おかしな間取りを愛でる「間取り図ナイト」 主催者に話を聞いた

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「小学生のころの愛読書がニューハウス(※1)、新聞のチラシの間取図チェックが趣味」という、根っからの間取好きの筆者だが、世の中には「上には上がいる」と知らされた。「間取り図ナイト」という人気イベントに参加。主催者の森岡友樹さんのけた外れのマドリストぶりに感動しつつ、話を伺った。

※1:昭和7年創刊の住宅雑誌。現在は休刊

mixiの「間取り図大好き! 」コミュニティから生まれた「間取り図ナイト」

先日、川崎市・武蔵新城で開催された「間取り図ナイト」に初めて参加してきた。お酒を飲みながら、ひたすらみんなで「変な間取り」を愛でるという楽しいイベントだ。満員の会場には30名ほどの人。まず世の中にはこんなにたくさんの“マドリスト”がいるのかとうれしくなった。日本各地で開催される「間取り図ナイト」はいつもすぐに完売、満席になるという。

もともとは森岡さんが“主”をしていたmixiの「間取り図大好き! 」コミュニティから生まれたイベントだそうだ。当日はコミュニティ時代からの大ファンだという方も参加していた。暑い1日だったが、会場はより熱いファンの熱気でいっぱいだ。

新築より中古、分譲より賃貸に「おもしろ間取り」は生息

開場時間になると、とにかく次々に面白い間取りが登場するので、全員が抱腹絶倒。ほんの一部を紹介してみる。

※間取りは編集部がデフォルメしてイラストにしています

●「あさ風呂」って何?

【画像1】図面だけでは分からない(画像作成/SUUMOジャーナル編集部)

【画像1】図面だけでは分からない(画像作成/SUUMOジャーナル編集部)

「朝寝、朝酒、朝湯が大好きで、それで身上つぶした」の小原庄助さん(※2)向けの間取りと思いきや、わざわざ「あさ風呂」とひらがな表記をしているのは深い意味があったようだ。「あさ」は朝ではなくて浅。シャワースペースのような浅い囲いがある風呂だった。

※2:民謡「会津磐梯山」の囃子詞(はやしことば)に登場する架空の人物

●四つ

【画像2】一刻も早く逃げられる家(画像作成/SUUMOジャーナル編集部)

【画像2】一刻も早く逃げられる家(画像作成/SUUMOジャーナル編集部)

なぜか家の各所に出入り口が4つもある。玄関と台所の勝手口らしいものは納得できるが、他の入り口は何のためにあるのだろうか。

●細長い

【画像3】今まで見た中で一番細長い(画像作成/SUUMOジャーナル編集部)

【画像3】今まで見た中で一番細長い(画像作成/SUUMOジャーナル編集部)

おどろくほど細長い間取りだが、実在するらしい。その証拠に写真があった。階段の大きさを優先したために、思い切り廊下が細くなってしまった。ダイエットしないと住めないかも。

●※注 天井穴

【画像4】ある意味、親切な間取図(画像作成/SUUMOジャーナル編集部)

【画像4】ある意味、親切な間取図(画像作成/SUUMOジャーナル編集部)

図面には親切にも「天井に穴が開いている」と説明されているし、実際の穴の写真も添えられているが、そもそも穴を埋めてから売り出すことは考えなかったのだろうか、疑問だ。

間取図ナイト主催者が「マドリスト」になったキッカケは?

どの間取りも、最初は誤植なのかと思って眺めていたら、次々に証拠写真も出てくるのに驚いた。世の中にはこんなにおかしな家がたくさんあるんだと、あらためて感動した。そこで森岡さんがマドリストになった理由を聞いてみた。

「父親がログハウス好きで、子どものころから間取図を見る機会が多かったのですが、扉がいい加減にかかれていたり、ものすごく雑なものが多かったんです。そんな間取図から実際の間取りを妄想するようになり、気付いたらはまってしまいました」とのこと。

また学生時代に住んでいた部屋が隣の人の声がなぜかトイレでは筒抜けで、どんな人が住んでいるかだけでなく、間取りはどうなっているのか、興味がわいたそうだ。以来、知り合いの部屋を訪れた際も、間取りがどうなっているかが気になるようになったそうだ。

面白い間取図を見つけるポイントも教えてもらった。

「長年、間取図を収集してきたので、インターネットを見ていても、自然と『おもしろ間取図』に目が留まるようになってきました。築年数が古めの賃貸物件で見つかる確率が高いですね。あとワード検索で“保険”“城”など適当なワードで検索してみると、思いがけないおもしろい物件に出会えることが多いです」

「いろいろな場所のいろいろな間取りに住みたい」を実践

森岡さんは大阪芸大出身だけに、アーティストとして家や間取りを観察しているように感じる。間取りの紹介にも関西特有のツッコミ精神が生かされていて、ただ「みんなで間取りを見ている」だけなのに、会場内は爆笑に継ぐ爆笑だ。

森岡さんは、今、国内に自分の住まいをいくつか確保しているそうだ。これだけ「家」に対しての愛情が深ければ、いろいろな場所のいろいろな間取りに住んでみたくなる気持ちは納得できる。「いずれは海外にも拠点をもって、そちらでも生活してみたいですね」と話してくれた。

これだけ、世の中に個性的な間取りがあるなら、マイホームを1軒だけと決めてしまうのはもったいない。都会と地方、マンションと一戸建て、分譲と賃貸等々、さまざまな「住まい」を、それぞれが気軽に持てるような世の中になればいいなと思った。●取材協力

間取図ナイト
元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2016/09/118075_sub01_main.jpg
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