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パフォーマンスだけでは無いチェーンアート 日本の林業を盛り上げています

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「林業」って知っていますか? 何か森で木を切っているという印象程度では無いでしょうか? 義務教育の教科書でたった四行だけしか取り上げられていないらしく、『農林水産省』も「農水省」と略されてしまうほどです。 愛知県の東栄町は昔からの林業の町で、林業を盛り上げるために選んだのが「チェーンソーアート」です。 非常に派手で、チェーンソーの爆音と出来上がった彫刻の美しさと言った後から付けたような物と言われそうですが、チェーンソーアートと林業の関係性は思っている以上に深い物でもあります。 今回、チェーンソーアートクラブの『マスターズ・オブ・ザ・チェーンソー東栄』の森下さんに話を聞きました。

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インタビュー中の写真です。 画面右から一番目が森下さんです。

チェーンソーは木を切り倒すための道具です

チェーンソーと言ったら白いホッケーマスク?と言う印象が一番強いですが、林業で大木を切り倒すための道具です。 この道具を繊細な彫刻に使ったのが「チェーンソーアート」です。 通常は比較的低回転で回して木を倒しますが、チェーンソーアートで使用する場合は毎分12000回転という速度で運転をさせます。 高速回転させることで非常に繊細な加工を行うことが出来るので彫刻が可能です。エンジンの12000回転は極端にチューニングされたレーシングエンジンの回転数に匹敵しますのでエンジンオイルも当然レーシング用を使います。 東栄町で毎年開催されている『日本チェンソーアート競技大会in東栄』では50選手の参加なので音と燃えるオイルの臭いでレーシングサーキットの様な爆音が迫力です。 ちなみに、実際の林業ではここまでの音は体験できないとの事です。

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このような木をチェーンソーで切断します。

無価値の間伐材を資源に変えるのがチェーンソーアート

林業とチェーンソーアートの最も重要な共通点が「間伐材」です。 森の木を生長させるには、不要な木を早い段階で切り倒す必要があります。 このときに発生した木のことを間伐材と呼びます。 かつては、電力や通信用の電柱として使われていましたが、今ではコンクリートや金属製に変わり需要が無くなりました。 また、足場や生活用品も樹脂製に代わり間伐材の需要が極端に減り、林業の売り上げが激減しています。
チェーンソーアートでは間伐材を利用して彫刻を作ることが出来、数千円から万単位の価値を創造することが出来ます。 また、競技者や趣味で楽しむ人が増えれば材料としても需要が出てきます。

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出来た作品です。玄関や店のオブジェとして最適です。 荒削りな仕上げが森から来たという印象を深めます。

更に、通常のアートではゴミになる削った後の材料も、除草のための材料として需要があります。 大会では大量の「おがくず」が発生しますが、無料で配布すると観客が全て持ち帰るほどの人気商品です。 使い方も、土に厚めに振りかけるだけなので手軽です。 時間がたてば自然に土に返るので環境にも優しいので除草剤より安心です。 東栄町の大会では、チェーンソーの潤滑油を環境に優しい植物性にする事で更に環境に優しくなる配慮をしています。

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大会では全て観客が持ち帰るとの事です。

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