ももクロ 3年ぶり新作3rdアルバムは日本のアイドルが辿り着ける極点のひとつ(Album Review)

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ももクロ 3年ぶり新作3rdアルバムは日本のアイドルが辿り着ける極点のひとつ(Album Review)

 ももいろクローバーZにとって約3年ぶりのオリジナルアルバム。2枚同時リリースの片翼にして“3rd ALBUM”と位置づけられているが、本作は日本のアイドルが辿り着ける極点のひとつと言っても過言ではないだろう。

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 “起きて見る夢”をコンセプトに、そのほとんどを生音でアレンジしてエモーション、エネルギーを凝縮させた14曲を収録。

 まずはゴールデンボンバーの編曲でも知られるtatsuoが、プロローグから連なってショッキングなピアノロックを響かせる「WE ARE BORN」のスケール感に驚かされる。両作通じて唯一、作詞に“ももいろクローバーZ”がクレジットされている「勝手に君に」は、ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手の登場曲としても有名だ。なんだかんだ結局この曲が一番グッとくるような気もして、5人の成長にしみじみしたり。

 自身もアイドルをやっている清 竜人の豊潤な才気があふれた「デモンストレーション」は、両作通じて1、2を争う名曲。アイドルフェス等でドルヲタを次々にKOしてきた彼のバリバリの現場感が頼もしく、あの「未来へススメ!」との対比でニヤリとさせられる歌詞も素晴らしい。

 中島みゆきが手がけた「泣いてもいいんだよ」の神々しいほど圧倒的な歌詞とメロディは、これからのクリエイターからすれば最高の参考書になるだろう。「バイバイでさようなら」で今最もクールでイケてるバンド GEEKSのエンドウ.が会心のホームラン級の天才手腕を発揮している点も、ロックファンには嬉しいところ。そしてやくしまるえつこのイノセンスが胸を打つ「HAPPY Re:BIRTHDAY」の頃には、思わず涙腺もゆるゆるだ。

 他にも、自身らのアレコレすら題材にしちゃう前山田健一の秀逸さや、さだまさしがさだまさしだった名バラードなどなど……、挙げ出したらキリがない高純度の熱量と怒涛のラッシュっぷりはまさにももクロ。あの頃と変わらないチャレンジ精神を胸に、全速力で駆け抜けていく5人の姿が脳裏に浮かんで、古いファンには感動的でもあるだろう。

 でもでもやっぱり2013年の衝撃作「GOUNN」は入れて欲しかったな……なんて思いも残しつつ、飽くなき挑戦心で脅威のサウンドプロダクションを実現させた本作は音楽のある極点であり、ももクロが開拓した前人未到の新境地だ。

Text:杉岡祐樹

◎3rdアルバム『AMARANTHUS(ヨミ:アマランサス)』
2016/2/17 RELEASE
[初回限定盤(CD+Blu-ray)]
KICS-93308 3800円+税
[通常盤(CD Only)]
KICS-3308 2800円+税

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