社内メールは休日自粛が投げかける仕事のあり方

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社内メールは休日自粛が投げかける仕事のあり方

携帯電話やメールの普及が働き方を変化させることに

土曜日や日曜日に社内メールを送られてくることに、ワークライフバランスの上からも自粛すべきとする企業が出てきたと、報道がありました。実際にどうあるべきなのでしょうか?

携帯電話やメールが普及し始めて約20年が過ぎました。何時でも何処でも繋がる、連絡が取れる、非常に便利なアイテムとなり、瞬く間に拡がって携帯電話の2016年3月末での人口普及率が107.1%(総務省調べ)にまで至っています。1人に1台以上です。

手放すことはできない反面、いつも監視されているようなストレスを感じる人も少なくないようです。
まして、休日の緊張から解放されなければならない時に仕事のメールが来たら、尚更ストレスになってしまうでしょう。
「ワークライフバランス」の観点からも、休日に家族や友人、または趣味などでリフレッシュすべきところですから、決して良いことはありません。
だからこそ、緊急時以外は、自粛する会社が増えてきたということも至極当たり前のことだと、思われます。

休日の電話やメールのやり取りが労働基準法上で問題になることも

自宅で、会社の携帯電話を持って、電話やメール連絡があった際に何かあれば対応しなければならない、ということ自体は労働時間にならず、問題はありませんが、実際に携帯電話に連絡が入り、何らかの仕事をしたとなると、それは労働時間となります。
この時間に対し、賃金を支払っていないとすれば未払い賃金が発生して、労働基準法違反になってしまいます。

勤務間インターバルを保つということ

勤務間インターバルとは、EUでは既に法律で規制されていて、勤務と勤務の間に11時間の休息と7日ごとに最低24時間の休息日を設けなければならないというものです。
日本では、法案化されていませんが、平成29年度厚生労働省予算概算要求によりますと、ワークライフバランスの推進から長時間労働を是正するため、「勤務間インターバルの自発的導入の支援等」に21億円を計上しています。
今後、日本でも強化されることが予想されます。
この点からも、休息中に携帯への対応によって、しっかりとした休息が取れない、ということに対して、規制が入ってくるかもしれません。

本来の労働時間に集中して生産性を上げることが本筋

休日まで、携帯電話のメールが来て資料に目を通さなければならない等、上記の視点から余程の緊急性がない限り、止めるべきです。
本来の労働時間に集中して生産性を上げて時間内に仕事を終わらせる、その後は、ゆっくり休息をするということが本筋です。
休日のメールや電話連絡の是非よりも、労働における本質的な問題を考えたいものです。

(影山 正伸/社会保険労務士)

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