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「アートって分からない」という人のために アートの世界の入り口に誘う本

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正直、アートはよく分からない。感性を磨こうとして美術館やライブハウスに足を運んだりすることもあるが、やはりよく分からない。それでも、前衛芸術には心が魅かれるし、ノイズがただ流れている音楽も好きだ。でもよく分からない。良さを説明しなさいと言われても、言葉に落とすことはとてもできない。この記事の筆者はアートに対して「素人」であると自覚している。

■人について知ることでアートを知る

もともと言葉に落とせるようなものでもないのかもしれない。しかし、自分の感動や良さを伝えるためにはそれを自分なりに理解して、言葉に落とさないといけない。どうすればいいのだろうか。

ニューヨークを拠点に現代アートや写真のキュレーション、写真集の編集などを行い、現在はFacebookでアートにまつわるエッセイを発信している河内タカさんは、著書『アートの入り口 美しいもの、世界の歩き方 アメリカ編』(太田出版刊)の冒頭で次にようにつづる。

「あるアーティストを知れば、さらに別の作家を知ることにつながるかもしれない。」(p6より引用)

だから、この『アートの入り口』では、「人」が中心となったエッセイが展開される。その人物を知り、そこから別の人物につないでいくことで、20世紀のアメリカのアートの輪郭が見えてくるのである。確かにこれならば、アートがいまいちわからない人でも理解を深められるのではないか。

ちなみに、出てくる人物やキーワードも様々。第1章「ニューヨーク、ニューヨーク」だけでも以下のような感じで、「これは知ってるし、好き!」という言葉が見つかるはずだ。

アンディー・ウォーホル、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、パティ・スミス、ポラロイド、ロバート・メイプルソープ、ロバート・フランク、アメリカン・ニューシネマ、タクシードライバー、デニス・ホッパー、カウンター・カルチャー…

■無名だが鋭い感性を持った写真家はたくさんいる

有名なものだけが良いものというわけではない。才能はどこに眠っているかわからないものだ。

第5章「パーソナルな視点を持った写真家たち」にはさまざまな写真家たちが河内さんによって紹介されている。その中でも、印象的な一節が最後の「ある女性写真家の物語」だった。

生前は無名の写真家。その写真が死後偶然発見され、センセーションを巻き起こした。河内さんはその一人として、ヴィヴィアン・マイヤーの名を挙げる。

===(以下、360ページより引用)
写真に関して誰からも学んだことがなかったにもかかわらず、ニューヨークやシカゴのストリートで撮られたリアルでライブ感のあるイメージが、的確なフレーミングで、しかもそれを美化されずに切り取るといった鋭い感性で撮られていることは本当に驚くべきことです。
===

こう絶賛した上で、次のようにエッセイを締めくくるのだ。

===(以下、363ページより引用)
「この世の中にはいったいまだどれくらい、彼女のように発見されずにいるとんでもないアマチュア。フォトグラファーがいるのだろうか」
===

気持ちの良い文体で書かれた『アートの入り口』は、アートの世界をぐっと身近に引きつけてくれる一冊である。

(新刊JP編集部)

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