【乗れたらラッキー】1路線、1形式、1編成のみ見れる都内の希少な車両達
2015年(平成27年)11月30日、山手線に新型車両、E235系電車がデビューしました。
東京オリンピックが開催される2020年(平成32年)までに全ての山手線の車両がE235系に置き換わる予定です。
当面は量産先行車の1本のみが活躍をする予定ですが、全52編成の車両が在籍する山手線ではなかなか出会うチャンスの少ない車両です。
なかなか出会うチャンスの少ない車両に出会えると…鉄道ファンでなくてもうれしいですよね。
『山手線の新型車両』とメディアで報道されたこともあり、自然とE235系にカメラを向ける方も多く見られるようになりました。
じつはJR東日本の通勤型電車ではE235系と同じように注目を集めている車両がいることをご存知でしょうか。
山手線でE235系が1編成しか見られないように1路線、1形式、1編成のみで活躍をしている車両たちにスポットをあててみましょう。
どの車両もその路線では1編成しか走っていない、乗れるかはまさに運次第?
冒頭で触れたE235系も含めて1形式、1本にロックオンしてみましょう
205系については以前記事(https://getnews.jp/archives/1463989)で触れましたが、その補足という形でご覧下さい
埼京線205系ハエ28編成
埼京線といえば未だに205系というイメージが強い方も多いのではないでしょうか。
205系は昭和60年(1985年)にデビューした初のオールステンレス車体を持つ通勤型電車です。
埼京線でのデビューは1989年(平成元年)7月1日。首都圏では4番目に205系が投入された路線です。
全盛期は10両編成32本もの205系が埼京線を走っており、そのうち25本は6ドア車を編成中2両組み込んでいました。
2013年(平成25年)6月30日のE233系7000番台投入まで約25年という長きにわたって同線の主力車両として活躍。
埼京線205系に乗って埼玉から通勤した、新宿や渋谷、お台場に遊びに行ったという人も多いはず。
E233系7000番台は平成26年(2014年)1月14日までに全編成が出そろい、入れ替わるように205系は姿を消していきました。
残念ながら廃車になった車両もありますが、2本が編成を10両から4両に縮めて600番台化されて小山車両センターへ転属。
宇都宮線黒磯口のローカル運用に就いているほか、半数以上にわたる18本180両が6ドア車も含めてインドネシアへ譲渡されました。
現在、埼京線で1編成だけ残っている205系は川越車両センター所属のハエ28編成。
1編成だけ205系が残っているのも不思議ですね。じつはこれにはある理由があります。
埼京線は2017年(平成29年)秋から新たに『ATACS』という最新技術を盛り込んだ保安装置の運用が開始されます。
そのATACS導入に伴い、車両側にも対応した機器の設置など工事が行われることになりました。
もちろんE233系7000番台にもATACS対応工事を施すことになり、205系はその工事期間中の予備車として残されたのです。
当初、205系はE233系7000番台が出そろった時点で引退予定でしたので思わぬところで205系に白羽の矢が立ったことになります。
予備車確保のためにE233系を新たに製造するよりも205系を1編成残して予備車に充てた方が効率的にもよかったのでしょう。
最後の埼京線205系となったハエ28編成は定期運用にも比較的入り、往年の走りを見せています。
都内から205系自体が減りつつある現在、10両編成を組む最後の205系としてファンからの注目も高い車両です。
≪車両データ≫
川越車両センター 205系 ハエ28編成
落成日:1989年(平成元年)11月15日 川崎重工クハ204-107、モハ204-289、モハ205-289、サハ205-175、モハ204-288、モハ205-288、サハ205-174、モハ204-287、モハ205-287。クハ205-107
南武線209系2200番台ナハ53編成
南武線は支線をのぞき、2016年(平成27年)1月9日をもって205系が引退し、E233系8000番台が新たな主力車両として活躍を始めました。
かつて南武線はさまざまな車両が活躍をしており、多彩な顔触れを見ることができました。
特に1993年(平成5年)2月から2004年(平成16年)12月にかけては103系、205系、209系とじつに3形式が10年以上も共存していた路線です。
都内から103系が完全撤退したのが2006年(平成18年)4月なので南武線は103系が比較的最後まで残った路線になりますね。
103系撤退後の南武線は205系が主力車両として活躍し、209系もそれに交って活躍を続けてきました。
もともと南武線209系は全盛期で6両編成4本という少数派で南武線ではレア度の高い車両でもありました。
209系は1993年(平成5年)にデビューしたJR東日本の初代新系列通勤型車両です。現在のE231系やE233系の基礎となった車両ともいえます。
主に京浜東北線に集中投入されましたが、南武線にも6両編成1編成が1993年(平成5年)4月1日にデビューしています。
その後も新製車や京浜東北線から転属してきた車両も含めて先述のように全盛期で6両編成4本が活躍を続けてきました。
2014年(平成26年)10月4日から後継のE233系8000番台がデビュー。
置き換えは205系でなく、209系も対象となりまだ比較的新しいイメージのある209系も徐々に定期運用から撤退していきました。
現在、南武線に1編成だけ残っている209系は中原電車区所属のナハ53編成。
209系2200番台を名乗り、2009年(平成21年)に京浜東北線で活躍していた209系を機器更新を行って投入された車両です。
E233系8000番台の投入数に対して南武線の運用数が増加しており、それに伴う措置として残されているものと考えられます。
検査期限や車齢が205系よりまだ若めということで、209系がE233系と比較して居住性やサービスも大差ないことも理由として考えられますね。
(※注意:209系が残されている公式な理由が発表されていないのであくまでも筆者の推測になります)
E233系8000番台に交って元祖新系列通勤型電車は新型車両と共に走っています。
≪車両データ≫
中原電車区 209系2200番台 ナハ53編成
落成日:1994年(平成6年)7月19日 東急車輛
改造日:2009年(平成21年)7月7日 東京総合車両センタークハ208-2202、モハ208-2204、モハ209-2204、モハ208-2203、モハ209-2203、クハ209-2202
※2009年(平成21年)7月7日、京浜東北線浦和電車区から中原電車区に転属。
京葉線209系500番台ケヨ34編成
京葉線も南武線と同じく、さまざまな車両が活躍をして多彩な顔ぶれを見ることができた路線です。
他線区と同じく京葉線も世代交代が行われ、2010年(平成22年)7月1日にE233系5000番台がデビューしました。
置き換えが盛んであった2011年(平成23年)までは201系、205系、209系、E233系、E331系と5形式の車両が活躍していたのです。
このうち2011年(平成23年)6月20日に201系が、7月25日に205系が撤退しました(武蔵野線から乗り入れる205系は残存)
試験的要素が強かったE331系も2011年(平成23年)1月以降は営業運転に就かず、2014年(平成26年)4月に廃車となってしまいました。
京葉線の209系は2008年(平成20年)12月1日にデビューしました。
京浜東北線にE233系1000番台が投入されたことに伴い、5本活躍していた同線の209系500番台のうち4本が京葉線に転属してきました。
209系500番台は1998年(平成10年)11月29日に中央・総武線でデビューし、一部の編成がその後京浜東北線に転属しました。
これまでの209系より車体幅が広くなったことや、2000年(平成12年)のE231系までのつなぎ役として
209系500番台が転属してきたのもつかの間、今度は京葉線にE233系5000番台が投入されると209系も置き換えの対象に含まれました。
早くも209系は3本が10両編成から8両編成に縮められ、新たに武蔵野線に活躍の場所を移しています。
E233系5000番台投入完了後も209系は1本だけ残されています。先ほど触れた南武線の209系と同じですね。
当初、E233系5000番台は10両編成25本(分割対応編成も含む)が投入される予定でしたが、実際は24本で製造が終わってしまいました。
E233系による置き換え対象は201系、205系、209系の3形式でE331系は対象に含まれていませんでした。
ところがE331系は先述のように試験的要素(連接構造やDDMなど)が強かったこともあり、故障が頻発していました。
最終的に2011年(平成23年)1月16日以降、営業運転に就くことはなく、2014年(平成26年)4月に廃車となってしまいました。
置き換え対象外のE331系が廃車になったことにより、209系がその穴埋め分…というのが1本残った理由かもしれません。
こちらも定期的に運用に就いており、ときには武蔵野線へ活躍の場を変えた209系との並びも見られますよ。
≪車両データ≫
京葉車両センター 209系500番台 ケヨ34編成
落成日:2000年(平成12年)3月29日 新津車両製作所クハ208-517、モハ208-534、モハ209-534、サハ209-568、サハ209-567、サハ209-566、モハ208-533、モハ209-533、サハ209-565、クハ209-517
※2009年(平成21年)1月13日、京浜東北線浦和電車区から京葉車両センターへ転属。
山手線E235系トウ01編成
冒頭で触れましたが、2015年(平成25年)11月30日より営業運転を開始した山手線の最新型車両です。
JR東日本の通勤型電車では最新形式となり、2020年(平成32年)までに山手線全ての車両がE231系500番台からE235系に置き換わる予定です。
E233系の後継車両という位置づけもあり、これまでの技術開発の成果を取り入れた車両です。編成は1本あたり山手線伝統の11両編成。
このうち10号車(サハE235-4620)は置き換え対象のE231系500番台から改造、編入された車両です。
これまでの通勤型電車とはまた大きく変わったデザイン、一般的に先頭車両にしかなかった車椅子スペースが全車両に設置。
ドア上のみだったLCD(広告や運行情報を表示する液晶モニター)が窓の上にも設置されるなど利用客から注目を集めています。
車両を管理する情報システムに新たに『INTEROS』(これまでE231系、E233系に導入されていたTIMSの発展させたもの)が導入されました。
しかし営業運転初日にこれらシステムに異常が生じてしばらく運転から離脱。
試運転を繰り返してシステムが正常に作動することを確認された2016年(平成28年)3月7日から営業運転を再開しました。
サービス向上のほかにもエネルギーコストやメンテナンスの削減など従来の車両と比べて大きく改良された車両です。
これまでのステンレス車体の通勤型電車は窓の上下に横帯のラインカラーを貼りつけられるスタイルが一般的でした。
このE235系は従来のスタイルから一変し、ドアのみにラインカラーを配色している新しいスタイルが採用されました。
山手線は2017年(平成29年)までに全駅にホームドアを設置する予定で、設置により見えづらくなる横帯に変わってこのレイアウトが採用されました。
まわりを走る車両はまだまだステンレスの横帯スタイルの車両ばかりなので目が慣れるまでにもう少し時間を要するかもしれません。
量産先行車は試験的に線路と電力設備の状態監視装置を搭載しているのも特徴としてあげられます。
しばらくは東京総合車両センター所属の量産先行車1本のみの活躍ですが、早くも2本目の登場に向けて動きが出始めているようです。
E235系量産先行車と入れ替わりでE231系500番台は1本、中央・総武線へ転属しました。近日、2本目が登場し、同じく中央・総武線で活躍予定です。
11両編成のうち、1両はE235系に改造編入されますので、残り10両で他路線へ転属することになります。
中央・総武線へ転属したE231系500番台が2本になることでE235系2本目が近々、デビューすることでしょう。
まだまだ珍しい山手線の最新型車両E235系。未来を先取りした通勤型電車で都心をぐるりと1周してみるのもいいですね。
≪車両データ≫
東京総合車両センター E235系量産先行車 トウ01編成
落成日:2015年(平成27年)3月26日クハE234-1、モハE234-3、モハE235-3、サハE235-1、モハE234-2、モハE235-2、サハE234-1、モハE234-1、モハE235-1、サハE235-4620、クハE235-1
※サハE235-4620はE231系500番台(トウ520編成)のサハE231-4620より改造、編入。
都心を走る1形式1本のみのJR東日本通勤型電車たち、いかがでしたか?
もしその路線に乗る機会があったとき、ここで紹介した車両たちがやって来るかはまさに運次第。
乗れたらラッキーなレア度の高い車両に乗って出かけてみるとまた新しい発見ができるかもしれません。
最後におまけとして簡単にこの車両の紹介もしておきましょう。
209系試験車。MUE-Train
2008年(平成20年)10月に京浜東北線で活躍していた209系を改造して誕生した多目的試験車両です。
「車両の性能向上に関する開発」「次世代車両制御システムの開発」「営業用車両を用いた地上設備の状態監視用機器の開発」を目的に各種試験が繰り返されています。
E235系で採用された『INTEROS』の試験もこの車両を用いて行い、明日の通勤型電車の発展のために研究をつづける車両です。
運行スケジュールは基本的に非公開。もし試験をしている姿を見られたらラッキーですよ。
≪車両データ≫
川越車両センター 209系事業用試験車『MUE-Train』
落成日:1993年(平成5年)2月13日:川崎重工
改造日:2008年(平成20年)10月8日:長野総合車両センタークヤ209-2、モヤ209-3、モヤ208-3、モヤ209-4、モヤ208-4、クヤ208-2
※登場時はサヤ209-8を組み込んだ7両編成を組成。2011年(平成23年)に廃車となり以後は6両編成。
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(執筆者: kenttakamatsu) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか
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