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これからの都心鉄道[4] 新駅開業・路線乗り入れの地価影響は?

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JR山手線の新駅開業や延伸、路線の乗り入れなど、鉄道各社がさまざまな取り組みをしているが、地価への影響はあるのだろうか。そこで、マンション価格や住宅地価に詳しい、株式会社東京カンテイ・上席主任研究員の井出武さんにお話をうかがった。【連載】これからの都心鉄道

住まい選びに大きな影響を及ぼす通勤事情。今後数年~10年後などの未来に向けて、都心の鉄道がどんな風に変わるのか? 路線ごとの便利になるポイントや特徴を紹介します。

新駅開業で不動産価格に変動はあるのか?

新駅ができることによる不動産価格や地価への影響は、結論から言うと、「上がる駅と上がらない駅がある」と、井出さんは言う。地価が上がる駅には、いくつか特徴があるそうなので、詳しく聞いてみた。

「最も大切なのは、『交通利便性が向上すること』です。これにプラスして、駅周辺の施設・環境整備が並行して行われること、地域のブランド性が顕在化すること、居住ニーズが顕在化することも、地価や不動産価格に影響します」(井出さん、以下同)

新駅や延伸によって交通利便性が向上するのは、ある意味あたり前なのだが、特に東京・大手町・新宿・渋谷などターミナル駅へどれだけ行きやすくなるか? そして、駅ができるだけではなく、その周辺に商業施設などが増えるなどして、買い物がしやすい、病院に行きやすいなど整備が進むことがポイントになるそう。では、地域のブランド性、居住ニーズとはいったいどういうことだろう?

「例えば、白金は古くから都内でも有数の落ち着いた邸宅地として、良好な住環境ではありました。しかし、最寄駅まで徒歩15分以上かかっており、限られた人たちが住まうエリアと認識されていたと思います。それが、駅ができたことにより、マスコミの露出なども増え『シロガネーゼ』という言葉もできるほど。地域のイメージ・ブランドが高まったと言えます。また、居住ニーズとは、住居としての選択肢に入るかどうかということ。元々は住居の選択肢に入っていなかった地域でも、商業施設が増えて買い物がしやすくなったり、住宅の提供が増えたりして『意外に住みやすい』と感じれば、住みたくなる人も増えるはずです」

新駅ができることで都心や大ターミナル駅へのアクセスが良くなったり、新駅周辺の開発が進んだりすることが、地価が上がるための条件のようだ。

不動産価格が大きく変動しているのは、再開発が進んでいる所が多いと聞く。では、具体的にどの辺りなのか、モデルケースを教えてもらった。

「再開発による影響が顕著なのは、武蔵小杉だと思います。元々は工場地帯だったところが、今ではタワーマンションがズラリ。商業施設もたくさんできました。先ほども述べた、『居住ニーズ』が急激に伸びた街なのです。また、JR横須賀線が停車するようになったことで、交通利便性がさらに向上しています。あるいは、勝どき駅もそうかもしれません。勝どきの場合は新駅ができた効果ということもありますが、その後長期にわたり、マンションや商業施設の開発が進んだことにより街自体が発展し不動産価格にも影響を与えています」

一方、再開発をしても、地価に反映されないこともあると言う。井出さんいわく、「再開発では、人が集まるだけでなく、人が留まることが重要」とのこと。また、ひとつのことをきっかけに、どんどん周りに波及していくことも外せない条件なのだとか。

「例えばお台場は、フジテレビやダイバーシティなどの多くの人が集まる施設があり、夏休みや休日など多くの人でレジャー施設がにぎわいますが、武蔵小杉などに比べると、マンションや病院・学校の建設など、住むこと・暮らすことに関してはそこまで波及しなかった印象です」

大学進出や有名企業の本社移転などでにぎわう中野、駅ビルを一新する渋谷なども今後の発展に期待できるだろう。しかし、再開発をすれば大成功と思ってしまいがちだが、そんなにうまくはいかないのが現実。大切なのは、再開発をして、「その後周辺をどのように巻き込んでいくか」ということかもしれない。

再開発以外の要因も!都内東部の発展に注目

地価が上がる理由として、交通利便性の向上や周辺の再開発などを紹介してきたが、大がかりな再開発がなくても、地価や不動産価格に影響することもあるという。特に、江東区や台東区、墨田区など、都内東部の発展はめざましい。井出さんは、地価と密接なつながりのある中古マンション価格を基準にしているが、これらの地域の中古マンション価格が上がった理由をこう話す。

「門前仲町や深川、清澄白河などが良い例です。これらの地域は、元々、地価がそこまで高くありませんでしたが、その割安感からマンションがたくさん建設され、居住環境が整備されました。それに伴って、中古マンション価格が上昇したのだと思います」

また井出さんは、北千住のように、再開発とまではいかずとも、大学移転などがきっかけで街がにぎわい、地価が上昇することもあるという。学生が増えることで、周辺の商業施設が盛り上がったり、なかには学校の近くに住む人もいるので、賃貸市場が活性化したりすることが理由のようだ。

新駅ができることで、ある程度、中古マンションや地価に影響を与えると言える。しかし、より大きな要因は、交通利便性の向上や周辺の開発など、副次的なもの。すでに、都心の交通はだいぶ整備されているため、今後、新駅が建設される機会はあまりないかもしれない。とはいえ、住まいを選ぶ際には、鉄道の計画などにも目を通し、交通利便性の向上や周辺の開発状況もチェックしておくと、よりよい居住環境を見つけることができるのではないだろうか。●取材協力

東京カンテイ
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