巨匠と呼ばれた指揮者親子の“似なかった点”とは

access_time create folderエンタメ

巨匠と呼ばれた指揮者親子の“似なかった点”とは
J-WAVEの月曜−木曜14時からの番組「ACOUSTIC COUNTY」のワンコーナー「DAIWA HOUSE SECRET NOTES」(ナビゲーター:西村由紀江)。今週は、親子で“巨匠”と呼ばれた2人の指揮者、エーリッヒ・クライバーとカルロス・クライバー父子の物語をお届けしています。

今、音楽ファンが「クライバー」と言えば、たいがいは息子の方の「カルロス」のことなのでしょうが、オールド・ファンにとっての「クライバー」は、父「エーリッヒ」という方も多いはず。

エーリッヒとカルロスは、端から見れば、似た者親子だったようです。2人とも、頑固で、厳しく、妥協しないことで知られていました。

同じ仕事に就いたからこその反発や父親へのコンプレックス。カルロスはどう折り合いをつけ、偉大な父を越えようとしたのでしょうか。

父エーリッヒは、ベルクのオペラ「ヴォツェック」の初演の時、なんと150回に及ぶ練習を繰り返したそうです。

エーリッヒが世を去った後、魂が乗り移ったように、カルロスの活躍が始まります。68年には、名門バイエルン国立歌劇場の指揮者に就任。その後、ウィーン国立歌劇場やバイロイト音楽祭など、最高峰の舞台にもデビューを果たしました。

カルロスも父と同様に気難しく、キャンセル魔ともいわれ、めったにステージに立たなかったそうです。でも、いったん登場すれば、しなやかに踊るような、美しいタクトさばきで、常に最高の名演を聴かせてくれる人でした。

父親はウイーン系の音楽が得意中の得意。バロックから現代音楽からなんでもこなせる指揮者でした。好奇心が強く、練習熱心。彼が使っていた楽譜は書き込みでいっぱいでした。

一方、息子のカルロスは、おそろしくレパートリーの少ない指揮者でした。それでいて、取り上げる作品には脈絡がなく、ただし、手がけたものは全て、歴史的名演と言われるような完成度を見せています。

得意な作品が少ないのは、生い立ちのせいもあるかもしれません。オーストリアで生まれ、アルゼンチンで育ち、母親はユダヤ系のアメリカ人。自分の生まれた国の音楽に対する誇りなど、持てるはずもありません。

気分が乗らないとキャンセルするほどなので、オーケストラの監督は務まりません。いわば、永遠の客員指揮者。ただし、準備は用意周到。彼の楽譜は父親と同じく、たくさんの書き込みがしてあったそうです。しかも、それを絶対に見せなかったとか。完璧を目指す自由人、不思議な人だったようです。

クライバー父子の物語は次回7月14日(木)のオンエアに続きます。「ACOUSTIC COUNTY
」内で15時15分頃からです。お楽しみに♪

【関連サイト】
「ACOUSTIC COUNTY」オフィシャルサイト
http://www.j-wave.co.jp/original/acoustic/

  1. HOME
  2. エンタメ
  3. 巨匠と呼ばれた指揮者親子の“似なかった点”とは
access_time create folderエンタメ
local_offer

J-WAVEニュース

J-WAVE 81.3FMでオンエアされた話題を、毎日ピックアップしてお届けしています。

ウェブサイト: https://news.j-wave.fm/news/

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。