【体験記】パリに住んでいるのにファッションに全く詳しくないのでパリコレを見学してきた

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突然ですが、皆さんは“パリコレ”を見に行ったことがありますか?!

ファッションに全く詳しくない筆者ですが、“パリコレ”を見学するのが「とても難しい」ということはなんとなく知っていました。日本では奇抜な服を身にまとい、どこぞの怪獣のような出で立ちのモデルがネットで話題になったりしていますが、パリコレって実際どんな感じなのよ? という疑問を感じる日々をここパリで送っております。

そこでなんと今回!

運良くとあるブランドの“2017年秋冬メンズコレクション”に潜入することになりました! そもそもパリに住んでいるのに全くファッションに興味がないのもヤバい…と内心焦りを感じていたこともあり、その知られざるパリコレの実際をレポートする次第になったのです!

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筆者に届いた“パリコレ”の招待状! “パリコレ”は基本的に招待状がなければ入場できない、かなり参加条件の厳しいショーなのです。もちろん招待状の宛名も手書き。

そもそも“パリコレ”とは

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毎年2回、パリでそれぞれ別の期間で開催されている“オートクチュール”“プレタポルテ”“メンズ”の各ファッションショーが“ファッション・ウィーク”、日本で「パリコレ」と呼称されている一連のイベントです。今回筆者が参加するのは、“メンズ”のコレクションで、2017年秋冬の服のショーとなります。

ちなみにこの“パリコレ”ですが、現地のフランス人には通じないので「ファッション・ウィーク」とここでは呼称されています。

期間中はパリ中のホテルの価格が上昇し、中心部ではショーに前後して交通渋滞が発生するなど社会にも少なからず影響を与えている一大イベントの“ファッション・ウィーク”。

例えば筆者は、間違いなくショーの参加者であろう全身白の美女をなんとか捉えようと、開場前で待ち構えていたその辺の女の子がシャッターを切りまくっている光景を目撃しました。このような光景が期間中、至る所で見ることができます。後で判明したのですが、このショーは日本の名門ブランド『コム・デ・ギャルソン』のショーだったとのこと。どおりで日本語が飛び交っていた訳だ……。

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ファッションショーの参加者は、皆ベンツなどの高級車で乗り付けるのが流儀のよう。会場前の通りが、政治家の会合のように瞬く間に黒塗りの車で埋め尽くされる様は圧巻です。ファッションショー凄え!

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別アングルから同じ通りを眺めていると、一見そこまで奇抜ではない普通のお兄さんが写真撮影を受けていました。一体どうやってショーの参加者を判別しているのかは不明ですが、ファッションの奥深さを見せつけられます。

早速会場にGO!

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今回、ショーを見学するブランドは『AMI Alexandre Mattiussi』という2011年に生まれたばかりのパリ発のメンズブランド。夜9時からの開催と、最も遅い時間でのショーとなります。ショーの開場はセーヌ川沿いの超オシャレなイベントスペースでした。

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何かと物騒な昨今のパリですが、ここでも警備は厳重でした。荷物検査は当然のこと、着ているコートを開けて中に何もないことを確認し、金属探知機で全身のチェックと空港並です。

さらにこの後、2回の招待状チェックを経てようやく会場内へと入ることが許されました。

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かなり薄暗い会場に入ると、招待状に買いてあった開始時間の5分前だと言うのに人影まばらです。

基本的に、通路の両サイドに長椅子が2列配置されており、さらにその後ろに立ち見席があるというセッティングのようです。

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長椅子には招待状に記されたナンバーがそれぞれ貼ってあり、完全指定席制となっております。完全招待制のイベントともなると、なんだか緊張しますね。

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ふと天井に目を上げてみると、そこには何故か薬局やコインランドリー、車メーカーの看板が。コレは一体……。

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会場に到着してから早40分。招待状に記された時刻を30分も過ぎているのに、一向に始まる気配がありません。これがフランスなのでしょうか。逆にいつ始まるのか全く読めないので、ドキドキ感を味わうことにもなります。

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人の熱が肌で感じ取れるようになってきた頃、BGMがゆっくりと大きくなり、瞬間、照明が落ちて辺りが真っ暗に。一瞬の静寂の後、激しい重低音がウーファーから流れ始め、気になっていた天井のネオンサインが順番に点灯し始めます。

そしてこれでもか!というくらいの光が照明から降り注ぎ、一気に周囲の気温が上昇します。

いよいよショーの始まりです!

目まぐるしく去っていくモデルに感動

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すると音もなく最初のモデルが通過!! てか歩くの速ッッ!!!

想像以上に歩くのが速い&距離が近かったので、急いでシャッタースピードを上げて対応。そんなこんなしている間に次のモデルがかなりのスピードで通過していきました。

パリコレ速ッッッ!!!!

それにしても、想像していたよりも遥かに至近距離をモデル達が通過していきます。最前列だっため、まさに目と鼻の先をモデルが横切っていく感じです。

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モデルさんたちは次々と現れては表情ひとつ変えずに通路を通過していきます。中には女性モデルの姿も何人か見かけましたが、概して言えるのは、

皆超カッコイイ!

“パリコレ”というふわふわした概念しか持ち合わせていなかった筆者ですが、“ファッション・ウィーク”のモデルはとてもカッコイイ。ということを認識した瞬間でした。

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天井のネオンサインと合わせて観ると、まるで80年代ハードボイルド映画のワンシーンの様な情景が浮かび上がります。痺れます。

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モデルさんの表情は真剣そのもの。一度も視線がブレることなく、颯爽とランウェイを突き進んでいく様は「カッコイイ」の一言。“パリコレ”というと「奇抜さ」が引き合いに出されがちですが、このショーでモデル達が着ている服は、街で見かけるような雰囲気のものばかり。もちろん、ブランドの性格によって大きく左右される部分ではありますが、筆者的には事前知識ナシでも見とれてしまう程「良いショー」に感じました。

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そしてBGMも最高潮に達し、お客さんも肩を揺らしてノリノリになってきた頃、突如として照明が落とされます。

しばしの沈黙のあと……。

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先程まで登場していた全てのモデル達が、一斉に列をなして登場してきました!

1人1人でも十分にインパクトがあったモデル達。まとめて一気に行進する様子は本当に圧巻です!!

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迫力のウォーキングに対して、お客さん達は拍手で歓迎。どんどん流れていくモデル達ですが、最後にひときわ大きな拍手と歓声が湧き上がります。

そう、デザイナーの登場です。

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最後に至ってシンプルな出で立ちで現れたのが、このブランドのデザイナーであるアレクサンドル・マテュッシさん。ナイスな笑顔で観衆の声援に答えています。

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まるでヒーローの様な歓待を受けるデザイナーさん。

怒涛の10分間

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如何だったでしょう、以上が筆者が目撃した“パリコレ”の全てでした。

ファッションショーの間は写真を撮るのに集中していて気付かなかったのですが、驚くべきことにショーが行われたのはたった“10分”!!!

フランス内外から集まった顧客やエージェント、プレスなどに対してたったこれだけの時間で大丈夫なのか、とも思いましたが、ショー以外にも展示会など服をチェックする時間は他にもあります。

そして、ショーの舞台となる会場の美術、ド派手な演出のBGMやライティング(会場の隅に巨大なPA卓を確認しました)、そしてメインのモデル達と彼/彼女らが身にまとう服が見事に融合し凝縮され、視覚と聴覚を存分に満たす非常に贅沢な10分間だった事は間違いないです。

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ショーの後、特別の許可を頂いてバックルームに入らせてもらいました。

バックルーム前はスタッフやモデル関係者、プレスが混ざり合いまさに“祭りあとの興奮冷め止まぬ”状態。

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バックルームにはモデルが着用する服やヘアセット台、様々な衣装ケースなどが置いてあり、想像したよりも整然とした様子。

一方アレクサンドル・マテュッシさんの周りには一声挨拶をしようとする沢山の人が黒山の人だかりを成しており、流石にインタビューは無理そうでした。ファッションショーでのデザイナーは物凄い人気なんだなあと、改めて認識。

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駆け足となりましたが、これが“ファッションに全く詳しくない”筆者が体験した初めてのパリの“ファッション・ウィーク”、“パリコレ”でした。

後にブランドのプロモーションスタッフに聞いた所、この装飾は「80年代を意識しており、実在するものと創造したサインをミックスしている」のだとか。今回のコレクションもそういったコンセプトが背景にあり、それに倣った装飾となったそうです。

今まで全く興味のなかった“パリコレ”のブランドですが、こういった非常に刺激的でとにかくカッコいいショーを見てしまうと、否が応でも着てみたくなってしまうので不思議です。それこそが、世界で最もオシャレな都市と言われるパリの力なのかもしれません。

『AMI Alexandre Mattiussi』 公式サイト(ショーの模様が動画で確認できます)
[リンク]

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ネット・オタクカルチャー全般に対応。専攻は歴史学。ガジェット通信では生放送業務全般にも従事。1年の1/3は海外。将来の夢は宇宙飛行。

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