京大・小出助教、放射能汚染食品は「世代で分担して食べるしかない」
東日本大震災以前から、原発の危険性について一貫して強い主張を行っている小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教)が、2011年9月13日のニコ生ニュース特番「小出裕章氏と語る、続・原発『安全神話』溶融」に出演。福島第1原発事故以降、東北地方をはじめ、全国から世界規模へと広がってしまった放射能汚染について、独自の理論を語るとともに、視聴者との討論や意見交換を行った。
現在も広がり続けている、放射性物質による農作物、海産物などの食品汚染について、小出氏は独自の「汚染食品R指定(10禁~60禁)」論を展開。原子力を選択した責任のない、放射線への感受性が強い子供には低放射線量の食品を、原子力政策を許してきた大人、放射線感受性が弱い高齢者には高放射線量の食品を、「分担して」食べさせるべきだと主張している。
これに異を唱えた、今回の討論相手である森啓太郎氏(子どもを放射能から守る全国ネットワーク)から、
「(汚染食品R指定は)理論的には正しいと仮定しても、たとえリスクが低いとしても、自分の親やお年寄りに汚染食品を食べさせられるのか?」
と問われると、小出氏は「(国が決めた基準以下であろうと、食品は)全部、汚れている。世界中が汚れている。程度の差がどれだけかでしかない。否応なく汚染したものを食べるしかない」とした上で、
「本心を言えば誰にも(汚染食品を)食べさせたくはない。でも、すでに汚れている。汚れている食料を捨てるのか、捨てないのか。私は(一次産業を守るために)捨ててはいけないと言っている。捨てないとすれば誰が食べるべきなのか、その選択しかもうない。年寄りから選ぶしかない」
と、改めて自身の考えを述べ、世代による分担を主張した。
会場の聴衆やニコニコ生放送視聴者からの質疑応答もあり、小出氏は終始、今回の原発事故の責任は東京電力と政府、ひいては「原子力行政にダマされた」人々にも責任があると述べた。また汚染食品の全量検査について質問が及ぶと、「全量検査は不可能だと思うが、東京電力の責任でやらせるべき」と答え、事故の第一義的な責任を持つ東京電力に対して、強い憤りをあらわにする場面もあった。
◇関連サイト
・[ニコニコ生放送]「小出氏と森氏の討論」部分から視聴 – 会員登録が必要
http://live.nicovideo.jp/watch/lv62917682?po=news&ref=news#1:02:16
(内田智隆)
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