ゆとり第一世代が新ドラマ『ゆとりですがなにか』を見て思ったこと
筆者は1988年3月生まれの現在28歳です。
2002年に実施された教育改正により、中学校(公立)3年生の時に完全週5日制がスタート。授業のカリキュラムが削減され、相対評価から絶対評価に切り替わりました。サッカー日韓ワールドカップの熱狂と共に色濃く記憶しております。いわゆる、「ゆとりの第一世代」と呼ばれてきた年代です。
しかしながら、我々の世代が常に思ってきたことは、「自分たちは“ゆとり”ではない。“ゆとりの実験台”にされた世代である」ということ。教育改正の初年度は間違いなく学校側も困惑しており、我々への実践が下の世代に活かされたのは明らかです。また、高校から私立に進学した人たちはゆとり教育の影響をほとんど受けていないのです。
昭和最後の世代なので、ひとつ下の学年には平成生まれの人もいました。ほぼ歳も変わらぬ後輩に対し、「これだから平成生まれは……」とぼやいたこともあります。ゆとりとか平成とか関係なく、世代で区切って別物扱いしたくなるのはどの年代にも当てはまる現象のハズです。それ自体は悪いことだと思いません。
円周率は3.14159265358979……と暗記させられたし、台形の面積の求め方も習いました。なぜなら小学校で学習することだから。それでも“ゆとり世代”と十把ひとからげにされ、特別なカテゴリ分けをしてもらえなかった谷間の世代なのです。「野心がない」「競争意識がない」「協調性がない」というレッテルを貼られ、「これだからゆとりは……」と直接言われなくても思われてきたハズ(被害妄想込み)の世代なのです。
さて、前置きが長くなりましたが、そんな我々の世代(1987年4月2日から1988年4月1日生まれ)が感じてきたことを真芯でとらえて描き出してくれた新ドラマがスタートしました。日本テレビの『ゆとりですがなにか』(毎週日曜22時30分)です。
以下、4月17日放送の第1話のネタバレを含みます。
まず驚いたのは、主人公である岡田将生さん、松坂桃李さんが発するセリフの一つひとつが「あるある」過ぎたこと(柳楽優弥さんは今のところ「おっぱい」しか言ってない)。
ゆとり世代の後輩の言動が理解できないけど、「自分もゆとり世代だと言われると話がややこしい」のです。「土日は塾に通って」いたし、「塾では成績の順位が貼りだされて」いました。「お前らは文科省が生んだ欠陥商品だ」なんて言われても、そんなの知りませんよ。いざ大学に入ればリーマンショックの影響で就職氷河期に突入。
「ゆとり感じたこと一度もねーわ!!!」
きっと同世代の英雄がストーリーを手掛けているのだろうと思いきや、実は脚本を務めているのは宮藤官九郎さん。映画だとちょっとアレな時もあるのですが、コミカルなドラマを作らせたらさすがと言わざるを得ません。なにより、この世代のサラリーマンの気持ちを理解してくれていることに驚きです。
第1話のクライマックス。主人公が後輩(ゆとり世代)のミスを先輩らしく叱りつけ、アドバイスし、同僚としての関係を築き上げた場面。後輩が「先輩、ありがとうございました。初めてちゃんと叱ってもらえた気がします」と、素直に頭を下げます。
いやいや、そんなこと思わないよ。言葉だけだよ。クドカンさん、ここだけはちょっと分かってないなぁ……。と思ったのも束の間、その後輩くん、会社を辞めちゃうんですよね。ゆとり第一世代と、さらにその下の世代との関係の描き方が非常にリアルで的確だと感心してしまいました(『LINE』で退職届を一斉送信はデフォルメし過ぎだと思うけど)。
このドラマに登場する主人公以外の人たち、つまり、ゆとり第一世代を後輩に持つ人、あるいは先輩に持つ人たちにも、自分たちが抱えている「あるある」があると思います。我々ゆとり第一世代に対しては様々な文句もあることでしょう。そういうダメな部分もちゃんと描いてるのがこのドラマの気持ち良いところです。いろんな年代を交えてこのドラマへの意見を交わすことで、知らず知らずのうちに抱えていたレッテルや誤解を解消するキッカケになるかもしれませんね。
日本テレビ『ゆとりですがなにか』公式サイト:
http://www.ntv.co.jp/yutori/index.html
※画像は日本テレビ公式サイトより引用
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。