見守りだけでは防げない! 転倒・転落から子どもを守る

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見守りだけでは防げない! 転倒・転落から子どもを守る

「マンションのバルコニーから子どもが転落して命を落とした」「室内で転んで、頭を強く打った」。こうしたニュースに触れるたび、「何か防ぐ手立てはないかな」「そんな痛ましい事故が起きるなんて……」と悲しく感じる人も多いだろう。では、こうした家庭内の子どもの事故を防ぐには、どうしたらいいのか。転倒と転落という、命につながる事故とその予防法について紹介していこう。

家庭内事故の転倒・転落は、もっと減らせる!

「日本では子どもの死因の上位に必ずランクインするのが“不慮の事故”です。この10年で家庭内事故そのものもだいぶ減少傾向にありますが、もっと防げる/減らせると痛感するのが、転倒・転落事故です」と話すのは、NPO法人Safe Kids Japanで理事を務める北村光司さん。自身も3歳のお子さんのパパである。

「日本では、子どもの見守りについては親の責任、という認識が根強いのですが、一方で、子どもが転倒したときのデータを分析したところ、転んで身体が倒れるまでは0.5秒、ということが分かってきました。いわゆる“あっという間”は0.5秒。となると物理的に親が側にいても、間に合わないことも多い。転ぶことを前提に、安全な環境づくりが大切になるんです」と解説する。

子どもと母親が同じ屋根の下にいるとはいえ、親は食事をつくっていたり、洗濯物を干したりと、「ながら」になることが多い。子どもが複数いる多子家庭であればなおのこと、「上の子どもの送り迎え」「下の子のオムツ替え」などの複数の仕事を抱えながら、子育てをしていることが一般的だ。親の目が届かない状況でも、安全な環境をつくる、というのが重要になりそうだ。それでは、どのような対処法があるのだろうか。

「よくベビー用品売り場で販売されているジョイントマットですが、フローリングと比較して、クッション性が増すので、転倒しても骨折のような大けがにはなりにくいんです。また、畳も柔らかく、子どもの転倒事故予防という意味ではすぐれています」という。マンションなどでは、よくリビング・ダイニングに隣接して和室が設けられたプランも目にするが、赤ちゃんのいる家庭ではすごく合理的な間取りといえそうだ。イラスト/tokico

イラスト/tokico

あわせて、テレビボード、ダイニングテーブルのような角のある家具は、クッションガードをとりつける、ローテーブルなどはガラス製品にしないといった、取り組みも大切だという。

「最近ではブラインドのある家庭も増えましたが、子どもが転倒してブラインドのヒモが首に絡まって窒息、ということもありました。事故が報道されると注目を集めますが、のどもと過ぎると忘れてしまうもの。小さなお子さんがいる家庭では、こうした安全面に留意しながら商品を選んでほしい」と話すのは、同じくSafe Kids Japanの太田由紀枝さん。

転倒×ヒモで窒息事故とは、思いもかけないもの……。「わが家は大丈夫」ではなく、今一度、冷静な目で住まいをチェックしたい。

マンション居住者は注意。バルコニーの高さと周辺をチェック

室内の転倒と並んで、命にかかわる事故として注意したいのが、バルコニーや窓からの転落事故だ。

「最近のマンションは、ルーバー仕様になっている横フェンスのデザインもよく見られますが、これは子どもがよじ登ってしまい、大変キケンなデザインです。通風や見た目がよいのは分かるのですが、子育て家庭には適しません。また、途中までコンクリートになっていて、上部が手すり、という構造も危ないですね。コンクリート部分が足場になってしまい、よじ登って転落、というケースがあります。こうした構造になっているバルコニーは、複数の施錠を徹底し、理解できる年齢になるまで、子どもを出さないようにして」と太田さん。

また、上記のようなデザインではなくとも、新聞紙の束やイス・テーブル、植木鉢など、足場になるものを置かないよう徹底してほしい、と話す。というのも、建築基準法では、マンションのバルコニーの手すりは110cm以上と決まっているが、ほかのデザインや仕様などの詳細はマンションのデベロッパーにまかされている。

「一部、手すりを130cmとしている会社もありますが、およそは110cmが標準になっています。ただ、この建築基準法は、子どもの行動特性には配慮されておらず、高さ20cm以上の足場になるものがあれば、4〜6歳の子ども7割が乗り越えられるというデータも。建築基準法は50年以上前のものなので、安全面では最低限のものと思って、足場のチェックなどは親が留意することが大切になります」と北村さん。

あわせて「エアコンの室外機がバルコニーにあるのは避けられませんが、フェンスから60cm以上、離すようにしてほしい」という。最近では、デザイン性を高める工夫として、木製の柵などを室外機カバーとしている家庭もあるが、子どもからみれば、格好の遊具になってしまう。「よじ登る足場になるため、使わないほうがいい」そう。

同様に、一戸建てでも、ドアや窓には幼児の手が届かない高さにロックをつけておくことが大切だという。

「3〜4歳は、自分でイスを運ぶなどして、窓の施錠を解除することも。昨日までできなかったことが、今日できるようになる、子どもの成長にも注意を払ってほしい」(太田さん)

子どもに何かが起きてからでは、手遅れになってしまう。「昨日までは大丈夫だったから」ではなく、「明日からは行動範囲が大きく変わるかもしれない」という目線で、常に安全な環境となるよう、留意したい。●取材協力

NPO法人Safe Kids Japan
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