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特別フライトでお伊勢参り! 『AIR & BUS 成田発伊勢行きツアー』同行取材レポート

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ジェットスター・ジャパンとWILLER TRAVELは、ハブ&スポークと称する業務提携をした。

その取り組みの実証として、ジェットスター・ジャパンが東京(成田)発、名古屋(中部)行きの特別フライトを運航し、この特別フライトを利用した1日限定の「AIR & BUS成田発伊勢行きツアー」をWILLER TRAVELが一般向けに販売した。
この実証ツアーの模様を同行取材したのでレポートする。

成田から中部という超単距離フライトがないわけではない。
しかし国際線乗り継ぎのための便という性格が強くあまり一般的ではない。
この日のジェットスター881便はまさに特別機と言えよう。ただしVIP用特別機ではなく、民間提携による社会実験的な特別機だ。

「AIR&BUS 成田発伊勢行きツアー」に参加する一般搭乗客と両社の関係者、そして報道関係者が搭乗するGK881便はLCCであるジェットスターの便なので第3ターミナルから出発する。

この特別機はJA10JJエアバスA320-200型機で運航された。

搭乗ゲートでは、両社や目的地となる伊勢市からの記念品が入った紙袋が搭乗客に配布された。

この取り組みは、空港までしか足を持っていない航空会社と、空港からの足を担うバス会社が提携した形となる。
ただし、このツアーはピンクのバスで知られるWILLER EXPRESSではなくWILLER TRAVELという旅行会社が提携して販売するという形を取った。

日本で直接鉄道が乗り入れている空港は多くない。そのほとんどはバスやタクシーまたはマイカーでの移動となる。しかし、マイカー以外では主に発着するのは都市中心地のターミナル駅で、観光地に直結する交通網はさほど多くない。
そこに目を付けた両社が、空港から観光地へダイレクトに運ぶことにより利便性を追求しようという意図がうかがえる。
この実証により今後は航空会社とバス会社そして旅行会社という形で提携していくことだろう。

いつもはどの便でも満席近いジェットスターが貸切バスのようなほんわかした雰囲気で離陸を待つ。

ジェットスターでは、この日片道限りの特別フライトに搭乗した記念として特製の絵馬を配布した。
この絵馬を伊勢神宮に奉納してくださいという意図だろう。離陸前から神社への参拝感が高まる。
いわば、このフライトは伊勢神宮への参道といったところだ。

機内では抽選会が催され、地上の目的地が全員同じという不思議なフライトならではの光景を演出していた。

それでも、機長のアナウンスによる「離陸後41分」というショートフライトでも通常の機内販売やサービスは行われた。
一応念のために確認したのだが、フェリーフライト(航空機の回送)を利用したものではなく、この日のこの時間しか飛ばせなかったということなので、機材繰りに相当苦労しただろうということは容易に察しが付く。

この取り組みについて、ジェットスターの高橋里予さんに聞いた。
(写真右・左はCAのこのみさん)

--ズバリこの取り組みの核心は何ですか?

「交通事業者同士の提携ということにつきます」

--具体的には?

「今までは既存の交通事業者が決めたダイヤや宿泊を旅行会社が組み合わせてパッケージを組んでいました。もちろん、交通事業者も他の交通機関との連携もなく勝手にダイヤを決めていました。それ自体は当たり前ですが、それを異なる交通事業者同士が提携することによって、お客様の利便を高められるように合わせることも可能ですし、シームレスで運ぶことも可能になります」

--つまりワンストップサービスで手配が可能になるということですか?

「そういう方向を目指しています。例えば、ジェットスターのページからダイヤもきっちり合わせたWILLERさんのバスを同時に予約して最終目的地まで1回で完結できればいいなと思ってます」

確かに現状では、航空便とダイヤで連携しているのは地方空港の空港バスくらいで、飛行機が遅れたからと言って大空港に乗り入れている鉄道やバスが待ってくれることはない。また、ダイヤがそもそも連携を考えて設定されていないので乗り継ぎが多くなったり、空港での待ち時間が多くなったりと無駄が多くなることは経験上理解できる。
その実証が中部国際空港到着後にわかる。

中部国際空港では、WILLERが手配した名鉄観光の観光バスが乗り場に待っていた。
ここは貸切バス専用の乗り場なので、搭乗客は混雑する路線バス乗り場に行き、乗車券を買う必要もなくそのまま乗り込む。
バスはノンストップで高速道路を走り切り伊勢市駅前で1名の乗客を降ろして、終点の伊勢神宮(内宮)で残り全員が下車した。
一般の乗客はここで下車して終わりで、要するに伊勢神宮までの航空運賃とバス運賃を片道のツアー料金として支払っているわけである。
往復の設定はないので、ここから先は観光に行こうが、大阪に行こうが、それは乗客次第。

仮に伊勢神宮まで来ようと思えば、中部国際空港から名鉄と近鉄を名古屋で乗り継いで、宇治山田駅からさらに三重交通の路線バスというのが一般的だろう。または、空港島から高速船で津まで行き、やはり三重交通の特急バスという方法だが、いずれにしても中部国際空港からだけでも3000円から4000円かかるし、時間も3時間ほどかかる。
これが成田空港から航空・バスを含めて7490円ならば安いだろう。

さて、報道関係者と両社の関係者一行は、ここから内宮と外宮ツアーに回る。
その前に、この期間だけしか食べることができないかき氷を紹介しておく。
有名な赤福のお店で食べることにできる「赤福氷」。

濃い抹茶のシロップとかき氷専用でつくられたあんこと、お餅が入った逸品。
これは、夏季期間中の限定なのでぜひとも食べておきたい。

国内ではおそらくここでしかお目にかかれない、1台だけの三重交通の全電気バス。
大型バスの電気自動車はここだけで、モーター音しかしないバスが目の前を通り過ぎるのは不思議な光景だ。
ラッピングもライセンスの関係でそう長くはそうなので、見ておきたいバスだ。

ではまず、内宮から。一般的な見どころはガイドブックを参照していただきたい。
この場所は、伊勢志摩サミットで日米両首脳が握手を交わした場所。
この位置を覚えておきたい。

五十鈴川にかかる宇治橋を渡ったところは、記念撮影スポット。
内宮は基本的に右側通行。外宮は左側通行。
それは、手水舎が右側にあるか左側にあるかによっての違い。
体を清める手水舎は神様の領域外にあり、神様にお尻を向けないように奥側に立って清めるのが「知っている人」の振る舞いだ。

手水舎から進んだ右奥には、五十鈴川の水を手に取ることができる。昔はここで体を清めたのだが、現在は手水舎で清めればよい。

別宮 風日祈宮は風の神様。
なぜかと言うと、イネは自分のおしべとめしべでしか受精しない自家受精。したがって、媒体するのは風しかなく風の神様が重要だということ。
したがって、ここでは食べ物について感謝をする。お願い事はまだ先だ。
手前のスペースは20年後の遷宮の時に建てられるお宮の場所。式年遷宮は正宮のみではなく、橋や鳥居にわたるまで行われる。また、その木材はすべて再利用され過去には自然災害で倒壊した神社の再建に利用されたり、はるか昔から20年ごとに入れ替えられる鳥居が決まっていたりと、一切の無駄はない。

正宮の神様は天照大御神。
ここでも日ごろの感謝を申し上げる。
なお、正宮は中での写真撮影は禁止されている。

別宮 荒祭宮では、お願い事をしても良い。その意味では、最大のパワースポットともいえる。
なお、正宮と荒祭宮2つは最低限でもお参りする。

その後は外宮へ向かう。外宮は内宮と比較してそれほど時間はかからない。
途中にこのような立ち入りを拒むかのようなスペースがある。
これぞ文字通りの「縄張り」だ。
神職がおはらいを受ける神聖な場所で、このような場所に縄を張って囲うことを縄張りという。
ついでに書いておくと、お参りをして願い事が成就されると必ず神様にお礼に行く。これを「お礼参り」という。

つまり、お礼参りも縄張りも、本来は神様に起因した言葉で、現在使われているような意味では決してないことは覚えておきたい。

写真の橋の石は何に見えるだろうか?
そう、カメである。鶴は千年、亀は万年。縁起の良い石だ。

正宮 豊受大神宮を参った後は、別宮 多賀宮にお参りする。
この多賀宮もお願い事をしても良い。

最後に小さなパワースポットを紹介しよう。
通称、ハート石と呼ばれるこの石に触れて三度意中の人の名前を念じるとご利益があるそうだ。

ジェットスターの高橋さんは誰を念じたのか?

こうして、神宮参拝が終了すると、神様の食事からお下がりをちょうだいして、神様と酒食を共にする。これを直会(なおらい)といい、宴会となる。この「お下がり」も今では兄弟姉妹からのお古という意味が一般的だが、本来は神様から下されたものだという意味と分かるとありがたく思えてくる。

報道関係者と両社の関係者は、簡単な飲食を共にして帰りのバスを待つことになる。
一般に発売したツアーは片道のものだが、報道関係者は東京に戻らなければならないので、WILLER TRAVELが新宿行きの高速バスを手配してこれも報道関係者のツアーの一環とした。

WILLER EXPRESSの高速バスには様々な種類のバスとシートが存在する。

この便は、伊勢市駅発で、三重県内の主要地を回って新宿・川崎まで運行する高速路線バスだ。

4列シートなので、窮屈さは否めないものの独自開発したシートが目を引く。

伊勢市、松坂、津、白子、四日市と、近鉄特急の停車駅とほぼ同じ停車で乗客を拾っていく。
途中で4回の休憩があるが、トイレが付いていないバスのため一般道ではコンビニの駐車場で休息する場所もある。
買い物もできるので、それはそれで気分転換になる。

明朝5時40分に定刻で新宿西口に到着した三菱ふそうエアロスターのハイデッカー。

ほぼ24時間の弾丸ツアーだったが、このような選択の幅が広がる交通機関の融合は、従来の交通機関単独の取り組みよりも事業者同士の提携という強みを生かして消費者にとって有利に働くのは間違いのないことだろう。
これが普通に買うことができる1枚の「きっぷ」として浸透すれば列島活性化と、消費の拡大に寄与するという意味でも日本経済に与える影響は決して小さくないと感じたツアー同行取材だった。

※写真はすべて記者撮影

―― 見たことのないものを見に行こう 『ガジェット通信』
(執筆者: 古川 智規) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか

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