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ドラマ『それでも、生きてゆく』 ヒロイン満島ひかりが放つ根源的な生命力

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少年による幼女殺人事件の加害者家族と被害者家族の関係を描いた、フジテレビのドラマ『それでも、生きてゆく』。番組内で使われた架空の雑誌に問題のある記述があったことで話題になったが、内容は実に重苦しいものだった。

殺された娘を思い、復讐を誓いながらも病に倒れる父。父亡き後、その思いを継ぐ兄。事件後彼らと別れ、加害者家族に嫌がらせを続ける母。一方、世間からの激しいそしりを受けながら身をひそめるように暮らす加害者家族。
キャストの誰に感情移入しても気が滅入る、救いのない話。それでも、このドラマを見続けることができたのは、加害者の妹、双葉を演じた満島ひかりさんがいたからだ。

双葉は、犯人の妹であることが知られると、恋人にはふられ、学校でいじめに遭い、仕事も辞めさせられる。それでも幼い頃に感じた兄への思慕は変わることはなく、兄に手紙を書く。「今が幸せで、毎日が充実している。何も心配しなくてよいので、いつでも帰ってきて欲しい。」

心配をかけまいとして、もう一度会いたいと願って、嘘を書き綴った手紙。それは、同時に彼女自身の夢見た生活でもあったのだろう。その手紙の最後はこう結ばれている、「困った時は朝日を見るといいですよ。双葉はいつもそうしています。朝日を見ると、生きる希望が湧いてくるのです。」

事件前、彼女は兄に殺されそうになったことがあった。「あの時私が殺されていれば、事件は起きなかったかもしれない」そう言って自分を責め続ける。物語の後半、彼女の本当の母親が、自分の目の前で自殺していたこと、出所した兄は更生しておらず、また犯罪を犯してしまったことなど、更に彼女を苦しめる事実が明らかになる。
どう考えても、ほんのわずかの希望すら見いだせないような境遇に置かれながら、それでも満島さんが演じる双葉からはしっかりと生きる力が感じられる。

おびえながら、戸惑いながら、それでも彼女は生きてゆく。彼女の姿が唯一の光となって、私もこのドラマと向き合うことができた。
これはもう、演技がどうこうということではない。演じている満島ひかりさん自身から放たれる、本能的な命の輝きだった。

思えば、出世作となった映画『愛のむきだし』で、あやしげな宗教組織に拉致されていた時も、『川の底からこんにちは』で、つぶれかけた工場の経営を背負わされた時も、ドラマ『モテキ』で、オタク少女が、普通の恋愛ができないことに悩んでいた時も、いつだってそこには、どんな境遇にもつぶされない強い力が潜んでいた。
逆境であればあるだけ、逃げ場がないようであればその苦しさの分だけ、絶望を感じた瞳の奥に、苦しみから絶叫した叫びの中に、かすかに輝く生命力が見て取れた。

そんな彼女の根源的な生命力はどこから来るのだろう。
それは、彼女の生まれ育った沖縄という土地にも関係しているように思う。アクターズスクールの先輩でもある安室奈美恵さんや、歌手のCoccoさんなど、沖縄出身の人からは同じような強さを感じることがある。“毎日を楽しく暮らそう”とする沖縄の県民性。生きることや死ぬことに理由なんてない。ただ、今現在宿っている命がそこにあるだけ。そんな、悟りにも似た考えが、彼女の中にも刻み込まれているのではないだろうか。そして、その気持ちに役を重ねることによって、彼女は“表現者”として並はずれた能力を発揮するのだ。

今年は、NHKの朝ドラ「おひさま」で主人公の親友役を演じ、また、現在公開中の映画『ラビット・ホラー3D』ではホラー作品初主演を務めるなど、活躍の場を広げている。彼女の奥底から湧き上がる、朝日のような輝きが、これからどんな役を通して見ることができるのか、楽しみだ。

※画像は満島ひかりオフィシャルブログ「きょうのひかり」より

※この記事はガジェ通ウェブライターの「プレヤード」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
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