世界の郷土菓子を求め、地球を自転車で駆け巡る林周作さんに聞く「あなたの知らない世界のお菓子」

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世界の郷土菓子を求め、地球を自転車で駆け巡る林周作さんに聞く「あなたの知らない世界のお菓子」 画像提供/郷土菓子研究社画像提供/郷土菓子研究社

 

料理学校を卒業後、ヨーロッパへの旅をきっかけにその土地特有のお菓子、“郷土菓子”の魅力に取りつかれた林周作さん。「世界各地には、まだ知らない郷土菓子があるはず……。世界の美味しいお菓子の味を日本人に伝えたい。」そんな思いを胸に、約2年半掛けて自転車によるユーラシア大陸横断の旅をしました!

訪れた国は32カ国、調査したお菓子は300種以上に及ぶそう。そんな林さんが見つけた、知られざる世界の美味しいお菓子を教えてもらいました。これも見れば、あなたも旅に出たくなるかも!?

 

パイのようでパイじゃない!噛めば噛むほど香りが広がる “バーズラーレッカリー(スイス)”

バーズラーレッカリー(スイス)

サイコロのような四角形のこちらは、スイス北西にある時計で有名な町、バーゼルの郷土菓子。 「フランスから出発したユーラシア大陸横断の自転車旅で、最初にたどり着いた町で見つけたお菓子です。スーパーでも売っているほど、バーゼルではなじみのあるものですね」(林周作さん、以下同)

一見パイ生地のように見えるこちらの焼き菓子は、はちみつが入っているのでネチッとした食感。スパイスが効いており、噛めば噛むほどスパイスの奥深い香りが広がります。生地にはアーモンドと共に、オレンジとレモンの皮が入っており、後味は爽やか。 「表面にはサクランボのリキュール、キルシュのアイシングがかかっているので、その香りも楽しめますよ」

 

どこか素朴、でもずっしりとした食べごたえ “ モーンクーヘン(ドイツ)”

モーンクーヘン(ドイツ)

全体を覆う黒い粒が目を引くこちらは、ドイツの郷土菓子。この黒いものの正体は、ケシの実。 「“モーン”はドイツ語でケシの実のことです。レシピでは小麦粉よりもケシの実の含有量が多いくらいに、ぎっちり詰まっていますよ」

ドイツをはじめとする東ヨーロッパでは、ケシの実を使ったお菓子が多いのだそう。一口頬張ると、サクッとした表面のアイシングの後に、ケシの実特有のプチプチとした食感が。全体にずっしりとしていて、かなり食べごたえがあります。 「フランスをはじめとする西ヨーロッパと違い、東ヨーロッパのお菓子は一切れのサイズも大きくて、気取っていない、どこか素朴な感じのするものが多いです。そこに魅力を感じますね」

 

サクッとした生地と甘いフィリングとのバランスが絶妙 “シェチェルブラ(アゼルバイジャン)”

シェチェルブラ(アゼルバイジャン)

餃子のような見た目が可愛らしいこちらは、アゼルバイジャン(カスピ海に面する南コーカサスの国)を代表するお菓子だそう。 「アゼルバイジャンでは、このお菓子を置いていないお店はないほどメジャーな存在です。餃子のような形は、おそらく中国からの影響でしょうね」

表面の独特の幾何学模様は、イスラム文化の影響を受けているそう。さまざまな文化がミックスされて生まれる郷土菓子の世界、奥が深いです。この細かい模様は、専用のピンセットを使って、手作業で付けられています。画像提供/郷土菓子研究社画像提供/郷土菓子研究社

無糖でさっくりとした生地の中には、クルミやヘーゼルナッツの香ばしいフィリングが包まれています。カルダモンのスパイスがしっかりと効いていながらも、ザラザラとした大きめの砂糖の食感により、舌の上で甘みが強く感じられます。 「アゼルバイジャンでは、日本のように粒子の細かい砂糖が流通していないので、食べるとジャリっとするような1㎜角くらいある砂糖が使われているんです」

 

甘みが強く一粒でお腹いっぱいになるほどの満足感 “ベサンラドゥー(インド)”

ベサンラドゥー(インド)

カラフルな包み紙に包まれたキャンディのようなこちらは、インドの中でも北部でメジャーなお菓子。 「ヒンドゥー教の神であるガネーシャの好物だった、とされる伝統的なお菓子です。お祝い事には欠かせないものですが、日常的にも食べられていますね」

“ベサン”とはインド料理ではおなじみの食材、ひよこ豆のこと。ひよこ豆の粉に、ギーと呼ばれる発酵バターを煮詰めたものを加え、粉糖とカルダモン、カシューナッツ、レーズンを加え、丸く固めています。画像提供/郷土菓子研究社画像提供/郷土菓子研究社

一口かじると、ホロホロと崩れて溶けていくような食感。甘みがかなり強く、これひとつでおなかがいっぱいになるくらいの満足感があります。 「日本の和菓子である落雁を思わせるような食感は、日本人にも受け入れやすいと思います。これまで見た国の中でも、インドはいちばんお菓子の甘みが強いなあ、と感じますね。インド料理はとにかく辛いので、そのバランスをとっているのかな」

 

モチモチ食感にミルクの甘みがやさしい “イルミクヘルヴァス(トルコ)”

イルミクヘルヴァス(トルコ)

プリンのような形と、大胆にあしらわれたシナモンパウダーが印象的なこちらは、中東エリアの郷土菓子。 「トルコを旅した際、泊まらせてもらった民家で教わったお菓子です。その家の主は20代の男性で、お医者さんだったんですが、その日の夜にササッと手際よく作ってくれましたね」

お店で売られているのではなく、家庭で作られているお菓子は、現地に行ってみないと知りえないもの。まさに林さんの旅の醍醐味といえそうです。 「名前の“イルミク”とは荒く精製された小麦粉、セモリナ粉のことです。セモリナ粉とバターをフライパンで30分ほど炊いてから、砂糖とバニラを入れた牛乳のシロップを加え、さらに炊きあげてから、蒸してふっくらさせています」

口に入れてみるとモチモチとした食感で、松の実とレーズンがアクセントになっています。ふんわりと漂うバニラの香りと、優しいミルクの甘みがどこか懐かしい味わいです。

 

まとめ

林さんがはじめてお菓子を探す旅に出たのは、21歳の時。アルバイトを4つ掛け持ちして、その資金を貯めたのだそう。

「半年間、ほとんど休みなくシフトを入れていました。海外には根付いているけど、日本ではまだ知られていないお菓子を知りたい、その一心で旅費を貯めるために働いていましたね」

若いうちは頑張れる時期、そう笑って話してくれた林さん。こんな素敵な出会いがあるのも旅行の醍醐味ですよね。きっと、アルバイトで貯めたお金で海外旅行を計画しているひともいるのでは。もし旅行先でこのお菓子たちを見つけたら、学校やバイト先のお友だちへのお土産にしてみてはいかがでしょうか。

  林周作さん_プロフィール<プロフィール>

林周作(郷土菓子研究社)

郷土菓子に魅せられ、世界各国のお菓子を調査している郷土菓子研究社主宰。ヨーロッパから中東までの郷土菓子を収録した本「THE PASTRY COLLECTION」(KADOKAWA/エンターブレイン)を2014年上梓。2015年末に自転車でのユーラシア大陸横断の旅を終え、現在は現地で触れた世界の郷土菓子を再現している。次に行きたい国は南米。

Binowa Cafe取材協力

今回ご紹介いただいたお菓子は、原宿にある「Binowa Cafe」でも味わうことができます。(月替わりで新しい郷土菓子がラインナップされるため、今回ご紹介したものがない場合もございます)

Binowa Cafe

住所:東京都渋谷区神宮前6-24-2 原宿吉村ビル2F

TEL:03-6450-5369

営業時間:[水~金曜日]14:00~21:00 [土日祝]12:00~19:00

http://binowa.co.jp/binowa_cafe/

 

取材・文/児玉裕紀(verb)

撮影/中尾良介

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