「味噌漬けの豚をケバブにしたら絶対うまいよな……」秩父温泉満願の湯にあるよ! 温泉も飲めるよ!
日本でよく見かけるようになったケバブ。実は日本に限らず世界中で流行しています。
そんなケバブの中身を、秩父の伝統特産品である豚味噌を挟んで提供している入浴施設があるのだそうです。入浴施設にしては攻めたメニュー……。気になったので、「風呂デューサー」でもある私、毎川直也が行ってきました。
秩父山中に佇む秘湯「秩父温泉 満願の湯」
新宿から車で1時間30分、今回の取材先は秩父にある「秩父温泉 満願の湯」です。
電車の場合は秩父鉄道皆野駅、長瀞駅から無料送迎が出ており、電話一本で駆けつけてくれます(要相談)。
カーナビが示したところに到着すると深山幽谷に映える赤い欄干の橋と提灯がお出迎え。なんだろうこの異界感……! 私の心がざわついています。
橋を渡った先にあるこちらの施設が「秩父温泉 満願の湯」です。この地域には天長元年(824年)、大干ばつに見舞われた際に、住民たちを救った湧き水の伝説があります。
「この伝説があるということは、掘ったら温泉が出るのでは?」と考えたオーナーは掘削を開始。湧き出た水は「必ず願いが満つる湯」、満願の湯と名付けられ、1997年に開業しました。由緒正しい……が、ケバブの要素がないぞ……!
超貴重! 飲める温泉!
受付を済ませ、早速風呂に入りましょう。
広々とした内湯は二辺が窓に面し、悪天候でも自然光が差し込みます。ほぼ露天風呂ですね。熱すぎない適温の湯に浸かると、穏やかに流れていく時間……日が傾かないと時間の経過に気づけません。
こちらは露天風呂、黄金の湯です。滝が落ちる様子を眺めながら入浴……立地が最高の湯船ではないですか! 温泉はpH9.3というアルカリ性の強い泉質で、少しぬるっとした感覚があります。
露天風呂は2種類あり、水曜日に男女が入れ替わります。
「秩父温泉 満願の湯」、最大の特徴は温泉を飲めるという点です。男女の露天風呂と、施設入り口に飲泉所が用意されています。
飲泉許可が降りている施設は大変貴重。風呂デューサーとしては、満願の湯に来たからには必ず体験してほしい設備です。ゴロゴロっとした硫黄の口触りから始まり、喉を通るとほんのりと甘みを感じるクセのない味でした。
内湯にある水風呂では、加温をしていない状態を楽しむことができます。
条例に基づいた消毒がなされていますが、浸かることのできる最も源泉に近い湯船です。ここに浸からずして満願の湯に来たとは言えません。ケバブより重要といっても過言ではありません。
露天風呂で撮影していると、カブトムシを発見。いかに自然あふれる環境に温泉が湧いているか、あらためて実感しました。
味噌百面相!
風呂あがりのメシは3割増しでうまい。
コンディションが整ったところで、ケバブを食べに行きましょう。
満願の湯には、食事がとれる部屋が貸切も含めて全6部屋、250人近く収容できます。
今回、豚味噌を食べるのはこちらの部屋「宝登山(ほどさん)」。宝登山は秩父に実際にある山で、他の部屋も秩父の地名を拝借しています。地元愛が温泉のようにあったかい!
ケバブの前に、秩父の味噌グルメを確認してみました。味噌こんにゃくと味噌ポテト、秩父では小昼飯(こじゅうはん)と呼ばれる、いわゆるおやつです。
甘味のある味噌はこんにゃくの汁気とうまく混ざり、低カロリーだけど甘い! 飽食の時代である現代、間違いなくニーズがありそうです。
そしてもはや説明不要なほど秩父のB級グルメとして有名になった味噌ポテト、安定したレベルの高さに驚きました。じゃがいもと味噌の甘みが永久に口の中で楽しめます。食べる数を決めておかないと、おやつの範疇では収まらない可能性大です。
小昼飯はおやつのレベルを超えていました。見た感じうまいに違いない豚味噌丼でさえも、すでにハードルが高くなっています。いきおいで味噌ポテトいっぱい食べちゃったからなぁ……私のコンディションも万全とは言い難い。果たしてうまいのか?
柔っっっ!!!! 目隠しされていたら肉という判断が下せないぞ……。
しっかり主張してくる肉の脂、味噌とは違った甘みを持っていますね。
2種類の甘みとほんのりとした塩気が最高にうまいです!
伝統と地元愛に満ち満ちた満願の湯。そんなメニューのなかで一歩攻めた味噌料理「豚みそケバブ」、いってみましょう。ケバブと豚味噌の相性、想像の範囲でうまいのはなんとなくわかります。実際はどうなのか。
食らいつく前に断面をしっかりと見ておきましょう。ピタパンに豚味噌とトマト、レタスを挟んでいますね。顔と比較すると結構デカいです。このサイズ感で価格は680円。フライドポテトもついているので、男性でも十分にお腹いっぱいになれる分量。お得なのです。
勢いでつくったクオリティじゃない……! ケバブとして完成されている!! 新開発メニューにもかかわらず素材全ての相性がかみ合い、王道のうま味を備えています。野菜やソースを変えることで、この先の姿がありそう。うまいだけでなく今後の期待を楽しめる、これはすごいメシだ!
「秩父温泉 満願の湯」の異界へ
あーうまかった! 満腹になったら部屋で休むことができます。
1階の大広間へ行ってみました。
一見普通の大広間ですが、奥の舞台を見てください。
「花の満願演芸劇場」です。
満願の湯は、大広間でカラオケができる入浴施設なのです。毎週水曜日にはカラオケ歌合戦が開かれるほどの目玉イベントとなっています。
選曲方法も超レトロ。リクエストカードに曲を記入しステージ脇の窓口に渡します。
順番になると名前と曲名が読み上げられ、最高に場が暖まった状態から歌うことができるのです。窓口が開いているのは17時まで。以降はコイン投入式になるので、経験したいかたは昼間にお越しください。
しばらくすると常連のお客さん達が歌い始めました。みなさん超ハイレベル! どこか懐かしいこの感覚、脳にはよさそうな気がします。ここで豚味噌を食べたらまた味わいが違うんだろうなぁ……。
温泉で知った味噌の可能性
B級グルメとして大ブレイクした「味噌ポテト」。
デザートの甘みを持つ「味噌こんにゃく」。
ガッツリ満腹、王道のうまさ「豚味噌丼」。
出来た瞬間から高い完成度「豚みそケバブ」。
単純に味噌と言っても、組み合わせる食材でいかようにも変わる、深いポテンシャルを持っていました。「一歩攻めた伝統食」、近い未来、食事情のキーワードになりそうな気がします。
お店情報
秩父温泉 満願の湯
住所:埼玉県秩父郡皆野町大字下日野沢4000
電話番号:0494-62-3026
営業時間:10:00~21:00
定休日:年中無休(施設点検のための休業があり)
公式サイト:秩父温泉 満願の湯
※金額はすべて消費税込です。
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。
書いた人:毎川直也
風呂が好きで、風呂デューサーを名乗り活動中。銭湯、スーパー銭湯、温泉旅館での勤務経験を持ち、銭湯に勤めながらメディア出演をしている。酒が弱いうえに小食なため、「メシ通」には間違いなく向いていないライター。 ブログ:銭湯、温泉探求録
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