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ロックの日にSUGIZOとINORANがバトル!

6月9日(木)、ロックの日。共にLUNA SEAのギタリストであるSUGIZOとINORANが、それぞれのソロ・プロジェクトの対バン・ライヴイベント『SUGIZO VS INORAN PRESENTS BEST BOUT~L 2/5~』を開催。
6月9日(木)@『SUGIZO VS INORAN PRESENTS BEST BOUT ~L 2/5~』Photo by Keiko Tanabe  (okmusic UP's)
Zepp DiverCityに詰め掛けた2,500人のファンを前に、“名勝負”を意味するタイトル通り、音と音とでぶつかり合い火花を散らしつつも、それ以上に、互いに寄せる愛情とリスペクトを露わにした。自然発生した手拍子がフロアに鳴り響く中、定刻を40分ほど遅れて開演すると、ステージ紗幕越しにスクラッチ音が聞こえ始めた。ヴァイオリンを構え前傾姿勢を取るSUGIZOのシルエットが大きく浮かび上がると、大歓声が沸き起きる。すると、その左手にはアコースティック・ギターを抱えたINORANのシルエットが背中合わせの形で映し出される。意表を突いたセッションでの幕開けに、大きなどよめきが起きた。各々、一弾きしてはその場で録音、再生しては更に新しい音を重ねて行く、ループを用いた即興性の高いセッションで、LUNA SEAの25周年ツアーでも会場を沸かせた一幕を再現した形だ。INORANはボディを叩いてリズムを刻み、ギターが打楽器的な役割も果たす。背後には、揺らめく水面に木の葉が写る映像が映し出され、2人のシルエットがそれらと重なり、イメージが増幅していく。幕が振り落とされて2人の立ち姿が明らかになると、中央には不死鳥と龍を象った存在感抜群のイベントヴィジュルが出現した。ピッと弓をINORANの方へ向け、端麗にポーズするSUGIZO。2人の個性が際立つ音色が絡み合い、どこにもない風景を立ち上げる見事な幕開けに、鳥肌が立った。

短時間でセットチェンジを終えると、アンプやドラムセットに一繋がりの電飾が巡らされ、白い光を放つ中、INORANバンドが登場。コードを掻き鳴らしたのを合図に、Openingのインスト・セッションに突入した。INORANは大きく脚を開き前後に体重を移動させながら、序盤はゆったりと、やがて頭を激しく振り始め音にのめり込んでいく。続けて歌い出したのは、昨年発売されたアルバムの表題曲「Beautiful Now」である。機上の窓から覗く雲の海原が映し出される中、眩しい光に射られながら、ギターと歌の力と、双方で会場の空気をグイグイと引っ張っていく。続けて、同じくアルバムから「might never see, might never reach」へ雪崩れ込み、疾駆する16ビートに乗せて観客は拳を突き上げてoi oi!とシャウト。会場がみるみるうちに一体化していく。INORANの近年のソロ作はストレートなロックテイストが前面に打ち出されており、例えば、LUNA SEA楽曲においてかねてから担って来たクリアトーンのアルペジオを爪弾くことは稀である。メロディアスなフレーズはもう一人のギタリスト・Yukio Murataに任せ、INORANはアグレッシヴにコードを掻き鳴らすプレイが目立ち、パフォーマンスもターンしたりダッシュしたりと、一所にじっとしていることがない。続く「Rightaway」のイントロに乗せ、「Hey、DiverCity! 楽しみに来たんだろ? 楽しむ準備はできてるか?」と呼び掛けるINORAN。ダイナミックに緩急を付けた演奏と歌で、観客をその熱いグルーヴの中に巻き込んでいった。「ホントにこの日を楽しみに待ってました。そして、後から出て来るにっくきSUGIZOも」と憎々し気な口調を試みるものの、「いや~、仲がいいんで難しい(笑)。でもやっぱり、対バンするからには音で本気でぶつかろう、と」と所信表明。再び最新アルバムから「Awaking in myself」、続けて「2Lime s」を放ち、ダンサブルな曲調に合わせて自身もステップを踏む。重く粘り気のあるグルーヴ、迫り来る音圧、煽情的な鋭いシャウト。ずっしりと骨太な演奏ではあるが土臭くは転ばず、どこかクールで洒脱なムードが漂う温度感が絶妙だ。

「すげぇいい景色だぜ!」と満足気な様子を見せると、「こういうの、4年ぐらい前から企画してたの。もちろん、これまでもRYUICHIとはTourbillonをやってて、Jとか真(矢)ちゃんとかSUGIちゃんとか…」と打ち明け話を始めるINORAN。「本音言っていい? これは話さないと泣いちゃうんで…(笑)。LUNA SEAというバンドを始めて、俺以外の皆、昔からテクニックも感性も素晴らしくて。LUNA SEAの初めの頃から、自分にはテクニックもないしセンスもないし性格も悪いし(※会場からは、『えー!?』の声が上がる)(笑)。いろいろ、負けてるな、本当に自分は足らないな、と思ったり」と心情を吐露。「特にSUGIちゃんは上手くてね。同じギタリストとして、テクニックもあるしセンスもいいし、性格もいいし…でも時間は守らない(笑)」と冗談めかしながら(※『でも、俺のほうが本当は時間守らない(笑)』と即座にフォロー)、「彼がいたから頑張れたと思う。LUNA SEAで、“負けるもんか!”と思いながら、目標にして」と、SUGIZOの存在をいかにリスペクトしているかを率直に、熱く語った。LUNA SEAの活動はありながら、「ソロで別の“ファミリー”を持って、ここで対バンができるというのは本当に、本当にうれしいんですよ。音楽人として繋がっている中でも、時にバトルもしないといけないな、と」とこの企画趣旨を明らかにしながら、「俺の兄貴を呼びます、SUGIZO!」と遂にコール。互いにファイティングポーズを構えながら、すぐにハグを交わした2人。「with SUGIZOで行かせていきます、“raize”」(INORAN)とのタイトルコールで、セッションがスタートした。SUGIZOは、サビに新たな旋律を加える形でフレーズを紡ぎ、INORANは喜びに満ちた晴れやかな歌声を響かせる。曲のもともと持っている生き生きとした輝きを更に発展させるようなフレーズを奏でつつ、SUGIZOはINORANに近付いていき、センターで向かい合う。なんと眩しく幸福な光景だろうか? 「Thank you SUGIZO!」とINORANが送り出すと、.SUGIZOは後ろからグッとINORANの首に腕を巻き付けるようにして抱きつき、ステージを後にした。

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