わが家を「早く」売る! ホームステージングの効果

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わが家を「早く」売る! ホームステージングの効果

私自身が住まいを探したときも、知人が探すときに付き添ったときも、「この家、残念だな」と思うことがよくあった。床にモノがあふれていて部屋が狭く見える。水まわりが掃除されていなくて生活感がにじみ出ている。あるいは家具のない部屋でガランとしていて寒々しい。等々、建物としてのポテンシャルは高いのに、その魅力が活かされていないのだ。最近、耳にすることが多くなった「ホームステージング」は、そんな空間をバリューアップするサービスらしい。その効用と実例を取材してみた。
(1)空室にして売る「空室ホームステージング」

「ホームステージング」とは、売りたい物件をモデルルームのように飾り付け、よりよく見せる方法のこと。まず取材に伺ったのは、空室をリノベーションした後に「ホームステージング」をしてオープンハウスにする例だ。100m2を超えるマンションは広くてきれいだが、何も置かれていない状態では生活シーンが想像できない。そこにレンタルの家具が運ばれて、小物等がセッティングされていくと、暮らしたときのイメージが想い浮かぶイキイキとした空間へと変わっていく。時間にしてわずか30分ほどだ。

「例えばテーブルがあることによって、室内の空間の広さが具体的になります。4人掛けだけではなく6人掛けも置ける広さだと実感していただける。テレビを置く場所、置けるテレビの大きさなどもイメージしやすくなります」と話すのはホームステージングを請け負ったLIXIL住生活ソリューションの岡 秀昭さん。確かに家具が置かれると、部屋の広さがより明確に感じられるようになった。

【画像1】ホームステージング前のリビング(写真撮影:株式会社サマンサネット)

【画像1】ホームステージング前のリビング(写真撮影:株式会社サマンサネット)

【画像2】ホームステージング後のリビング(写真撮影:株式会社サマンサネット)

【画像2】ホームステージング後のリビング(写真撮影:株式会社サマンサネット)

今回の依頼主は個人ではなく、ジューテックホームという北欧スタイルを得意とする建築・リフォームを施工する会社だ。
「事前に物件の広さやプラン、リフォーム工事で使用したフローリングやドア、壁紙などの特徴を伝えました。そのうえで立地の状況から購入に結び付きそうなご家族を想定、最後に私たちからの希望のテイストを加え、何度も何度も打合せをしながら、詳細を決めてもらいました」と満足そうに語るマネージャーの川瀬さん。週末のオープンハウスも大好評だったようだ。(2)居住しながら上手に売る「在宅ホームステージング」

一般の人が空室にして「ホームステージング」するのは、タイミングがなかなか難しい。実際は住みながら売却することが多いはずだ。そんな場合も掃除や片付け、ちょっとしたデコレーションでよりよく見せる方法はある。今回ホームステージングを担当したサマンサネットでは、そんな業務も実施しているようだ。

「わが家を客観的に見ることは、なかなか難しい場合が多いですね。ご本人は片付けたつもりでも、購入する側にとっては雑然として生活感がにじみ出ている場合があります。特に水まわりの汚れは気になるもの。クリーニングをプロに頼むなどして印象をよくすることは大切です」と同社の取締役であり日本ホームステージング協会の理事でもある大西真史さん。必要に応じて不要な家具や荷物を預かったりもしてくれるようだ。

「住んでいると気が付かない部分や匂いなど、私たち”ホームステージャー”が売却成功のためのアドバイスを行います。また
不動産営業の方も私たちをうまく活用してくれていますよ。担当する物件の持ち主に直接、『部屋を片付けてください』というより、『プロのアドバイスを受けましょう』という方が上手くいくようですし、お客様にも納得してもらえるようです。経験豊富で実績のある営業の方が多いですね」とのこと。

20年ほど前は、ホームステージングのサービスはなかったが、私自身が自宅を売却したときも、水まわりの清掃と壁紙の部分張り替えはプロに頼んだ。部屋の掃除は購入希望者の内覧前日に自分自身の手で一生懸命頑張った。10万円程度の費用はかかったが、ほぼ希望価格で売却ができた経験がある。実際に頼むかどうかは別としてもプロのアドバイスを受けることは貴重だ。

【画像3】ホームステージング前の室内(写真撮影:株式会社サマンサネット)

【画像3】ホームステージング前の室内(写真撮影:株式会社サマンサネット)

【画像4】ホームステージング後の室内(写真撮影:株式会社サマンサネット)

【画像4】ホームステージング後の室内(写真撮影:株式会社サマンサネット)ホームステージングのメリットは「高く」というより「早く」売れること

「ホームステージング」は単なるインテリアコーディネートではなく、物件自体の特性やセールスポイントを理解し、エリア、価格帯、競合物件などの市場も分析した上で、「買主の目線」に立って、「買いたい物件」を創り上げるサービスだ。結果、買手の「こんな家に住みたい!」というプラスの印象が大きくなり、購買意欲は高まる。

「日本の不動産売買は、立地や築年数から価格の目安がほぼ決まっています。価格が高く売れるというよりは、価格交渉されずに相場の価格でスピーディに売れるというのが、ホームステージングをするメリットだと思います」と大西さん。半年ほど売れなかった物件がホームステージングをして2週間ほどで成約した例もあるそうだ。特に買い替えの場合などは、自宅がなかなか売れないと、新居を探すことも難しい。悩んでいる人がいたら選択肢として考えてみてはいかがだろう。

現在、日本でも中古市場の活性化は大きなテーマとなっている。今後、日本の市場でも中古住宅が増加するはずだ。そうなった場合、競合物件との差別化は大切だ。中古住宅の流通量が多いアメリカなどでは一般的なサービスになっているホームステージングを、上手に活用することも視野に入れておきたい。●取材協力
・日本ホームステージング協会
・LIXIL住生活ソリューション
・サマンサネット
元記事URL http://suumo.jp/journal/2016/02/09/105671/

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