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acid android、幻想的な演出で魅せた東名阪ツアーファイナルが大盛況のうちに閉幕

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acid android結成15周年イヤーの最後を飾る東名阪ツアーの最終日、11月1日。会場である恵比寿リキッドルーム2FのギャラリースペースKATAでは、昨年も行なわれたアート写真展『acid android exhibit 2016』も催され、雰囲気を盛り上げていた。

ライヴは2006年のファーストシングル「let’s dance」からスタートした。タイトル通りのアグレッシヴでキレキレのダンストラックで、フロアは一気に沸騰する。エネルギーが爆発し、迸り出る。今日のacid androidは少しいつもと違うな、と感じた。

まず感じるのは音響の素晴らしさだ。高域から低域までフラットに伸びた鮮度の高い音は、心地よく五感を刺激する。音圧感はあるが、歪みがなく、とても聞きやすい。リキッドルームはもともと音のいいハコだが、アーティストと音響スタッフの細やかな神経がさらに行き届いているのを感じる。

ここ最近のacid androidのライヴはダークでヘヴィなエレクトロを基調としたハードで辛口なサウンドが際だっていたが、この日はむしろ観客とともに楽しみ盛り上げていこうという意思が感じられた。ステージとフロアに一線を画す厳しくストイックなライヴ表現がacid androidらしさでもあると思っているが、この日はむしろ観客に寄り添うようなフランクさを感じたのは筆者だけだろうか。もちろん聴き手へのサービスという意味ではなく、ライヴという場を共にするファンへの共感とでもいおうか。

山口大吾(People In The Box)のソリッドでタイトなドラムスがシンセベースと同期して、地鳴りのように響く。無機的な電子音に肉体的な躍動をもたらず山口のプレイは、クールだがめちゃくちゃにテンションが高い。そこに小林祐介の空間系のエフェクトを多用したサイケデリックでグラマラスなギターが、一気にサウンドに華やかで艶やかな色気を加える。小林のプレイがこの日のライヴにもたらしたものは大きかったと思う。THE NOVEMBERSのヴォーカリストとしての小林しか注意を払っていなかった筆者は、ギタリストとしての彼の力量を改めて見直してしまった。

そうしたサウンド面の充実があるからこそ、主役のyukihiroのパフォーマンスも際立つ。例によってMC一切なしの無愛想なステージだったが、突き放されている感じはまったくない。小刻みに細身のカラダを揺らしながら観客を挑発する。本家バウハウスのダークでヘヴィな「double dare」の、さらに奈落の底に落ちていくような暗黒カヴァーが本当に素晴らしい。

凝った照明は幻想的な効果を生み、ダークな別世界を演出する。青白い照明の中に浮かび上がったyukihiroの顔が、時に吸血鬼のように、時に能面のように光る。ヴォーカルがややオフ気味のPAバランスで、歌で演奏全体を引っ張っていくというより、ヴォーカルも楽器のひとつとして、サウンド全体のテクスチャーや音圧で聴かせる、その意図は明らかだ。音響も演奏も照明も演出も衣装も歌も、髪の毛1本1本の先まで美意識が行き届いている。その一挙手一投足から目を離せない。

ラスト近くに演奏された「violent parade」でのキレキレのパフォーマンスが凄まじく、ライヴは一気にピークタイムを迎えた。全16曲、80分のステージは凝縮された密度の濃いもので、本当にあっという間だった。例によってアンコールはなく、客電がついて、まるで夢から覚めたように、魔法が解けたように、放心状態で会場をあとにする観客の表情が印象的だった。

年内のacid androidのライヴはこれで終了だが、来年はこの日も演奏された、まだタイトルもついていない新曲3曲を含むニューアルバムをぜひ期待したい。

Photo by 岡田貴之

Text by 小野島大

【セットリスト】
01. let’s dance

02. daze

03. gamble

04. perpetual motion

05. double dare

06. unsaid

07. *new song

08. *new song

09. swallowtail

10. violator

11. chaotic equal thing

12. imagining noises

13. egotistic ideal

14. the end of sequence code

15. violent parade

16. *new song




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