選挙を単なる人気投票に終わらせないために有権者はどうすれば良いか?

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選挙を単なる人気投票に終わらせないために有権者はどうすれば良いか?

東京都知事は2代続けてお金の問題で任期途中に辞職の事態

 平成28年6月21日,政治資金の公私混同問題の責任を取る形で舛添東京都知事が辞職しました。
これで,東京都知事は2代続けてお金の問題により任期の途中で辞職したことになりますが,マスコミや他の政治家たちは,当の知事に生じた問題を連日のようにクローズアップして辞職に追い込むことには必死であるのに対し,知事に選んだ側の有権者の責任については,余り大きく論じることがなかったように思います。
参議院選挙や東京都知事選挙を目前に控えた今,有権者の責任にもっと目を向け,その心構えを説く必要があるのではないでしょうか。

政治家を選ぶ有権者にも責任があることを理解することが重要

そもそも,国民の生活をより良くするための仕組みを作る政治家を選挙で選ぶ権利がある人のことを有権者といいます。
そうだとすれば,そのような仕組みを作ってくれるものと期待できる人を政治家に選ぶのが有権者の役割ということになります。
自分のことは自分で決めるというのが民主主義です。

しかしながら,価値観の多様化した社会においては,そのような多様化した価値観のすべて社会の仕組みに反映させることは困難です。
そこで,国民は選挙を通じて自ら期待する政策を実現してくれそうな候補者に投票し,これにより選ばれた国民の代表者たる政治家が知恵を持ち寄り,議論を戦わせることで,より良い政策を実現しようとするのが今日の間接民主主義の仕組みなのです。

そうしますと,有権者としては,候補者の資質や掲げる政策理念などをよく理解した上で投票しなければなりませんが,大前提として,世の中で起こっている経済問題,社会福祉問題,国際関係などの事象を把握しておくことが必要なはずです。
政治は,そのような事象を解決していくことだからです。
幸いにも,最近では選挙公約なるものが公表されており,各政党の掲げる政策を比べることが可能となっていますので,投票前にこれらをよくみておくことが肝要でしょう。
また,選挙が終わった後も,選ばれた政治家がきちんと役割を果たしているのかを不断に監視していかなければなりません。

18歳選挙権の始まる参院選で国民の投票意識が変わることを期待

単なる人気投票では,同じ轍を繰り返すだけです。
知名度の高い候補者であるからといって,政治家として相応しい資質を兼ね備えているとは限りません。
特定の政党に所属してそこから立候補する場合には,当該政党の掲げる政策と自らの政策理念とが合致していなければなりませんが,政治家になりたいだけの人は,そのために政党を渡り歩くことも厭いません。そもそも政策理念など持っていないからです。

 投票しても何も変わらないという諦めムードも垣間見えた有権者でしたが,今度の参議院選挙から18歳と19歳の若者も投票することになります。
彼らがこれから自分たちが生きて行く社会の仕組みを作るという意識のもとに積極的に投票に参加し,国民全体の投票意識を変えるきっかけになることを期待します。

(田沢 剛/弁護士)

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