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DMA’s『Hills End』 メロディの美しさに恋焦がれ、メロディが救うものに渇望する新世代による快心のデビュー作(Album Review)

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 ポスト・オアシス最右翼と騒がれ、昨年11月には初の来日公演を果たしたオーストラリア/シドニー出身のDMA’s(来日タイミングで日本独自の編集盤EP『DMA’s』もリリースされている)。いよいよのデビュー・アルバム『Hills End』が、この3月初頭に登場。いかにも、90年代マンチェスターの息遣いをこの2010年代に蘇らせるようなサウンドと(初期オアシスを彷彿とさせる、スタイリッシュとは真逆のファッション・センスも話題)、ただの真似事には終わらないスピリットの継承ぶりがおもしろい作品だ。

 説明が前後したが、DMA’s本体はトミー(Vo)、ジョニー(G)、マット(G)の3人組であり、ライヴではサポート・メンバーを含めた6人編成となる。マットが奏でるジョン・スクワイアばりのめくるめくフラワー・サイケ・ギターと、ふんぞり返るようなイナタいバンド・グルーヴも大切な持ち味なのだが、ジョニーのアコギをバッキングにした3人だけのライヴ演奏が繰り広げられる楽曲もある。恐らく、この歌心にスポットライトを当てた素朴なパフォーマンスこそが、DMA’sの創作風景に最も近いものであり、芯の強いグッド・メロディを生み出す土壌となっている。

 アルバムからの先行シングルとなった「Lay Down」は、疾走感溢れるロック・ナンバーでありながらも、その歌からは途方にくれるような徒労感と哀愁が立ち上ってくる。EPにも収録されていた「Delete」や「So We Know」といった楽曲は、前述したDMA’sの核に触れる、アコースティック・タッチの美曲に仕上げられている。ドリーミーなギター・サイケデリアとメロディのしなやかさが合致した「Step Up The Morphine」辺りは、核の部分を丁寧にバンド・アレンジに発展させている点で素晴らしい。一方で「Too Soon」は、レイヤー状の美しいギター・サウンドと強烈なマンチェ・グルーヴに支えられた、アルバム中随一のアタック感を誇るナンバーだ。

 ストレートに受け止めると、恋の失意にしょぼくれている歌が多く、それがメロディの情感と手を取り合っている。ただ、例えばオアシスの「Live Forever」や「Wonderwall」が音楽の普遍性について歌われた楽曲だったように、DMA’sもメロディの美しさに恋焦がれ、メロディが救うものに渇望している楽曲を奏でていると解釈すると、かなりグッとさせられる。ただの懐古趣味には終わらない、今の時代だからこそ手作りで届けるべきグッド・メロディに唸らされる、そんな快作である。(Text:小池宏和)

◎リリース情報
『Hills End』
2016/02/26 RELEASE
輸入盤

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