。
エンザイムがなくなれば、私たちは生命を維持していくことができません。いわばエンザイムは「生命の源」です。

『病気にならない7つのルール』新谷弘実著 双葉新書 より引用
http://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-15352-1.html?c=70100&o=date&type=t&word=病気にならない7つのルール

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