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高学歴エリートを生むのは「塾」? 「サピックス」と「鉄緑会」の凄さの理由

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毎年、東京大学合格者数ランキングが発表されると、開成、筑波大学附属駒場、灘、麻布、桜陰といった有名進学校が名を連ねる。この裏には「塾」の存在があるという。それが「鉄緑会」だ。

そして、これら偏差値トップ校に入るための中学受験塾として、圧倒的なシェアを誇るのが「サピックス小学部」。東大合格の王道は、「サピックス小学部から鉄緑会へ」というものだったのだ。

『ルポ 塾歴社会』(おおたとしまさ著、幻冬舎刊)は、出身者の体験談や元講師の証言を元に、サピックス一人勝ちの理由と鉄緑会の秘密を徹底解剖し、「塾歴社会」がもたらす光と闇を明らかにした一冊だ。

■トップ中のトップが通う「鉄緑会」とは?

将来、東大合格を目指すなら中学受験で開成や筑駒などの進学校へ。その最難関校の合格者数で圧倒的なのがサピックス小学部だ。2015年、開成中学合格者数の8割以上をサピックスが占める。筑駒においては、7割以上がサピックス出身者だという。

そして、開成や筑駒に合格した生徒が通う塾が「鉄緑会」だ。東大や難関大学医学部を主にターゲットとし、鉄緑会に通うのはサピックスの中でも上位クラスに在籍し、難関校に合格した生徒ばかり。なぜそんなことになっているのか? 本書によれば、鉄緑会の東京本校には指定校制度があり、それ以外の学校の生徒は入会テストを受け、指定校の生徒たちと遜色ない学力があることを証明しないと入塾できないからなのだという。鉄緑会の指定校はたった13校。開成が約3割、桜陰は約4割、筑駒では5割を超える生徒が鉄緑会に在籍している。また、鉄緑会の大阪校には指定校制度はなく、全員入会テストを受けるのがルールで、灘や洛南といった関西の進学校の生徒が多く在籍している、まさにトップ中のトップの塾だといえる。

■「鉄緑会」はなぜ東大合格者を次々に輩出できるのか

鉄緑会のスタンスは、「何とか東大に滑り込む」というものではない。「圧倒的な学力をつけて余裕で合格する」「東大入試から逆算した6年間のカリキュラムで、効率的に東大合格に必要な学力を身につけ、そのうえで読書なり、クラブ活動なり、受験の領域を超えた学習なりに取り組み、将来への素地を養う」というものだという。

カリキュラムはとにかく速く、数学に関しては中学校1年生の1年間で中学分野をすべて終え、中学校2年生、3年生の2年間で高校分野をすべて終える。さらに、高校1年生、2年生の2年間で6年分の総復習を2度繰り返す。高2までに、大学受験で必要なことを合計3周繰り返すのだ。ここまでの高速履修を行っているのは、有名進学校の中でも灘くらいだという。

教えるのは、東大や難関医学部の卒業生である専任講師および大学院生、学部生だが、ほぼ鉄緑会出身者。ここに「鉄緑会イズム」が継承の仕組みができている。鉄緑会に通う中学生たちは、学歴ヒエラルギーの最上位に当たる東大医学部の学生たちと日常的に会話ができる。つまり、東大理IIIに対する畏怖は取り除かれ、身近な目標と設定できるのだ。さらに、「東大をはじめとする難関大学に合格するのが当たり前」といった空気ができあがっている環境で勉強に励むことができる。こういった環境がもたらす心理的なアドバンテージは大きいだろう。

もちろん「サピックス小学部から鉄緑会」が、絶対の正解ではない。鉄緑会の勉強量とスピードについていけない子、学校の勉強や部活との両立が難しくなり、他の塾で東大を目指す子もいる。鉄緑会でうまくいかないケースも本書では挙げているので、肯定的な意見と否定的な意見を持つ人に分かれるかもしれない。東大や難関医学部を目指している学生や我が子を東大に入れたい親は、本書を読んで親と本人がどう判断するかだろう。東大をはじめとした最難関大学受験の今の状況がわかる1冊だ。

(新刊JP編集部)

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