【タベアルキスト】東京ワイナリー~食材のルーツを巡る旅 其ノ2(後編)~産地を巡る冒険

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みなさんこんにちは。メシ通レポーター、タベアルキストのAraiです。

前回の記事では「D&DEPARTMENT TOKYO」を訪問し、東京野菜の生産者と交流し、徹底的にその良さを追求している点に心を打たれました。

その東京野菜との食べ合わせとして提供しているワインの一つが、東京初のワイン醸造施設である「東京ワイナリー」のワインだそうです。

今回はその「東京ワイナリー」を訪問し、どのような思いが込められて、どのように作られているのかを見学してきました。

「食材のルーツを辿る旅 其ノ2」の後編のはじまりです!

※前編はこちら

東京の農産物を広めたいとの思いから設立

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「東京ワイナリー」は練馬区大泉学園町にある、ワインの製造から販売までを店内で行う東京初のワイナリーです。

代表の越後屋美和さんはこう言います。

大田市場で野菜の仲卸をしていた頃、東京にもこんなに農地があって、こんなに美味しい野菜や果物を作っている農家さんがいるんだと知って以来、この東京の農産物を広める活動をしたいと考えて、ワイナリーを設立しました

東京のぶどうを使って作るワインを東京の野菜と組み合わせて食す、都産都消やフードマイレージから見てもとてもシンプルな考え方です。

「東京の人にこそ、東京の食材を知って、食べて、楽しんでもらいたい!」という思いがあったそうです。

西武池袋線の大泉学園駅から徒歩10分ほど。住宅街の一角にある小さなワイナリー。今回はそちらを見学させていただきました。

東京初のワイナリー

越後屋さんは山梨でワイン造りを学び、2014年に果実酒製造免許を取得してワイナリーを設立。元は新聞販売店だったという建物の1階、70平米ほどの広さを醸造所とワインを販売するスペースに区切って営業しています。

ちいさいけれどほんばかであたたかく、手作りの良さが感じられます。居心地がよく可愛らしいお店です。

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カウンターの後ろにはボードがあり、週末は「昼飲み」ができます。

グラスワインと野菜おつまみで500円。野菜とワインをよく知る越後屋さんならではの組み合わせなんですね。

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隣の部屋は醸造スペース。カフェの奥のドアを開けると、ひんやりとした空気と酵母の香りに包まれます。

除梗破砕機やコルク打栓機、タンクが4台と、いかにも醸造所といった趣き。

こここそ東京ワインが生まれる場所です。

ここでまず、ワインのできるまでの工程を簡単におさらいします。

正確には白ワインと赤ワインで流れは異なりますが、白ワインを例にざっくりと説明すると 除梗、破砕 … 房の茎を取り除き、果実を砕く 圧搾 … 砕いた果実を絞って果汁を取り出す 発酵 … 酵母を加え、発酵させる(赤ワインは圧搾と発酵の順序が逆) 貯蔵 … 貯蔵してオリ引きする 熟成 … 瓶詰して熟成させる(樽で熟成する場合も)

という工程で作られています。この小さなスペースでこれだけのことが行われているんです。

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こちらは除梗破砕機。

「梗」とはブドウの実をつけている枝でのことで、まずはそれを取り除きます。こちらは手動式で、中のローラーが回って梗が破砕されます。

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仕込み中のワイン

東京のぶどうは8月末ぐらいから仕込みを始め、4台のタンクを効率的に稼働させるためにも、時期をずらしながら翌年3月まで行われるとのこと。

見学の時にはワイン造りはほとんど終わっていて、タンクではシードルが発酵していました。ワインが出来上がるまではシードルを作ることで、タンクを効率的に稼働させます。

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ぷくぷくとりんご果汁が発酵し、いい香りが部屋中に漂います。生きている、息をしているという感じがよく分かります。

瓶詰からラベル作成・貼付け、販売まで越後屋さんひとりの手作業ではものすごい労力が必要ですが、収穫や瓶詰など、人手が必要な時はボランティアの方にお手伝いいただきます。

この日もお手伝いに来ている方がいらっしゃいましたが、東京ワイナリーのフェイスブックでも募集することがあるので、チェックしてみてはいかがでしょうか。

最後はテイスティング

見学後に、ワインを試飲させていただきました。

いただいたのは青森県で採れたスチューベンとスチューベンのロゼ、そしてりんごのジョナゴールドで作られたワインの3種類。

青森県鶴田町はスチューベンの生産量が日本一のブドウの産地で、糖度が高く、華やかな香りの優しい味わいが特徴です。無ろ過で仕上げているため、オリ由来の旨みが楽しめます。

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個人的に一番ヒットしたのがスチューベンのロゼ。微発砲で爽やかな口当たりが特徴的。色味は全体的にやや薄めでオレンジがかったチェリーピンク。甘酸っぱい香りが匂って、マスカットや洋梨を感じさせます。

かすかなシュワシュワ感が心地よい。

味は純粋な果実味。酸味のバランスがよく、グレープフルーツやヨーグルトのような爽やかさを感じさせます。

全体的にはすっきりとした飲み口で、バランスの良い優しくこまやかな印象のワイン。

作り手の越後屋さんの繊細さが溢れているかのようです。

日本人が食べ慣れたぶどうの安心感ある味わいなのかもしれません。まとまりがよく、美味しいと感じさせてくれるワインです。お肉料理にもお魚料理にも相性のよいワインではないでしょうか。

海外のワインも安価で美味しいですが、日本ワインも負けてはいません。「日本の食を理解し、大事にすることはとても大切」と越後屋さんは語ります。

日本ワインがブームになりつつある中、まずは東京という身近なエリアにあるワイナリーに足を運んでみてはいかがでしょうか。

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Gaku Arai

タベアルキストのワイン担当。『その他の料理と地のお酒のマリアージュこそ文化」と信じて疑わず、幅広いジャンルの料理とお酒を愛するタベアルキスト&ワインアドバイザー。メディアよりも友人の情報と自分の舌を信じるタイプ。 Webサイト:Tabearukist Association facebook:Tabearukist Association

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