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ボランティアが被災者の自立を阻害する!?~震災5か月後のボランティアのあり方を問う

つぶやきかさこ

今回はかさこさんのブログ『つぶやきかさこ』からご寄稿いただきました。

ボランティアが被災者の自立を阻害する!?~震災5か月後のボランティアのあり方を問う

無償の善意(ボランティア)に支配されて、私たち(被災者)の出る幕がありません。
復興作業ならボランティアではなく、時給600円でもいいから地元の失業者を使ってほしい。
今、望んでいること。
それは、仕事がほしい。ただそれだけです。
自分で稼ぐことは、社会参加と自立への第一歩なんです。
このままでは東北は復興しても、人は復興できないかもしれない……。

震災で津波被害はまぬがれたが、震災のせいで仕事を失った仙台市在住の50歳過ぎの女性から、今日メールがきた。
そこにはボランティアに感謝しつつも、でも結果としてそれが被災者の自立支援を奪っているのではないかという、自身の困窮した立場からくる強烈なメッセージだった。

***以下メール引用***

私は3.11の震災で津波被害はまぬがれましたが、収入を失いました。
当時はただただぼう然と過ごしており、これからの身の振り方など考える余裕もありませんでした。
津波で悲惨な目にあった沿岸部の人たちを思うと、いてもたってもいられなくなり自腹をきっても物資や労力を提供していました。
しかしそれも限界がありました。
収入がないまま5か月が過ぎてしまいましたから。

そのうち被災者にもなにかしら“仕事”としての復興支援がまわってくるだろうと期待していました。
でも、相変わらず、無償ボランティアの募集しかありません。
被災者を積極的に雇用する企業が出始めましたが、男性限定のがれき撤去や仮設建設要員です。
おばさんと年寄りは必要とされていません。

復興に一番参加したいのは地元の人間です。
せめてガソリン代と昼食代くらい確保できないものかと企業の助成金申請を試みましたが、すべて却下されました。
助成金対象となるのは、実績のある有名な団体のようで、個人レベルは対象外なのでしょう。

5か月もたつのに、いまだに他県から“ボランティアツアー”なるもので無償奉仕の若者がなだれこんできます。
ツアー参加費は旅行会社に入り、善意の若者は自腹で何かを学んで帰り、地元の失業者には仕事がまわらない。

うまく言えないのですが、「なにかがおかしい」という思いが日に日に増してくるのです。

これは、少なくとも私のまわりでは4月頃からささやかれていました。
「おれたちを使ってくれたらいちばんいいのに!」と。
でも、善意のかたまりのような人たちが無償で汗を流して助けてくれるのを目の前になにも言えません。

この人たちの、心底純粋な人助けには感謝しています。
しかし有名なボラ組織の上層部に私たちの本音は見えていないでしょう。

「東北人の底力」「着実に復興に向かって」「ひとつになろう」
などと美しい言葉に私たちは酔えないのです。

仕事がほしい、それだけです。
田畑のゴミ拾いならおばさんや年寄りにもできます。
時給600円でもやるでしょう。その日の食費だけでもいいのです。
自分で稼ぐことは、社会参加と自立への第一歩なんです。

そんなことをずっと思いながら自宅にこもってネットサーフィンすることしかできない毎日。
そしてかさこさんのブログにたどり着いた次第です。
震災の記事はすべてにうなずきながら拝見いたしました。
いろいろとありがとうございます。

マンパワーが足りない、もっとボランティアを!
とまだ騒いでるんですが、人手が足りないわけがありません。
こっちは失業者だらけなんですから。

ただ、無償の善意に支配されて、私たちの出る幕がないだけなんです。
それをなぜだれも気が付かないのでしょうか。

物質的なものと労力支援の次は、被災者の自立への援助なのではないでしょうか。
行政はあてになりません。
マスコミでは報道規制がかけられているようですが、震災後生き延びた人が行方不明になっていたり自死した方もたくさんいるようです。
希望の光が見えず絶望したからです。

5か月過ぎて、なんとか持ちこたえた人たちも、これから先の見通しがたたないままどうなっていくんでしょう。
私もそのひとりではありますが。

住むとこは無事だったけど、収入が途絶えた、義捐金(ぎえんきん)対象外、性別年齢制限で仕事が見つからない、という中途半端な立ち位置にいる人たちはものすごく多いはずです。

このままでは東北は復興しても、人は復興できないかもしれない。

被災地、被災者の心の闇の深さはあまりにも深刻だ。
津波被害にあったわけではないという“負い目”と、ボランティアという圧倒的“正義”=善意の前に、震災後、誰にも言えないモヤモヤした気持ちを抱えたまま、震災から5か月が過ぎ、仕事と収入は失ったままの心の叫び。

「作業があるなら被災者自身にやらせてほしい」という思いも、無償ボランティアの善意の前に消え失せる。
しかしわざわざ被災地のために、時間とお金と労力をかけて来てくれる、ボランティアの人たちを批判なんてできないという葛藤。
でも結果として一部のボランティアの存在が、被災者の自立支援の“障害”になっているという現実。

「同情するなら仕事をくれ」
今、被災地・被災者に最も必要なのは、金と仕事。
きれいごとで現実は乗り越えられない。
金さえあれば、仕事さえあれば、絶望的な被害状況でも少しは未来に希望が持てる。

と8月10日のブログ、「被災地温泉旅館の悲哀~被災地旅行はダイレクトな義援金」*1 で書いたが、まさにその想いがこのメールからひしひしと伝わってくる。

*1:「被災地温泉旅館の悲哀~被災地旅行はダイレクトな義援金」2011年08月10日『つぶやきかさこ』
http://kasakoblog.exblog.jp/15254106/

8月7日に福島いわき市久ノ浜へ行った際、津波被害エリアをわきあいあいと清掃するボランティアの人たちを見て、私はえも言われぬ違和感を覚えていた。

「原発から30km、津波被害が再発する堤防もないこの場所を、今、必死になって手作業で清掃することに意味があるの?」
「それはここの被災地に住む人が望んでいることなの?」
「無料施設に泊まって清掃するぐらいなら、せめて地元のホテルや旅館に泊まってあげる方が、よっぽど被災地・被災者支援になるんじゃないの?」と。

この違和感を強めたのは前日にある出来事があったからだ。
私は被災者の取材をするために、被災者が大挙して入居している市の借上住宅を訪れていた。
そこのロビーで立ち話をしていると、ボランティアが清掃活動をしている、被災した久ノ浜の人と出会った。

彼は海沿いで破壊された家に、「12年間ありがとう」と別れの言葉を書き込んでいた人だった。
この250世帯入るいわき市の借上集合住宅に、久ノ浜から逃げてきた人が半数ぐらいいる。

「どの部屋に誰がいるのかもわからない。もう久ノ浜には戻れないだろうし、ここでしばらく生活をしていくわけだから、久ノ浜の人たちとのコミュニティづくりを、新たにし直さなきゃと考え、全世帯のポストにアンケート用紙を配布しようと思っていたんです」

彼は250世帯分のアンケート用紙を持っていた。
ここでの慣れない新生活を互いに支えあうため、久ノ浜の人の部屋番号と名前と連絡先を書いた、名簿を作ろうとしていたのだ。

今、久ノ浜に必要なのは、また放射能被害や津波被害のある可能性がある場所の清掃活動なんかじゃなく、そこで復興支援の名のもと、花火を上げることじゃなく、いわき市内の中心部に移って、ここでの暮らしに慣れようとしている被災者の人たちの、コミュニティづくりを支援してあげることじゃないか。

私がここで取材していた被災者の方は、同じく津波被害がひどかった別の地区にいた方で、まさにここでの生活を円滑にするために、久ノ浜の人と同じように、どうやって住んでいる人から名前と連絡先を聞きだそうか、それに悩んでいたのだ。

今、被災者が何の手助けをしてほしいのか。
実はそれに気づいているボランティアの方もいた。
この取材中、久ノ浜の清掃ボランティアグループにもかかわらず、清掃活動から抜け出し、借上住宅に移った被災者の方に、「今、何に困っているか」を聞いているボランティアの女性が1人いた。

彼女だけはきっと気づいたのだろう。
被災者が戻る気のない場所を、手作業で清掃活動なんかしても意味がない。
そもそもそこにほとんど被災者がいないのだから、ボランティアをして支援をするなら、被災者がいる場所に行き、何が今、必要なのか、聞くべきではないかと。

震災直後の混乱した時期で、圧倒的に人手も物資も足りない時期なら、被災地外から大挙してボランティアが押し寄せ、何でもいいから無償で手伝うということは、実に素晴らしいことだし、被災地、被災者のためになると思う。

でももう震災から5か月が過ぎ、福島いわき市ではほとんど避難所は閉鎖され、すでに被災者は仮設や借上住宅に移っている。
津波被害のあった場所から自分の持ち物を持ち出す作業は、ほとんど終わっており、高台移転になるかもしれない、壊滅的な津波被害エリアを、今、せっせときれいにすることに、どれだけの意味があるのだろうか。

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