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オタクが職場で趣味をもっと深く語るには?【オタク社会人ノススメ】

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こんにちは、中年オタク社会人の富士野一徳です。

寒い日が続きますが、今回は職場で自分の好きなアニメや漫画のことを語ったりお勧めしたりする時、どういう風に話せばいいのか?ということを考えてみます。


職場でおススメを語るときの「三つのポイント」

「アオいいよね」

「いい……」

という『こち亀』のセリフって今の若い子にも有名なんでしょうか。旧世代オタクのめんどくさい本質を的確に切り取った名作なので、「がんばれ麗子の巻」は皆読むべきだと思います。

さておき、好きなものの良いところを人にうまく伝えるのは、別にオタジャンルに限らずとも難しいものですが、偏見の目を向けられがちなアニメや漫画ではことさら厄介です。

「○○君はアニメ好きって聞いたけど、どんなの見てるの?」

部署の飲み会で何気なく聞いてきた上司に、

「アオいいですよね……」

なんてやった日には、

「やっぱりアニメ見てる奴は会話が成り立たないんだな」

と、偏見の上塗りをする羽目になること必至。何度も上塗りしてきた私が言うのだから間違いない。

ということで、「オタ話をオタ以外の人に振る時どうすればいいか」について。前回、「お勧め」を語る際に注意したいポイントとして下記の三つを挙げました。

「個人的に好きなところ」と「客観的に評価できるところ」をきっちり分ける。 固有名詞や専門用語は極力使わない。 全部を説明しようとしない。一番説明したい(面白い)ポイントを中心に、ほかは手短に。

今回はこれをもう少し掘り下げてみることにします。

「個人的に好きなところ」と「客観的に評価できるところ」を分ける

「『ファフナー』の良さが分からない奴とかどうしようもないと思うんです」

以前、友人の一人が実際に言った言葉です。

「一度観てくれればわかります。リーガーの熱さに魂が共鳴するならよし、しないなら話すことはないです」

こちらはかつて私が実際に言った言葉です。

どちらも結果は聞き手のドン引きに終わりました。当然ですね。

『蒼穹のファフナー』(2004)も『疾風!アイアンリーガー』(1993)も傑作であることは保証しますが、だからといってこんなことを言われて観る気になるかといったら別の話。いかにその作品が好きでも、その気持ちを生のまま他人にぶつけて共感してもらえるとは限りません。

当たり前のことですが、「好き」と「良い」は違います。

「誰がどう評価しようと、俺だけはこれが大好き」

というような作品があるのは悪いことではないというか、そんな作品の一つや二つ持っていないようではオタクじゃない、とすら言えましょう。しかし、人に勧めるのであれば、そういう魂の作品はそっと心の宝箱にしまっといて、勧められるだけの「客観的な長所」を持った作品を選ぶべきです。この場合の「客観的」とはつまり、「人に説明できる」と言い換えてもよろしい。

例えば「ストーリーが面白い」

お勧めの根拠としては基本かつ王道だが、「面白さ」の評価にはどうしても主観が入るので注意が必要。一つの基準としては、「熱い」「泣ける」といった、感情に関わるワードを使わないで、どこまで説明できるか?ということを考えましょう。

例:「ラフプレイが横行しすぎてほとんど暴力ショーのようになっている異常なスポーツ界で、ただ一チームだけフェアプレイの精神を貫き、そのせいで常にボロボロで負け続き、万年最下位の弱小サッカーチーム。そこへある日謎のエースが現れる!という所から始まる熱血スポ根物語です」(『疾風!アイアンリーガー』)

例えば「話題性がある」

畑違いの人に関心を持ってもらうために話題を振るなら、パワーはこちらの方が強いと言えます。中身にあまり触れる必要がない、というのも地味な長所で、お話や設定が込み入っている作品なども、詳細をすっとばしてお勧めできます。ただし「ストーリーの面白さ」が年月が経っても色あせにくいのと比べ、話題性はすぐに風化するので注意が必要です。

例:「冲方丁(うぶかた・とう)という作家がいて、2012年に本屋大賞をとった『天地明察』とかを書いたんですが、この人じつはアニメの脚本も書いていて、その方面でのデビュー作。独特の、どこまでもストイックで凄惨な雰囲気なんかはこの頃からあります」(『蒼穹のファフナー』)

もっとも、完全に主観的でもお勧めの題材にできる場合もあります。ちょっと前から隆盛してきている「日常系アニメ」というジャンルは、「可愛い」以外に特長なんて何もないようなものですが、それこそがこのジャンルの売りなのだから、「それだけのアニメです」とそのまんま伝えればいい。『吉田類の酒場放浪記』あたりが好きな人には、どうかするとヒットするかもしれません。

固有名詞や専門用語は極力使わない

「コクーンのファルシにルシにされて聖府にパージされたライトニング達がグラン=パルスを冒険する話」

固有名詞てんこ盛り系の極北として名高いFF13のあらすじです。ハイ、わけがわかりませんね。

固有名詞は作品のカラーを打ち出すための重要なアイテムですが、知らない人にはとっつきにくさを与えるものであることも言うまでもない。ことに最近は、無理にでも他の作品と差別化するため、「いやそれ普通に○○でいいでしょ!?」っていうものにまで固有の名前がついていたりします。

こういう言葉は業界用語・専門用語と一緒で、ジャンル外の人にはできるだけ使わずに説明するのが鉄則。

「隔離された世界にあって、外の世界の神様と接触したせいで、汚染された扱いになって追放された主人公達が外の世界を冒険する話」

これなら、多少わかりやすくないですか。

「つまり、普通の言葉で簡単にいうとどういうことなんだ?」と考えることは、作品の世界観やストーリーを頭の中で整理する助けになったりもします。面白さを客観的に説明する際の訓練にもなりますので、別に誰かに話すのでなくても、脳内で好きなアニメのストーリーを固有名詞抜きの説明文にまとめてみるのはお勧めです。

一番説明したい(面白い)ポイントを中心に、ほかは手短に

「神化って呼ばれている架空の時代が舞台で、昭和っぽいレトロな雰囲気で、でも色使いとかがちょっとサイケデリックな感じで面白いんです。その世界には超能力を持った、いわゆる超人がいっぱいいて、ロボットやら超能力者やら改造人間やら種類も多くて、アメコミみたいな感じなんですが実は当時流行った特撮やアニメのヒーローをモチーフにしているんです。政府が彼らを守るために超過人口審議研究所、略して超人課という組織を作っていて、この超人課のメンバーの人吉君というのが主人公なんですが、実は時間軸が二つあって、数年後の未来ではこの爾朗は超人課を脱けていて……」

長えよ!!!!

オタクというのは概して理屈っぽく、何かを説明するとなったら一から十まですべてを説明して、理解してもらうのでなければ説明したとは言えない、という風に考えがちです。

しかし、何かに関心をもってもらおうという時、最初にやるべきことは全体を把握させることではなく、一番魅力的なポイントを印象づけることです。

ちなみに上記の説明はアニメ『コンクリート・レボルティオ』(2015)ですが、こんな説明ならどうでしょう。

「昭和中期をモデルにした架空の世界で、実際の昭和史にあった事件を色々なスーパーヒーローの活躍と重ね合わせた、一種の社会派パロディ。例えば『黒い霧事件』は、地底人の侵略で実際に国会議事堂が黒い霧に覆われてしまった事件として描かれている」

このアニメを見ている人ならわかりますが、上で書いたのはこの作品の「背景」だけです。主人公やヒロイン、時間軸を前後する複雑なストーリー展開のことなどには一切触れていない。でも、それでいいのです。この作品で一番個性的で、一番魅力的な部分はここなのだから。そこに食いついてもらえたならば、第二段階としてあらためて登場人物やストーリーの話を始めればいい。

なお、「何がその作品の一番の魅力か」という解釈は語り手によって違うのはもちろん、聞き手によっても違います。これは高等技術に属することですが、相手の性格や傾向を知っているのならば、敢えて本当のイチオシポイントを外してでも、別の要素を勧めた方がいい場合もあります。「ヒロインの声が上坂すみれだよ」と言うだけで十分な人だっているでしょう(まあそんな人は確実にオタクなので、今回想定している聞き手には含まれませんが)。

オタトークのコツとビジネストークのコツは、それほど違わないのです

これも前回書いたことですが、上記の三項目はビジネスシーンでの心得と共通する所があります。すなわち、

自分の思い入れでなく、客観的に評価できる部分を語る。 専門家にしか通じない用語は極力使わず、普通の言葉でかみ砕いて。 一度に全部を説明しようとせず、重要な部分・知ってほしい部分を集中して。

これらは、わかりやすい企画説明に必須の条項です(というか、別にビジネスに限らず人にものを説明する時全般に大事なことなのですが)。

つまり、オタ話力を磨けば仕事スキルの向上につながるし、逆に仕事上やむを得ず身につけたスキルであっても、オタ話に活かすこともできる、のですね。

私自身も含め、オタクというのは概して「一般社会で大事なこと」と「オタク世界で大事なこと」は相容れないものだと考えがちですが、実はそんなことはない。

我々は、自分で思っているより普通のビジネスパーソンなのです。

富士野一徳

中小企業勤務の40代会社員。

独身。

好きな完璧超人始祖はガンマン。

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