世界的人気のFlashゲーム『星探』シリーズが完結 クリエーターのnekogamesにインタビュー
マウスのクリックやドラッグなどの操作を駆使して、画面に隠された星を探すFlashゲーム『星探(ほしさが)』。言語に関係なく、子どものおもちゃを手にして遊ぶような手軽さと、アっといわせる仕掛けの数々がネットユーザーを魅了し、2007年の公開当初から世界的に人気を集めました。
その後『星探2』『星探3』とシリーズ化され、全100ステージをリリース。続いて絵本のようにカラフルな『星探林檎(ほしさがりんご)』シリーズ4作品100ステージが公開され、10月にリリースされた番外編『星探毒林檎』で『星探』シリーズが完結しました。ガジェット通信は、nekogames名義で『星探』シリーズを公開するクリエーターの石井克雄氏に、シリーズ完結を記念してインタビュー。作品に込められた思いを語っていただきます。
シリーズに飽きた?
ガジェ通:『星探』シリーズ完結、おめでとうございます!
石井:ありがとうございます。
ガジェ通:『星探林檎』シリーズが終わるのかと思っていたら、『星探』自体やめちゃうんですか?
石井:そうですね。
ガジェ通:人気シリーズなのにもったいないですよね。
石井:そろそろ飽きたかな。
ガジェ通:石井さんの中では、「どこまでやったらやめよう」というのはあったんですか?
石井:最初の『星探』の時点でもう終わっていいかなと思ったんだけど、『星探林檎』はもう、完全にウケ狙い。女子にモテようとしたグラフィックスがすべてを物語ってるじゃないですか。
ガジェ通:アーティスト路線ですね。
石井:アーティスト路線。
「簡単すぎる」の声で難しくした『毒林檎』
ガジェ通:『星探林檎』の『林檎』は何から来ているんですか?
石井:(しばらく沈黙)それはダメ、言えないね。作者の口から言ったらダメだ。
ガジェ通:その『星探林檎』がシリーズ化したのはなぜなんでしょう。
石井:『星探林檎』やったら、意外にウケがよかった。で、続編を作るハメになった。
ガジェ通:『星探林檎』シリーズで全100ステージ作るのはいつ決まったんですか。
石井:『星探林檎』を作って反響がよかったんで。
ガジェ通:『林檎』シリーズで100ステージまでできたのに、さらに『星探毒林檎』を作ったのはなぜなんでしょうか。
石井:それはねえ、『林檎』シリーズが「簡単すぎる」っていう反応がいろいろあったんで、『毒林檎』を作りました。『毒林檎』が難しいって言っても、初期の『星探』と同じ程度というか、元に戻したぐらいなんですよ。でもいきなり『毒林檎』をやった人には災難だったのかな。
ガジェ通:難易度の設定って、頭を悩ませるものなんですか?
石井:簡単にする方が難しい。だから『毒林檎』はサクっと作れたんですよ。
毎回新しい表現にチャレンジ
ガジェ通:毎回作るたびに、表現に新しいチャレンジをしていると思うんですが、それはどういうところにインスピレーションを受けているんでしょう。
石井:最初は『Flash』の新機能の実験だったんですよ。『Flash 8』からフィルターが使えるようになったじゃないですか。それをいろいろひとつひとつ試してみようかと。
ガジェ通:では『Flash』の新機能は毎回試してるんですね。
石井:そうですね、IK(インバース・キネマティクス)とか。
ガジェ通:『星探』全体の中で、これは気に入ってるというステージはありますか。
石井:なんだろうね。『星探3』の、女の子が階段を登るやつ。地面を盛り上げて階段を作っていくステージ。あれが作るのに時間がかかったから、一番お気に入りだね。
『星探』はどんなジャンル?
ガジェ通:『星探』シリーズって、いわゆる“脱出ゲーム”のようなポイント&クリックアドベンチャーのジャンルに入れられますけど、実際はそうじゃないですよね。
石井:そうじゃないですね。
ガジェ通:マウス操作をいろいろ工夫してプレイするというか。そこは「マウス操作も含めてオレのアート作品だ」という気持ちはあるんですか。
石井:そうですよね。それに全然パズルゲームじゃないです。
ガジェ通:あ、パズルゲームではない。
石井:勝手にカテゴライズされちゃってるけど。
ガジェ通:ご自身ではどういうカテゴリーなんですか。インタラクティブコンテンツ? メディアアート?
石井:アートじゃないね。やっぱり、そこはゲームにこだわりたい。
ガジェ通:インタラクティブコンテンツ……「Made with Macromedia」という感じですか。
※編集部注:オーサリングソフト『Macromedia Director』で制作したCD-ROMなどのマルチメディアコンテンツを販売する際、特許使用料を免除する目的で「Made with Macromedia」のロゴ表示が義務づけられていました。
石井:できればロゴを入れたいぐらい。
ガジェ通:ご自身はもともと『Director』使いだという意識があると。
石井:とりあえず心の師匠である高木敏光さんのコンテンツをすべて見ろと。
※編集部注:高木敏光氏は、“脱出ゲーム”ブームの火付け役となった『CRIMSON ROOM』を制作したクリエーター。『Director』で制作したインタラクティブムービーやゲームは世界中のクリエーターに影響を与えました。
ガジェ通:やっぱり影響は受けているんですか?
石井:影響は受けまくりですね。高木敏光さんがいなかったら、今のオレはいないですね。
ガジェ通:『CRIMSON ROOM』がiPhoneやAndroidのアプリになっていますが、あれはやりましたか?
石井:アプリはやってない。Flash版が出たときも「こんなの昔のゲームの焼き直しじゃないか」って悪態つきましたね。
ガジェ通:やっぱり『Director』だと。
石井:『Director』ですね。
次回作は?
ガジェ通:次回作はどんな構想があるんですか?
石井:次回作は……シューティング。
ガジェ通:それはシリーズ化するんですか?
石井:シリーズ化しようかな。今回の『毒林檎』のシューティングステージが、マニアの方から「全然なってない」とか言われたので。
ガジェ通:ちゃんと作れるぞと。
石井:でも結構ちゃんと作ったんだけどなー。
ガジェ通:『星探』だと女性でも気軽に遊べるじゃないですか。シューティングになると、完全に男性しかやらないですよね。
石井:そうですね。
ガジェ通:いいんですか、モテないですよ?
石井:あーそうだ。それは問題だね。でも『nekogames』ってもともと、男性向けゲームが多いというか、最初は女性向けは狙ってなかったんですよ。途中からモテたいと思うばかりに『星探』なんて作っちゃったけど、本当は硬派なゲームサイトなんです。
『星探』
『星探2』
『星探3』
『星探林檎』
『星探林檎飴』
『星探林檎園』
『星探林檎姫』
http://hoshisaga.jp/[リンク]
nekogames
http://www.nekogames.jp/[リンク]
参考記事:
石井克雄インタビュー
https://getnews.jp/archives/485[リンク]
Flashゲームとコラボ?PSP『己の信ずる道を征け』クリエーター体験イベントに行ってきた
https://getnews.jp/archives/8739[リンク]
“脱出ゲーム”ブームの火付け役がiPhone&Androidアプリで登場 『CRIMSON ROOM ‘11』
https://getnews.jp/archives/123144[リンク]
宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます
ウェブサイト: http://mogera.jp/
TwitterID: shnskm
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