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ブレインフィーダー@ハリウッドボウルはクリエイティブなカオスだった!フライング・ロータス主催レーベルの注目LA公演をレポート!

ブレインフィーダー@ハリウッドボウルはクリエイティブなカオスだった!フライング・ロータス主催レーベルの注目LA公演をレポート!

 フライング・ロータスが主宰して2008年にロサンゼルスで設立したインディー・レコードレーベル、ブレインフィーダー。そのレーベル・イベント【ブレインフィーダー@ハリウッドボウル】が9月17日(現地時間)に開催され、所属アーティストのラインナップが実現した。

 ガスランプ・キラー、シャバズ・パレセズ、サンダーキャット、ファンカデリック featuring ジョージ・クリントン&パーラメント、そしてフライング・ロータスという豪華な顔ぶれ。正直、このラインナップが発表された当初は「ジョージ・クリントンは異色なのでは?」と気になったが、ご存知の通り、ジョージ・クリントンの新作がブレインフィーダ―から出ることをフライング・ロータスが8月末に発表。詳細は後日、明らかになるが、現段階では願わくば来年リリースということのようだ。今回、“ブレインフィーダ―・ファミリー”を4時間にも及んで満喫したこのイベントをレポートする。

 最初のアクトとして登場したのはガスランプ・キラー。持ち時間が15分の短時間で終わりかと思ったら、シャバズ・パレセズとサンダーキャットの転換時、サンダーキャットとジョージ・クリントンの転換時も演奏。5分ほどの転換でも音を途切れずオーディエンスを楽しませてくれる構成はさすがブレインフィーダ―だ。

 続いて登場したのは、シャバズ・パレセズ。男性2人組で、カラフルな衣装に身を包み、一人はビートを中心のマルチな楽器演奏で、もう一人がヴォーカルとターンテーブル担当。大音量の低音のビートとちょっと脱力感のあるヴォーカルに実験的なサウンドという組み合わせだが、聴いているうちに癖になってくるのが面白い。どっかで聴いたことがある名前だな、と思って調べていたら、レディオヘッドの8月ロサンゼルス公演の前座をしていた! その時の会場は低音がこもっていてヴォーカルがあまり聴こえず、音のバランスが悪いという酷評もあったが、今日のライブは野外の会場で音がこもることなく、開放的に彼らのビートを楽しむことがてきた。

 ダブルギターならぬダブルベースを繊細かつ力強く演奏し、しっとりとしたヴォーカルで歌うサンダーキャットは、高速演奏が特徴的だったドラムス、キーボードを加えたトリオ編成で、エレクトロな音は控え目のジャズ色が強い構成だった。ライブ2曲目では、サンダーキャットがプロデュースしたケンドリック・ラマ―の「Complexion」をカバー。バンドメンバーがお互いにアイコンタクトで確かめ合いながら、寸分の狂いもなく演奏が進んで行った。後半では、特別ゲストとしてマイケル・マクドナルドが登場し「What a fool believes」(ドゥービー・ブラザーズ)と「Them Changes」を演奏。マイケルの最高にとろけそうなヴォーカルは確実にこの夜のハイライトの一つだった。

 トリオで演奏したサンダーキャットとは比較にならない大所帯=20人弱という編成だったファンカデリック featuring ジョージ・クリントン&パーラメント。ジョージは耳に手を当て「(声援が)聴こえない!」とばかりのジェスチャーで1曲目からオーディエンスを煽る! 独特のしわがれ声を披露しつつ、早々にマイクは若手にバトンタッチ。本人はオーディエンスの盛り上げと、バンドメンバーの進行に集中。途中ステージに座ったり、何でもありな行動だが、演奏がジョージの意思と力を帯びて前に進んでいくから凄い! そう、彼はステージにいるだけで伝説と言えるのだ。セット後半「Give Up the Funk」で会場は大歓声。この日のオーディエンスは20代が中心でかなり年齢層が若かったので、もしかするとジョージ・クリントンを生で観るのが初めて、という人が多かったかも知れない。だが、彼がいなければ、Pファンクもなかったし、Pファンクがなければ、ドクター・ドレをはじめとするGファンクもなかっただろう。そして、ドクター・ドレをはじめとするN.W.A.がいなければ、今活躍しているケンドリック・ラマ―はどうなっていたのか…想像がつかない。ただ言えることは、今夜観たジョージ・クリントンがいなければ、現在の音楽は全然違ったものになっていた可能性があるということ。本稿の冒頭で触れた来年リリース予定の新譜など、まだまだ現役活動中の彼だが、もう75歳。生のジョージ・クリントンをまだ観たことがなければ、彼が現役のうちに機会を作ってぜひ観ておいて欲しい。そして、この伝説の男から何かを感じて欲しい。この夜は、ド派手なウィッグも被らず、とても紳士的な姿でオーディエンスを楽しませているジョージ・クリントンの笑顔が印象的だった。

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