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「やりたいこと」に打ち込んで、得意分野のスペシャリストへ LIGのCTOが語るエンジニアのキャリア論

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680PVを超えるオウンドメディア「LIGブログ」を運営する株式会社LIG(リグ)。オウンドメディアが乱立し、コンテンツマーケティング最盛期とも言われる今、Web制作とコンテンツをワンストップで納品できる制作会社として注目度も高まっている。

社員の個性を重視する社風がある同社だが、キャリア形成も個人の意思に委ねている部分が大きい。現CTOの林優一さんに、キャリア論を聞いた。

(※2015年8月末時点)

林優一さん/株式会社LIG CTO

大学卒業からフロントエンドに主軸を置きつつ、独学でサーバサイドのプログラミング、アプリ開発、ディレクションなどを網羅。2014年にLIGに入社後、フロントエンドエンジニアチームのリーダーを経て、現職。趣味はJavaScript・テニス・写真。

やりたい仕事に就けなかった経験から始まるキャリア

林さんがLIGに入社したのは2014年。LIGがフロントエンドチームを結成するタイミングでのジョインとなった。

「もともと新卒で入った会社はシステム会社で、JAVAのエンジニアリングをやっていました。でも、ウェブ制作のフロント側をやりたくて転職して、そこからフロントエンドの人間としてやってきました。

最初からフロントエンドがやりたかったんですけど、新卒で入ったシステム会社ではずっとJAVAのプログラミングだけやっていて、それがきつかったですね…。転職先の2社目がウェブ制作会社。3社目がソーシャルゲームの開発会社でした。

3社目ではインフラとかサーバーサイドの優秀な人たちと一緒に働き、そこでの経験が一番大きかったです。そして4社目でLIGに入りました。

CTOになったのが今年の6月で、それまではフロントエンドチームのリーダーとして、チーム自体を作るのと、実務を経験しました。フロントエンドチームができる前は、デザイナーがコーディングなども含めてすべてやっていたのですが、やはり専門的な分野なので、新たに専門部隊を作ろうということで誕生した部署です」

一言でエンジニアと言ってもその業務領域は広く、やりたい仕事に就けるかどうかは企業によっても異なる。林さんの場合、一社目でやりたいことができなかった経験が、このあとのキャリアとマネジメントの考え方に大きな影響を与えることになった。


「やりたいこと」を深めることが成長のカギ

LIGに入社する社員は経験者採用が圧倒的に多いが、中にはゼロベースからの教育を必要とする社員もいる。エンジニアとしてキャリアをスタートさせるとき、たとえばバックエンドとフロントエンド、どちらから始めるべきだろうか。この問題にLIGは「自由意志」を尊重する。

まずは本人のやりたいこと、ですね。本当にまっさらな状態であれば、やりたいことをやったほうが絶対に伸びますし、やる気も違いますから。私自身も、楽しいと思うことをやったほうが伸びるということは経験していますし、とくにスタートの時期は、楽しいこと、好きなところから伸ばしてもらったほうがいいかなと思ってます」

エンジニアのキャリア形成とスキル習得

昨今の技術進歩はめまぐるしく、広がりは留まることを知らない。エンジニアのキャリアを重ねていくうえで、スキル習得のあるべき姿は何か。もしもマネジメントをするようになったら、専門外のスキルも習得する必要があるのでは?と不安に思うエンジニアも少なくないのではないだろうか。

林さんは、そんな疑問や不安に対し、得意分野のスペシャリストを目指すことが大切であると語る。

「すべてを追うのは難しいので、せめて自分の得意分野だけは持つようにしようと思っています。私にとってはJavaScriptがそれなんですけど、そこの知識は負けないようにしたいなと思ってます。まぁ、マネジメントがみんなスペシャリストな部分を持っておく必要はないと思うんですけど、メンバーからのリスペクトを得やすいかもしれないし、ほかのスペシャリストの気持ちも理解できるかな、と」

プレイヤーから離れてもモノづくりから離れるわけではない

エンジニアは自分でやりたいことがあって、学び続けることをいとわない人が多い。林さんもマネジメントの立場になったばかりのころは、自分でモノをつくる立場から離れることに違和感があった。

「マネジメントする立場になって一時期は、モノづくりしたいって思う時期が僕もありました。『コード、書いてないな』って寂しくなる感じで。ただ、自分で手を動かす時間をつくることは、やろうと思えばできます。あと、下地の設計や調整でそれぞれの案件に入っていくので、これまでよりも上流工程で設計を作ったりして、そこでも一応モノづくりはしているんです。考え方次第ですけど、個人でやるよりチームでやったほうが大きなモノを作れるので、結果的に前よりもモノづくりを実感できている気がします。コーディングやプログラミングだけがモノづくりではないので」

CTOとしてのキャリア形成に、エンジニアの全知識は必要ない

フロントエンドの人材として成長し、そこからCTOとなった林さんのようなキャリアを持った場合、バックエンドの知識はCTOとして補う必要があるのだろうか。

「CTOにエンジニアの全知識が必要なのかっていうと、あるにこしたことはないですが、必ずいるわけでもないと思っています。たまたま僕はバックエンドでも少しキャリアを踏めましたけど、それでもわからない部分に対して全部に精通するのって、これだけ情報が増えると無理なんですよね。知らない分野ってどうしてもあるから。

我々はメンバーとそこを話し合って、足りない部分を補い合っていくのが大事だと思っています。たとえばIoTにすごく詳しいメンバーがいれば、自分にその深い知識はいらないと思うし。個性を大事にしているぶん、どんどん自分の知らない領域が広がっていくので、それを共有したり、一緒に組んでやっていくという距離感が大事だと思っています」

“最高技術責任者”という言葉の重みから、技術の全知識を習得する必要があるのでは…と気負ってしまいがちだが、そういうわけではない。足りない部分は補い合い、一緒に組んでやっていく。エンジニア各人の得意分野を尊重する林さんの、根幹となる考えがここでも伺える。

CTOの仕事は「下地作り」と「調整」

エンジニアのキャリアとして、CTOを一つのゴールラインに考える人も少なくない。

CTOの仕事と役割について、林さんはこう語る。

「CTOとして行っている仕事は、大きく分けると、2つしかありません。下地を作る仕事と、調整する仕事です。下地を作る仕事は、エンジニアやディレクターが働く場所の環境整備や、設計のベースとなる仕組みを作っています。調整する仕事は、クライアントとの打ち合わせの調整、技術選定の調整、予算調整、あとはトラブルがあったときの調整などをしています」

「下地作り」と「調整」。シンプルだが、全てのサービスの基礎になる重要業務といえる。

「エンジニアだけでなくデザイナー、ディレクターなど、職群をまたいだ全ての人にとって最適なベースを構築する必要があります。だからある程度全体的な動きをわかっている人間が、きちんと下地を作っていく必要があると思っています」

メンバー間で足りないものを補い合い、得意分野を尊重し合う。職務間で垣根を作らない環境づくりに努めてきた林さんならではの職務観だ。

キャリア形成の仕方は人それぞれ。エンジニアとしての道も無数に広がっているが、林さんのキャリアをモデルケースにして、自分ならどう歩むかを考えてみてはいかがだろうか。

文:カツセマサヒコ

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