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【箱根駅伝】タスキをつなぐ必死さが教えてくれること

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普段出身大学に対して強い帰属意識を持っていなくても、時折自分の出身大学を意識させられる瞬間があります。たとえばテレビのクイズ番組で、●●大学出身と紹介されたタレントが、自分と同じ大学の出身だった場合、無意識に「頼むぞ!」と思ってしまうことがあるのではないでしょうか。

そんな大学を強く意識させられるイベントのひとつに、箱根駅伝があります。

箱根駅伝は、関東学連加盟大学のうち、前年大会でシード権を獲得した10校と、予選会を通過した10校、および関東学生連合を加えた合計21チームが出場する大会で、東京・読売新聞社前~箱根・芦ノ湖間を往路5区間(107.5Km)、復路5区間(109.6Km)の合計10区間(217.1Km)で競う、学生長距離界最大の駅伝競走です。

選手たちは、各区間を孤独に戦いながら、1本のタスキを次の走者へと繋げていきます。個人の戦いをつなぎ合わせた、チーム間の競争。そこにこそ、駅伝独特の魅力が集約されているのかもしれません。

そこで今回は、過去繰り広げられた箱根駅伝の名場面をいくつか振返ってみたいと思います。

山の神、ここに降臨(2007年)

2004年に順天堂大学に入学した今井選手は、1年生の時から箱根駅伝に出場します。1年生の時に任された2区での上り坂の走りで評価を高め、以降2年生~4年生の3年間は、小田原から芦ノ湖駐車場まで、高低差約860メートルの山登りを行う「5区(全長23.2km」を任されることに。

2005年には当時の5区(2006年以降コースが延長)史上最多となる11人抜きを記録。2006年には天候の悪いコンディションながら、前を走る5人をごぼう抜きにして、順天堂大学に17年ぶりの往路優勝に導くと、2007年も驚異的なペースで4人抜きして首位に躍り出て2年連続往路優勝、6年ぶりの総合優勝に導きました。

驚異的なスピードで前人未到の記録を打ち立てた今井選手を指して、テレビ中継のアナウンサーが「山の神、ここに降臨!」と叫んだことで、「山の神」という名で広く知られるようになりました。

途絶えてしまったタスキ(2008年)

2008年の箱根駅伝。順天堂大学3年生だった小野選手は5区に出走しました。前年今井選手が出走し、山の神の名を授かった区間です。

そんな山の神が走った区間を託された小野選手も、大学1年生の時から箱根駅伝に出走し、総合優勝も味わったことがある「エース」。難度の高いコースを、区間3位の好ペースで快走します。しかし、区間のゴールまであと1kmを切ったというあたりで、突然小野選手が前に倒れ込みます。足が激しく痙攣し、起き上がることもままならない。脱水症状による低血糖状態になってしまったのです。

いわばエネルギーが「空っぽ」になり、身体が全く言うことを聞いてくれない状態。それでも小野選手は、何とかタスキをつなごうと、倒れては起き上がり、最後には這ってでも前に進もうとします。しかし競技運営委員、走路管理員、監督の3者合意により止め抱えられ途中棄権となりました。順天堂大学の箱根駅伝に出場した歴史の中で、2回目のリタイアです。

「ここでタスキを途切れさせるわけにはいかない」

そんな意思が、限界を超えた身体を前に進めようとしている。「必死」という言葉をまさに体現したような姿もまた、箱根駅伝の名場面のひとつです。

史上最僅差となった、21秒差の決着(2011年)

「山の神」の名を継承した柏原選手を擁する東洋大学が3連覇をかけた一戦。ここまで2年連続で区間新記録を達成し、5区で圧倒的な存在となっていた柏原選手への対策として、早稲田大学は5区までに大きな差をつける戦略を展開します。

勝負どころではない1区にスピードランナーの大迫選手を配置し、一気に後続を引き離しにかかります。結果、5区の猪俣選手にタスキが渡されるまでに早稲田大学が東洋大学に築いた差は、2分54秒にまで広がっていました。

いざ、勝負の5区。柏原選手は、標高差700m以上のコースを驚異的なスピードで追い上げます。そして最高点の2.5km手前で一気に追いつくと、早稲田大学を追い抜き、2位に27秒差をつけて往路のゴールに飛び込みます。「山の神」の名に恥じぬ、圧倒的な力を見せつけました。

しかしそれで終わらないのが箱根駅伝。翌日展開された復路は、まさに「激戦」と呼ぶにふさわしい戦いでした。6区では早稲田大学が東洋大学を抜き、7区でリードを広げるも、8区・9区では東洋大学が区間賞の走りで一気に差を詰め、勝負は最後の10区にまでもつれ込みました。

最後の10区、30~40秒差で首位の早稲田大学を追う東洋大学は、必死に差を詰めていきます。3連覇のかかった大事な大会、負けるわけにはいかない。そんな気迫が伝わってくるかのような走りです。あと少しで追いつける、そう簡単には追いつかせない。

そんなレースを繰り広げた結果、最初にゴールにたどり着いたのは、前々年の大会で東洋大に抜かれた苦い経験を持つ、早稲田大学の中島選手でした。

最終的についた差は21秒。10人でタスキをつなぐ箱根駅伝において、1人あたり2秒差という、箱根駅伝史上最僅差という激戦は、歴史に残る名レースとして記憶されています。

2連覇、そして39年ぶりの完全優勝へ(2016年)

そして今年の箱根駅伝でも、またひとつ後に語り継がれるであろうシーンが登場しました。2015年の箱根駅伝で総合優勝をはたした青山学院大学はスタートから抜け出すと、2位に7分以上もの大差をつけて優勝したのです。2位から19位までの、1つ上の順位とのタイム差がおおむね4分以内であることを考えると、7分差がいかに圧倒的かがわかります。

そして何より、歴史に残る偉業となったのが、青山学院大学は1区から首位に立ち、一度もその座を譲ることなく優勝したこと。まさに完全優勝と呼べるその偉業は、1977年の日本体育大学以来、39年ぶりのものとなりました。

自分もタスキをつないでいる意識があるか

箱根駅伝を見ていると、ひとつの目的に向かってチームに取り組む際の、一人ひとりの責任の重さが、痛いほど伝わってきます。

会社組織に所属していると、ひとつの仕事でたくさんの部署が関わってきます。たとえば何かを生産する会社であれば、営業、設計、製造、経理と、ひとつの仕事を複数の部署がつないでいく形になります。

それは言ってみれば、駅伝の「タスキ」。しかし箱根駅伝を走る選手ほどの必死さで、自分はタスキをつなごうとしているだろうか。日々複数つながれていくタスキ(仕事)の中で、ひとつひとつのタスキの重さを見失っていないか。箱根駅伝を通じて考えさせられることのひとつです。

今年もまた、各自に割り当てられた各区間の中で、心に残る名勝負が繰り広げられることでしょう。その時、自分自身を投影して、彼らに負けないくらいの必死さで仕事に取り組めているかを、また改めて問われるのかもしれません。

監修:リクナビネクストジャーナル編集部

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